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魔法のじゅうたん

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体調が戻ってきた優也は改めてみんなとテーブルを囲んで今後の話をする事にした…

そして皆が注目する中、ジーナはゆっくりと口を開いて自分の故郷の話を話し始めた…



「…皆さんもご存知の通り、ウチは壺に入って海を渡って来ました…海の向こうのバビロナ王朝がウチの故郷です…

深い森に囲まれた静かな国…そうや…あの男が奇妙なヘビのような鳥の背中に乗って現れるまでは…」



ジーナはまた少し涙を浮かべた…



「とにかくその君の故郷…王朝に行ってみるしかないようだね…」



ズゥゥゥ…ン…

重い空気が辺りを包む…



「あ、あれ…?皆さん…一体…?」




「ダーリン…実は私達の世界に外海を渡る技術は無いのよ…空間移動も何故か出来ないの…」



「じゃあ…」



「そう…ジーナさんが流れついたのは奇跡…下手するとずっと海を漂っていても不思議じゃなかった…」

 
「じゃあ…船は無理となると…」

「空から行くしか無いのう…」

「ヴァル…」


実体化したヴァルを見て僕は彼女と出会った頃の事を思い出した…

「そうだ!ヴァル…君、空を飛べるんだよね…空を飛んで彼女の故郷まで…」

「無理じゃな…」

「えっ?」

「わらわ達…魔法使いは無限の力を持っておる訳では無い…魔法因子を操る技とその質量によって使える魔法が変わってくるのじゃ…お主達、人間の使う道具にエネルギーの限界があるようにな…

勿論、わらわ達の先祖は魔法のほうきに乗っておったが…今はそんな物はないぞ…長い年月を経て因子を持つ植物や鉱物などが絶滅してしまったからのう…」

「なるほど…僕達が侍のように刀を指して歩かないようになったみたいなものだね…」


「あの…」

ジーナが口を開いた。


「……?どうしたの?ジーナさん…」


「魔法の絨毯《じゅうたん》やったらあるんやけど……?」


「……!ほ、本当かい?それはどこに?」



「ちょっと待っとってね…」


ジーナは壺の中にたちまち吸い込まれていく…


そして直ぐに壺の中から戻ってきた…大きな巻かれたじゅうたんを持って…



彼女は床にそのじゅうたんを敷いた。
そしてその上に座って何やら呪文のようなものを唱えた…するとじゅうたんがフワリと浮き出した。


「おーっ!」みんなの表情が一気に明るくなる…


「これでジーナさんの故郷まで行けますね!…やった!」


僕は両手を上げて今にも飛び上がりそうになった…!


「……殿…アカンのですわ…」

「…えっ?何で…?」

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