奥さまは魔王女 2nd season 〜ジーナは可愛い魔女〜

奏 隼人

文字の大きさ
上 下
21 / 103

キャットファイトはオオカミも喰わない

しおりを挟む
「ああ…ジーナ…ありがとう…」

「…殿…これ…一体何ですか…?」

僕はしゃがんで彼女から受け取った物を地面に置いて風呂敷を広げた…

「これは…鏡やね?」

「うん!…もうそろそろかな…?」


それは愛ちゃんから借りてきた神道を司るミラールの美しい鏡であった…


時計が約束の時間を指した時、鏡から…


「ダーリーン!!」


「優也さん…!」


「優也くん!!」
 

ティナ、ナギさん、愛ちゃんが飛び出してきた…



ジーナさんは目を丸くしている…


「あ、アンタら…一体どうやって…?」



「ああ…実はこの鏡は別の次元へ繋がっているんだよ…ジーナさんの壺と同じように…ね…」


「別の…次元…?」


「そう…ティナの話でピンときたんだ…

この鏡は二つ合わせると合わせ鏡と言って
メビウスループのように空間の入り口と空間の出口を繋いでしまって迷い込んだ者を出られなくするんだよ…でも…」

「でも?」

「鏡と鏡を別々に置くとどちらかを入り口に、どちらかを出口にという風にワープゾーンとしてして使う事が出来るんだよ…」

「わぁぷ?」

「と、とにかくジュエラとここが鏡の中の空間で繋がったという事だよ…

もし本当にじゅうたんが墜落しそうなら早めにこの鏡でジュエラに戻って別の手を考えようと思ってたんだよ…」




「あーん!ダーリン!寂しかったわ…」

僕の腕に飛び込んでくるティナ…


「あっ!ちょっと…ウチの殿にあんまりベタベタせんとってや!そら魅力的な人やから他にも女が放っておかへんのは分かるで…

でも今は殿とウチのスゥイートタイムやったんやで…気を遣うてーや!」

「何言ってるのよ…ダーリンはあなたが可愛そうだから寄り添って何とか帰れるように頑張ってあげてるんじゃないの…

勝手に優しさを愛情と勘違いしないでよね!」


「何やねん!」

「何よ!」


二人のキャットファイトを横目にナギさんが僕に語りかけてこられた。



「…優也さん…このジャングルの向こう側に行くんですよね…」

「はい…でも猛獣の声が…それに魔物もいるかもしれない…」


「フェンリルちゃん…!」


ナギさんは自分の右隣に向かって声をかけた。すると小さな光の粒子が集まって一頭のオオカミの姿へと変わった…

「優也…久しぶりだな…」

「やあ…」

フェンリルは僕の友達の精霊…昔、ジュエラにあるエメラルダの森で仲良くなったオオカミ達の守り神のような存在だった…

ちょっとした気まぐれかもしれないが彼はしばらくの間、僕の守り神になってくれていた。

僕は人間界に帰る事も多いので今は僕よりエメラルダの森によく足を運んでいるナギさんを守ってくれている優しくて頼り甲斐のある精霊だ…


フェンリルはふとプラティナとバトル中のジーナの方に目を向けた…

「…あの娘…?」


「あら…どうかしたの?」

「いや…何でもねぇ…」

「…そう…フェンリルちゃん…このジャングルの向こう側まで行きたいんだけど…」

「じゃあ…森の主と話をつけてきてやるよ…」

「ありがとう…お願いね…」



ナギさんに頼まれたフェンリルはすぐにジャングルの中へと入って行った…
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】お飾りの妻からの挑戦状

おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。 「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」 しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ…… ◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています ◇全18話で完結予定

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。

松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。 そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。 しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

初恋の呪縛

緑谷めい
恋愛
「エミリ。すまないが、これから暫くの間、俺の同僚のアーダの家に食事を作りに行ってくれないだろうか?」  王国騎士団の騎士である夫デニスにそう頼まれたエミリは、もちろん二つ返事で引き受けた。女性騎士のアーダは夫と同期だと聞いている。半年前にエミリとデニスが結婚した際に結婚パーティーの席で他の同僚達と共にデニスから紹介され、面識もある。  ※ 全6話完結予定

地獄の業火に焚べるのは……

緑谷めい
恋愛
 伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。  やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。  ※ 全5話完結予定  

処理中です...