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帰ってきた魔王女

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おだやかに晴れたある日…魔界を取り巻く外海の荒々しい波間に小さな何かがプカプカと浮かんでいた…

潮の流れに乗ってそれは自然とジュエラ王国の方角に向かっていた…






…数日後…



「ティナ~!ティナはおらんか~!」


ジュエラ王宮の廊下を大声を上げながら
ゴルド前国王が駆けて行く…



ダイニングフロアでランチの準備をしていたプラティナはゴルドの声のする方へ顔を出した。

「はいはい!お父様…どうされたので…まあ!プッ…アッハッハッハ…」

「…笑い事じゃないぞ…ティナよ…」

ゴルドの眉間の上には大きな目玉の落書きが
油性マジックペンで描かれていた…


「ワシがちょっと昼寝をしておるとこの有様じゃよ…

リル君のイタズラにも困ったもんじゃ…段々とエスカレートしておるぞよ!

お前と婿殿で一度ガツンとじゃな…」

「まあ…お父様がリルに直接仰ってくだされば宜しいじゃないですか…?」

「バカモン!そんな事を言って…もし『じいじ…キライ!』なんて言われたらどうするんじゃ!今までのワシとリル君の絆が水の泡と消えてしまうじゃないか…!」


「はあ…」


プラティナは一つ大きなため息を吐いた…

そしてそっと視線を上げるとゴルドの額の目玉の落書きが目に入ってくる…


「アッハッハッハ…お父様…お腹が痛いですわ…」


「……ハァ…」

娘に笑われて今度はゴルドが大きなため息を吐く…






その頃…優也は会社の食堂で三つのお弁当を前に大きなため息を吐いていた…


「はあ…」



いつもの可愛いうさぎの絵が描かれたお弁当箱、小さな籐のカゴに大きな重箱…



優也は今朝の事を思い出していた…




「じゃあ…行ってくるよ…ティナ!」


「はい!ちょっと待ってね…あなた!!」

パタパタパタ…玄関で靴を履いた優也に奥からルームシューズを履いたプラティナが駆け寄る…



「ダーリン…今日もお仕事頑張ってくださいね。その…なるべく早く帰って来て欲しいです…」


顔を真っ赤にして優也の側で呟くプラティナ…


「勿論だよ…僕も早く帰って来て君に会いたいから…」と僕はティナを抱きしめた。


「本当に?嬉しい…はい!これ…お弁当です!」


「毎日ありがとう!じゃあ…行くね…」


「あっ…ちょっと待って…あなた…」


二人は口唇を重ねる…


ダイニングテーブルに着いて朝食を食べていたミスとリルはそれぞれため息を吐いた…

「はあ…」

「はあ…」



「パパとママ…よくあんなにいっしょにいるのにあきないね…」


「しかたないわよ…ふたりは『おしどりふうふ』なんだから…」

「おねえちゃん…おしどり…なんとかってなに?」

「あたしもよくしらないんだけど…なかよしってことよ…」

「なるほど…」


二人はまた朝食にがっついた…
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