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骸の棲む街

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僕達は休憩を入れながら森の入り口から結構な距離を歩いた…

ようやく森を二つに分けた道が終わり、目の前が開けたと思った時…僕達の前に広がる景色に少し驚いた。



僕達が見下ろしているスリバチ状の盆地…海抜より低い土地の真ん中に古い巨大な宮殿らしき建造物が見える…

そして周りには少しの緑と城下町のような建物が立ち並んでいる…


「これが…バビロナ王朝…」



「やっと…やっと…帰ってきたんや…姉ちゃん…みんな…」


ジーナは涙を浮かべてバビロナの街を眺めていた…



「さあ…ご家族の元へ急ごうよ…」

「はい!」


僕の言葉にジーナは笑顔で頷いた。



バビロナ王朝には盆地を取り巻くようなスロープ状になった崖の道を歩いて下りていくしかない…


ただ道自体はそんなに狭くは無いので僕達は街を右手に見ながら変わらないペースで一歩一歩と歩みを進める…








バビロナ王宮では例の黒髪の美女がジーナ達が王朝の街の外れまで来た事を感じ取っていた…


玉座から立ち上がった彼女はニヤリと笑った…


「ああ…我が愛しのジーナよ…もうすぐ会えるのね…」


そして彼女に寄り添う男の影が彼女に語りかけた…


「妹さんが来るんだね…」


「ええ…きっとあなたも気に入るはずよ…」






優也達はどうにかこうにかバビロナの城下町の外れまで辿り着く事が出来た。


渇いた風が吹く…フェンリルやヴァルの言ったようにそこは遠い過去に滅び去った遺跡のような荒野の中の街…




「ここがバビロナか…とりあえず彼女が言うようにジュエラ王を騙る侵略者の手掛かりを探さないと…」


しかし人の気配が全く無い…

ここが故郷であるジーナでもキョロキョロ辺りを見回して以前とは様子が違う事が伺える。

何処から手掛かりを探して良いのか分からず僕達はそこに立ち尽くしていた…ただ…フェンリルだけは周りに不穏な気配を感じて警戒していた。



「優也…」

「ん?」


「…どうやら気をつけたほうがいいぜ…何者かに囲まれているような気がする…しかも歓迎ムードではないらしい…」



…ゴゴゴゴゴゴゴ…


その時だった…周りの土が一斉に盛り上がったかと思うとジーナのような民族衣装を着た男性の骸《むくろ》…

所謂いわゆるガイコツが現れた…そして今にも僕達に襲い掛かろうとしている…



「きゃあぁぁぁぁ!」

「な、なんだ…コイツら…」

「これは…闇属性の魔法…こんな数の骸を操るなんて…なんて魔法力!」



ジーナは呟いた…

「う、嘘やろ…この力は…⁉︎」
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