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バビロナから来た娘

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「お、お嫁さん…⁉︎」

「ホホホ…優也!またややこしいのが増えたな…」

「もう…ヴァル…人ごとのように言わないでよ…」



「殿…誰と話したはるんですか?」

「えっ⁉︎そ、それは…」



「おお…そうか…仕方ないのう…」

ヴァルプルギスは優也の身体から抜け出して実体化した…

「わっ!小悪魔みたいなんが殿の身体から出てきよった…」

「…優也…この口の悪い娘を転送魔法で次元の果てに送ってやっても良いか?」


「まあまあ…えーっとジーナさん…だっけ…?君は何処から来たの…?何故壺の中に…?」



優也が矢継ぎ早に質問をするとジーナは困ったように苦笑いして…目を伏せて悲しい表情を浮かべた。


「ウチはバビロナから来ました…今はこれだけしか言えません…」


「バビロナ…」


ヴァルプルギスは目を細めた…



その時、リビングにティナが入って来た…


「あっ…すみませんでした…ダイナさん…」

僕はダイナさんにお礼を言って会釈をすると


「ダーリン…私です…ティナです…」


ダイナさんが身体を借りている時とは違う…僕には分かった。

間違いなく僕の愛する妻…プラティナだ…


「気が付いたんだね…ティナ…これには訳があるようなんだ…」


「分かってるわ…ダーリン…ダイナ様を通じて全て伺いました。

その…嫁になるって所以外は理解出来ましたわ…」



そう言ってティナはふくれっ面を見せた…

「コホン…」僕は小さく咳払いをした…



「ジーナさん…訳ありのようだから何か力になれることがあったら協力させてもらうよ…

但し、僕は君の言う…その…殿になったり君にお嫁さんになってもらうことは出来ないんだ…

ご覧の通り、僕には愛する妻も子供もいる…君は美しいからこれからいくらでも愛してくれる人は現れるよ…」



僕はティナの前でキッパリと言い切った。

「ダーリン…」

ティナは機嫌を直したのか僕に寄り添って手をギュッと握ってきてくれた…




しかし彼女も負けてはいなかった…




「殿…バビロナでは一夫多妻は当たり前。

男として立派な甲斐性を持ってるお人がモテるのは当たり前の話やと思います。

ウチはそんなん気にしません。殿に壺の栓を開けて頂けたのがウチの主人たる資格がある証拠ですから…」




「ううう…ハァ…」




僕はティナと顔を見合わせて大きなため息を吐いた…



「じゃ、じゃあ…これだけは教えてくれないかな?君は何故壺の中に入っていたの?」




僕の問いに彼女は少し考える素振りを見せてからゆっくりと口を開く…




「ウチの殿に隠し事をするのは良くないし…

分かりました!殿には本当の事を言います…

実はウチはバビロナから逃げて来たんです。ウチの姉ちゃんがウチを壺に入れて魔法で栓をして海へと逃がしてくれて…ううう…」


僕はティナの顔を見た…

嫁の件では良く思っていないであろうティナも…優しい心を持っている彼女はジーナさんの境遇を察して気の毒に思っているに違いない…

僕も全く同じ気持ちだ。




僕は彼女の背中に手を当てて「ゴメンね…辛い事を思い出させたね…」と彼女を慰めた。


「うわぁぁぁん!」


彼女は大きな声で泣くと僕の首に手を回して抱きついてきた…


「やっぱり…ウチの殿は優しいお人やわ…
間違いあらへん…ウチは決心しました…このお人に一生付いていきます」

プラティナは血相を変えて僕から彼女を引き離す…

「ちょっとあなた!ドサクサに紛れて何やってるのよ!ダーリンは何で逃げたのか聞いているのよ…早く答えなさいよ…」


「何やねん…うるさいなぁ…

ウチよりちょっと早く殿に見初められたと思って…この際やからハッキリ言うとくけどな、殿の事を一番大事に出来るのはウチや!あんたやないで。

ウチは殿にお話しさしてもうてます…外野は黙っといてや!」



「な、何ですって!」

ジーナとプラティナの一戦はヒートアップの様相を見せてきた…




「まあまあ…それで何故…その…バビロナから逃げなくちゃいけなくなったの?」

僕の質問に一旦、二人は落ち着いた…



「ある国の国王と名乗る人物が突然ウチらの国…バビロナを襲ってきたんです…」



「ある国…?」


「はい…ウチは何とかしてその侵略を止めんとアカンのです…」



「その国王とは…?」




「…確かジュエラ国王と名乗っていました…」




「な、何だって…!」
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