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鏡のトリック
しおりを挟む「ありがとう…ゆっくりお休み…」
物陰に隠れたマーブルがそう呟くと、道を塞いでいたゴーレムは…
まるで砂浜に作られた城のようにサーッと音を立てながら崩れ去り…地面と一つになった。
「ありがとう…マーブルさん…」
「いえ…上手くいって良かったわ…」
プラティナの感謝と召喚獣へのねぎらいの言葉にマーブルは笑顔で頷いた。
ダダダダダダッ!!!
「どうだ…そっちにいたか…⁉︎」
「あの壁のような怪物も消えてるし…
くそっ⁉︎何処に行ったんだ…⁉︎」
まだ表通りを衛兵がウロウロしているようだ…
…しばらくここでやり過ごさないと…
プラティナは大人数が見つからない様に無意識に少しずつ後ずさりしていった…
すると…
ムギュッ!!!
「きゃっ!!!」
「んっ!!!」
ドッシーン!!!
プラティナのお尻が何か温かい物にぶつかって彼女は驚いて尻もちをついてしまった。
さっきは衛兵ばかりに気を取られていたが、確かに暗闇から人の気配を感じる…
何なの…暗くてよく見えないわ…
目を凝らすプラティナ…
突然、背後から声が響いた。
「こっちの方から物音が聞こえたぞ!!!」
どうやらさっきの尻もちの音が衛兵の耳に入ったようだ…
「私に…まかせて…」
そう小声で囁いたのはアイ王女だった。
「ここから聞こえてきたんだが…」
「変わったところはないな……」
兵士達が暗い路地裏に目を凝らしても…
別段変わった様子はなかった…
その時…何かが兵士達の前を横切る…!!
ピョンピョン!!
「うわっ!!」
「なんだ…フレミかよ…驚かさないでくれ…」
フレミとは…ここヴァルハラに生息する小型犬くらいの大きさの可愛いウサギのことであった。
「コイツの仕業か…すまない!!
他をあたってみよう……」
「ふ~っ!!何とかごまかせたわね…」
プラティナ達は胸を撫で下ろした。
彼女達は暗がりの中からヒョコッと顔だけを出した…そこには身体は無く…
まるで生首のように…
彼女達が兵士達をごまかせたタネあかしはこうだった…
実はアイ王女は魔法で暗くて狭い路地の斜めに大きな鏡を置いていた。
そして自分達は後ろのスペースに隠れて、兵士達は路地の半分と鏡に映ったもう半分を見せられていたのだった。
「魔法でみんなの姿を消すことも考えたけど…もし、見つかっちゃった時の事も考えたら魔法力を残しておかないと大変でしょ…⁉︎
さて…今度は…」
アイ王女はさらに奥の暗闇の方に向き直って…
「どなたですか…⁉︎
私達は決して怪しいものではありません。
身を隠さなければいけない理由があって…
姿を見せてはいただけませんか…⁉︎」
「……さすがは愛ちゃん。
先の先まで読んでるんだね…」
…………!!!!!
そこにいる全員が聞き覚えのある男性の声に耳を疑った…
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