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どうしたの?
しおりを挟む「ぬぬぬぬ…こうなったら…コッカトリス…行け!!全員…石にしてしまえ!
空中庭園から沢山の石像をこれから毎日見下ろしながら美味い酒を飲んでやるよ…
綺麗な妻を肴にしてな!」
「ジーナ…」
イミテの言葉にジーニャの心は張り裂けそうになっていた…
バーベラの塔から超スピードで空中庭園にやって来たコッカトリスは上空を旋回しながら猛毒の呪いの煙を吐いた…
「サイクロ…!!」
風の極大呪文を唱えたヴァルプルギス…
彼女が起こした旋風が呪いの煙を吹き飛ばす…
しかしコッカトリスは超スピードで兵士の一人の身体を啄み、空中へ投げ出したかと思うと彼を睨んで石化してしまった…
「くっ…さすがに速いのう…」
ヴァルプルギスは石化された兵士を浄化する…
「あ、あっという間に…」
ジーナは顔を背けた…
コッカトリスは優也の方をじっと見つめた…
「クワックワックワッ…クワァァァァ…」
けたたましい声を上げて優也にむかって突っ込んでくる…
「くっ!クロノ…!」
ビシュゥゥウ!!
時間を止めた優也だったがクロノの魔法が発動するタイミングよりも速くコッカトリスの嘴が優也の腕を掠めた…
「うわぁぁぁぁぁ!」
「優也!…くっ!クリアル…」
嘴から毒の呪いに蝕まれそうになった優也をヴァルプルギスが浄化する…
「…思った通りジリジリと押されている…
優也もわらわと一つに…ヴァルプルギスモードになればまだ闘えるだろうが…わらわも呪いを浄化するのに精一杯じゃ…」
「はぁ…はぁ…はぁ…」
ヴァルの魔法で僕の毒は消えたらしいが…た、体力が…
「ダーリン!」
「優也さん…!」
「優也くん…!」
駆け寄ろうとする仲間達を優也は制止する…
「ダメだ…こっちに来るんじゃない!」
「と、殿…!今まで殿に散々守って貰っといて、こんな時にウチが守らんでどうすんねん!」
口を真一文字に結んで優也に向かって一心不乱に駆け出すジーナ…
「ジーナ!危ない!来ちゃダメだ…!」
「ウチは…ウチは…殿が大事なんや…
絶対に失いとうないんや…!」
ジーニャは屋上からお互いを思い遣る二人の姿を見ていた…
「あの方…優也さんは命をかけてジーナを…ジーナもそれに応えて…」
空中を旋回しながらコッカトリスは今にも優也に襲い掛かろうとしていた。
あと5メートル…4メートル…
優也を目指してかけていくジーナ…
「殿…!」
「ジーナ…!」
旋回を止めて地上めがけて超スピードで降下してくるコッカトリス…
二人は同じように手を伸ばしてお互いの手を握り締めた。
…バビロナに初めて来たあの時と同じようにジーナの身体が黄金色に輝き出して…その光は優也を包み込んでいく…
「ギャア!…キャキャキャキャキャツ!」
あまりの眩しさにコッカトリスの目が眩んだ…
空中で急停止して真っ逆さまに落ちていく…
「あれ……?」
倒れていた優也がムクッと起き上がった…
「いつもと景色が違うな…?」
ふと俯くと僕の服はまるで千夜一夜物語に出てくるシンドバットのような装いになっていた…まるでジーナとお揃い…
そ、そうだ…ジーナは…?」
駆け寄って来たティナ、ナギさん、愛ちゃんが僕の顔を見て驚いた…
「あら…お父さんは…?」
「へっ?」
お父さん…?
愛ちゃん…一体何を?
「ここは危ないわよ…お姉ちゃん達のところへ早く行かないと…」
「えっ?」
お姉ちゃん?
ナギさんまで何を…?
「こら!こんなとこに来ちゃダメでしょ!ねえ…パパ見なかった?」
「パパ…?」
ティナ…みんな一体どうし…あっ!
僕の左手のブレスレットがキラリと光り、ふと視線を落とすとそこに写っていた自分の顔を見た…
「……リ、リル…?」
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