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危険なワナ
しおりを挟む次の朝、優也のマンションの前にマーブルの姿があった…
優也の部屋を下から見上げて…一つ大きな溜息を吐いた。
「プラティナが消えてしまったら…子供達も…あの人も悲しむでしょうね…
……………はっ!!いけない!!
イミテはもっと辛い目に遭わされたのよ…
しばらくの間、彼女の自由を奪って魔界に悪い噂を流してやるわ。国王としての地位から失脚させて…
もう魔界には戻れないようになったらその時は身も心もポロポロになった彼女を返してあげるから…
後は人間界で四人ひっそりと暮らすがいいわ…」
口唇をキュッと噛み締めてマンションの壁をすり抜けて中へと入ったマーブルはエレベーターに乗り、優也の部屋のあるフロアのボタンを押した…
優也の部屋の前で呪文を唱えた彼女は周りの風景に溶け込んで完全に姿を消した。
そしてポケットからシール状の小さな鏡を二つ取り出してその鏡にも魔法をかけて光を透過させ、誰からも見える事のないように細工をした…
彼女が片方の鏡のシールを壁に貼りつけていると、
優也の部屋からドア越しに声が聞こえてきた…
「じゃあ…ティナ…行ってくるよ…」
「行ってらっしゃい…あなた…早く帰ってきてね…
私、待ってるわ…」
二人は熱い口づけを交わす…
「勿論!!僕も早く会いたいから仕事が終わったら真っ直ぐ帰ってくるよ…!!」
「愛してるわ…」「僕もだよ…じゃあね…」
バタン!!…カツカツカツカツカツ…
息を殺して隠れているマーブルに気づかず優也はエレベーターのほうへと向かって歩いてゆく…
マーブルは優也の背中を見送りながらさっきの二人のやり取りを思い出す…
「じゃあ…マーブル…行ってくるよ…」
「行ってらっしゃい…あなた…早く帰ってきてね…
私、待ってるわ…」
二人は熱い口づけを…
…わーっ!!わーっ!!
わ、私ったら…何を考えてるのよ…
しっかりするのよ!!マーブル!!
…心の中で自分を奮い立たせてもう一枚の鏡のシールを対面の壁に貼りつけた…
…これでよし…っと…ふう…
後は外から何らかの手でプラティナを外に誘き出したら…哀れ…プラティナ王女はミラールに伝わる合わせ鏡の魔法の空間に閉じ込められて出られないわ…ウフフフフッ…
そう思いながらも彼女は遠ざかってゆく優也の背中を見つめて…
でも…あの男…悲しむわよね…
俯いて…考えている彼女がふと前を向き直すと…
「わーっ!!!しまったぁぁぁぁぁ!!!
ティナの作ってくれた弁当を忘れちゃったぁぁぁぁ…!!!」
優也がこちらへ猛然とダッシュしてくるのが見えた…
…えーっ!!!なんでぇぇぇぇぇ…!!!
ど、ど、ど、ど、ど…どうすんのよ!!!
このままじゃ優也が私の作ったワナに…
か、鏡を壁から剥がさないと…
優也より早く壁の合わせ鏡の魔法のワナを破らなければ…!!!
焦ったマーブルは振り返って駆け出そうとしたその瞬間…足が縺つんのめってしまった…
「キャァァァァァァッ!!!」
「…えっ!!!」
突然聞こえた悲鳴に優也は立ち止まる…
マーブルの身体は宙を舞って…事もあろうか誤って合わせ鏡のワナの空間に入ってしまったのだった…
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