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三つのお弁当
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いつものように部屋を出てエレベーターのボタンを押す…
エレベーターに乗ると隣に人の気配を感じて誰かも確かめずに僕は慌てて挨拶をした…
「わっ!!…お、お早うございます…」
「うふふ…お早うございます…これからお仕事なんですね…頑張って下さいね…」
「ありがとうございます…ん?」
森の木漏れ日のように暖かくて優しい…
どこかで聞き覚えのある声の主の方に僕は向き直るとそこにはしなやかで美しい長い髪を肩で三つ編みに束ねた女性が立っていた…
「ナ、ナ、ナ、ナ…ナギさん!」
「嫌だわ…優也さん…いつかのようにナギと呼び捨てにして下さって構いませんわよ…」
「ど、ど、ど…どうしたんですか!ソーディアの王女…いや、国王様がこんな所に…!」
軽いパニック状態に陥った僕にナギさんはニコッと微笑んで小さな籐製のカゴを差し出した。
「優也さん…サンドウィッチはお好きでしたよね…?」
「ええ…大好物ですが…?」
「良かった…!私、今日エメラルダの森にフェンリルちゃんと遊びに行く予定なんです。それでお弁当を作る時に一緒に優也さんの分も作りました…
お仕事だから一緒には出かけられないけど同じ物を食べて下さったら嬉しいなと思って…」
「えっ!!ぼ、僕に…?」
ナギさん、僕にサンドウィッチを作って下さったのか…
ティナが作ってくれたお弁当もあるけど…折角、こんな朝早くから届けてくれたんだ…有り難く頂こう!
「こんなに朝早くからわざわざ届けて下さって本当に有難うございます!
お昼にお相伴にあずかりますね」
「召し上がって下さるのですね…嬉しい…
じゃあお気をつけて…」
エレベーターが一階に着くと彼女の姿はもう無かった…
「あら…優也さん…おはよう!」
管理人室の窓から優しい声が聞こえた…
「お早うございます!」
「ティナちゃんが昨日美味しい煮物を作って持って来てくれたのよ…貴方達、本当にいい夫婦だね。いつも仲が良いし…また一緒に顔を見せてよ!豆大福買っておくからね…」
「はい!またお邪魔させて貰いますね!」
管理人さんはいつも僕達を優しく見守って下さっている…僕とティナのもう一人の母親のような存在だ…
僕達がこのマンションで楽しく暮らしているのも管理人さんのお陰だし、ジュエラ王国に引っ越さないのも僕達夫婦が管理人さんと離れたくないからでもあった…
車のドアを開けてシートに座った僕は隣に気配を感じた…視線をそちらにやるとショートボブの黒髪のスラっとした女性が助手席に座っている…
「わっ!」
「ちょっと!優也くん…元カノを見て『わっ!』は無いでしょう!」
「ご、ごめん!だって急に現れるから…!」
「まあいいわ…これを持って来たのよ…」
彼女はミラール王国のアイ王女…そして高校生の頃、同級生の彼女として付き合っていた愛ちゃんでもあった。
愛ちゃんが差し出したのは黒と朱の立派なお重だった…
「優也くん…太巻き大好きだったわよね…
ミラール王宮にちょっとした集まりがあって…手作りの太巻きを振る舞ったのよ…
うふふ…なんか高校生の頃のデートを思い出しちゃった…ほら!あたしの作った太巻きを美味しい美味しいって食べてくれたじゃない!」
「そ、そうだったね…」
「じゃあ…はい、どうぞ!!また感想聞かせてね。あっ!お仕事に行くところね!!気をつけてね…じゃあね!!」
愛ちゃんは車のドアを開けて降りて行ったが
辺りを見渡してももう彼女の姿は無かった…
エレベーターに乗ると隣に人の気配を感じて誰かも確かめずに僕は慌てて挨拶をした…
「わっ!!…お、お早うございます…」
「うふふ…お早うございます…これからお仕事なんですね…頑張って下さいね…」
「ありがとうございます…ん?」
森の木漏れ日のように暖かくて優しい…
どこかで聞き覚えのある声の主の方に僕は向き直るとそこにはしなやかで美しい長い髪を肩で三つ編みに束ねた女性が立っていた…
「ナ、ナ、ナ、ナ…ナギさん!」
「嫌だわ…優也さん…いつかのようにナギと呼び捨てにして下さって構いませんわよ…」
「ど、ど、ど…どうしたんですか!ソーディアの王女…いや、国王様がこんな所に…!」
軽いパニック状態に陥った僕にナギさんはニコッと微笑んで小さな籐製のカゴを差し出した。
「優也さん…サンドウィッチはお好きでしたよね…?」
「ええ…大好物ですが…?」
「良かった…!私、今日エメラルダの森にフェンリルちゃんと遊びに行く予定なんです。それでお弁当を作る時に一緒に優也さんの分も作りました…
お仕事だから一緒には出かけられないけど同じ物を食べて下さったら嬉しいなと思って…」
「えっ!!ぼ、僕に…?」
ナギさん、僕にサンドウィッチを作って下さったのか…
ティナが作ってくれたお弁当もあるけど…折角、こんな朝早くから届けてくれたんだ…有り難く頂こう!
「こんなに朝早くからわざわざ届けて下さって本当に有難うございます!
お昼にお相伴にあずかりますね」
「召し上がって下さるのですね…嬉しい…
じゃあお気をつけて…」
エレベーターが一階に着くと彼女の姿はもう無かった…
「あら…優也さん…おはよう!」
管理人室の窓から優しい声が聞こえた…
「お早うございます!」
「ティナちゃんが昨日美味しい煮物を作って持って来てくれたのよ…貴方達、本当にいい夫婦だね。いつも仲が良いし…また一緒に顔を見せてよ!豆大福買っておくからね…」
「はい!またお邪魔させて貰いますね!」
管理人さんはいつも僕達を優しく見守って下さっている…僕とティナのもう一人の母親のような存在だ…
僕達がこのマンションで楽しく暮らしているのも管理人さんのお陰だし、ジュエラ王国に引っ越さないのも僕達夫婦が管理人さんと離れたくないからでもあった…
車のドアを開けてシートに座った僕は隣に気配を感じた…視線をそちらにやるとショートボブの黒髪のスラっとした女性が助手席に座っている…
「わっ!」
「ちょっと!優也くん…元カノを見て『わっ!』は無いでしょう!」
「ご、ごめん!だって急に現れるから…!」
「まあいいわ…これを持って来たのよ…」
彼女はミラール王国のアイ王女…そして高校生の頃、同級生の彼女として付き合っていた愛ちゃんでもあった。
愛ちゃんが差し出したのは黒と朱の立派なお重だった…
「優也くん…太巻き大好きだったわよね…
ミラール王宮にちょっとした集まりがあって…手作りの太巻きを振る舞ったのよ…
うふふ…なんか高校生の頃のデートを思い出しちゃった…ほら!あたしの作った太巻きを美味しい美味しいって食べてくれたじゃない!」
「そ、そうだったね…」
「じゃあ…はい、どうぞ!!また感想聞かせてね。あっ!お仕事に行くところね!!気をつけてね…じゃあね!!」
愛ちゃんは車のドアを開けて降りて行ったが
辺りを見渡してももう彼女の姿は無かった…
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