42 / 103
恐ろしい呪い
しおりを挟むジーナの身を案じた僕達は三度《みたび》、バビロナへと入ることにし、今回はジーナの案内が無い為、フェンリルにも同行してもらった…
鏡の間がある森ではロジャー将軍が僕達を迎えてくれた…
「皆様…一つ、心配な事がございます…
ジーナ様が殿と呼んでおられるそちらの方を送って行かれてからすぐにお戻りになられました…
恐らくは神殿に戻られたものだと思っておりました…
ところが神殿からはどなたの気配も感じられません…一体どちらへ行かれたのか…?
もし…神殿に行かれるなら十分にご注意なさってください…」
「ありがとうございます…さあ…急がないと…」
優也の言葉にプラティナ達は頷く…
「神殿なら一度行ってるから位置は分かるわ…大丈夫…」
フェンリルの案内で森から一度海岸に出てからバビロナの神殿の前へとテレポートした…
僕達は万一に備えて身構えながら玉座の間の前までやってきた…
「もしもの為に未来眼を使うわ…」
未来眼で先の事を見渡せる能力を持っているアイはこの後、玉座の間で何があるのかを見通した…
更にパルテの力を得た彼女はその時間から巻き戻した様子まで見る事が出来た…
「……そ、そんな!」
アイはその場に崩れ落ちた…
「愛ちゃん…一体何があったんだい?」
「いいえ…きっと何かの間違いよ…」
優也の質問にアイは本当の事を話さなかった…
意外にも玉座の間はジーニャや毒を持った怪物達の気配どころか全く何の気配も無い静かな空間であった…
辺りを見回していると
「あっ…何か光るものが…!」
みんなナギの声に気づいて彼女が指差す方を見ると確かに青白く輝く光が…
「魂玉の揺らめきかしら?」
「いや…ずっと同じ場所で光ってるよ…あっ!」
僕達は光に向かって歩みを進める…
暗さに目が慣れてきたのもあってその青白い光が宝石の光だと分かったと同時に僕はとんでもない事に気づいた…
「…ジ、ジーナ…!!ジーナが石に…!!」
「ええっ!」
「ああ…本当だったんだわ…
そんな事…あり得ないと思ってたのに…」
ティナとナギはその石像を不思議そうに見ている…
「な、何故…?」
「石化の呪いね…」
「せ、石化…?」
僕は愛ちゃんの言葉に反応して驚くと、彼女は僕の顔を見て大きく頷いた。
「ミラールの魔法使いは神道を司る白魔術士が正当派だけど一部に黒魔術を扱う者もいるの…それが呪詛《じゅそ》よ…」
「呪詛…?」
「そう…普通の呪文を唱える魔法ではなくて使い手の能力で普通の呪文より強力な効力になる…それが呪いよ…
呪いというのは非常に危険なものなの…使い手の精神に迷いがあったり、使った相手の方が強大な魔法力を持っていたりすると即座に自分に向かって跳ね返ってくることもあるわ…
永きに渡り訓練を積んでいる者や魔法使いと思えない程の強大な魔法力を持っている者…
例えばだけど…一流のネクロマンサーとかね…」
「ネクロマンサー…!」
真っ先に頭の中にジーニャの顔が浮かぶ…
「ま、待ってよ…まさか…彼女が可愛い妹を…そんな…そんな訳無いよね…愛ちゃん!!」
「分からない…私が見た映像ではジーナさんが何者かに短剣を振りかざした瞬間に石化の呪いにかかって…
でも…残念ながらジーニャさんがその場にいた事は間違いないわ…」
「そ、そんな…」
その時、僕の側に実態化したヴァルが現れた…
「優也…これでわらわの中で話が一本に繋がったぞよ…
確かにミラールの王女が言うようにあの娘の
姉…バビロナの第一王女が絡んでいる事はほぼ間違いないじゃろうな…」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

初恋の呪縛
緑谷めい
恋愛
「エミリ。すまないが、これから暫くの間、俺の同僚のアーダの家に食事を作りに行ってくれないだろうか?」
王国騎士団の騎士である夫デニスにそう頼まれたエミリは、もちろん二つ返事で引き受けた。女性騎士のアーダは夫と同期だと聞いている。半年前にエミリとデニスが結婚した際に結婚パーティーの席で他の同僚達と共にデニスから紹介され、面識もある。
※ 全6話完結予定

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

地獄の業火に焚べるのは……
緑谷めい
恋愛
伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。
やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。
※ 全5話完結予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる