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植樹祭
しおりを挟むある日の夕方…優也が会社から帰ってくると…
「ただいま!!……あれ⁉︎」
いつもなら「お帰りなさい!!ダーリン!!」とハグしてくるプラティナが来ない…
「ティナ…どうしたんだろう…⁉︎」
リビングへと顔を出す優也…
「やあ…婿殿…」
「ダー…リン…わぁぁぁぁぁぁん…」
「お、お義父さん…ティナ…」
ダイニングテーブルにはプラティナの父親で前ジュエラ国王のゴルド大魔王と泣き腫らした目を掌で覆っているプラティナが向き合って座っていた…
いくら娘とはいえ…泣いている女性には偉大な魔界の王も勝てないらしい…ポリポリと指で頬を掻いて困り気味の様子である…
「夜分にすまんな…実は婿殿にちょっと頼み事があってな…」
「僕にですか…?でも…何故ティナが泣いているんですか…⁉︎」
「それがのう…」
「私…ダーリンと離れるのが嫌なの…」
「離れる…?僕とティナが…⁉︎」
「…違うのじゃよ…婿殿…」
「一体どういう事なのですか…?」
…義父の説明によれば数日後、魔界で植樹祭が行われるらしい…
以前、バビロナ王朝にお願いしていた絶滅種、絶滅危惧種等の植物などをジュエラ、ソーディア、ミラールの三国へ植樹するお祭りと式典が行われると言うのだ…
それぞれの国の式典には各国の王族が来賓として集まる…
ジュエラからもゴルドがソーディアへ…皇后のシルヴァがミラールへ赴き…そして優也とプラティナにジュエラに集まる来賓客のおもてなしを頼もうとしていた…
ところが2、3日前から義母の具合が思わしくないらしい…何でも魔界の流行風邪にかかってしまったらしいのだ…
それでミラールへゴルドが赴くために優也にソーディアの式典に来賓として出席して欲しいと言うのだ…
通例上…プラティナは国王としてジュエラで来賓達を迎えなければならない…
今までずっと夫婦で行事などには出席していたプラティナは優也と離れ離れになると悲しんでいたのである…
「…仕方ないよ…ティナ…式典が終わったらすぐに君の所へ戻るよ…」
「ティナ…お前ももう立派な国王なんじゃぞ…
婿殿と仲が良いことはワシも本当に嬉しいが…
時には我慢せんといかん事もあるわい!!
全く…二児の母がゴネる事じゃ無かろう…」
「お父様…いくらお父様でも我慢できる事と出来ない事がありますわ…
お母様の具合も本当に心配ですが…ダーリンがいないと不安でそんな大役を私が果たせるかどうか…」
「…お前の気持ちはよく分かっているつもりじゃ…
誰だって弱味や苦手なことはあるわい。
そう思ってワシもラリーに代わりに式典に出るように言うたのじゃ。
そうしたらアイツめ…国のために大事な用事があるからと…
それにソーディアから婿殿の出席を打診してきたのじゃよ…」
「何故わざわざソーディアからダーリンを…
お父様のほうがマサムネおじ様と親友でしょ⁉︎」
「うむ…何でもソーディアでは婿殿の好感度が凄いらしいのじゃ…
国王のナギ殿を守る騎士だと男女問わず人気でのう…何より世界最強と名高い兵士達からの信頼も厚く…マサムネもみんなから是非お越し頂きたいとせっつかれてると言っておったわい…」
「もう…私のダーリンなのに…
みんな昔は人間なんて下等動物だと言ってたくせに…
全く…勝手なんだから…」
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