60 / 89
正装
しおりを挟む———月面都市(ヴァルハラ)
優也とその一行はその美しい都市の…
狭い路地裏に身を隠していた。
優也は物陰からそっと顔を出し、キョロキョロと辺りを見渡す…
行き交う人々を見ると…
老若男女色々な人種がいるようだが…
そのほとんどが…男性はバーテンダーの服、
女性はバニースーツに身を包んでいる…
「うっ!!」
優也の目の前をバニースーツ姿の年配の女性が通って行ったのを見て、彼は大きなため息を一つ吐いた。
「ハア……
最初は君達の姿がなんてふざけた格好なんだと思っていたけど…
まさか…ねぇ…」
ユミルとネザーの方に向き直ると優也は彼女達の姿をあらためて見つめる…
…ポヨヨヨーン!!
「ううっ!!」
そして、その非日常的なセクシーなボディーラインを見てまた赤面してしまった。
その反応を見て…ユミルもネザーも同じように頬を赤らめる…
「わ、私達の元の世界では…ヴァルハラは幾重にも着物をまとうのが常でございますが…
現代ではこの格好が正装であり…国民にとって一般的でございます。」
「なるほど…納得したよ…」
「優也!!優也!!わらわも見てくれ!!」
「ん…⁉︎ わわっ!!!」
振り返った優也の目に…
真っ赤なバニースーツに身を包んだヴァルプルギスが飛び込んできたのだった。
「わらわが一番綺麗じゃろ…
さあ…存分に褒めちぎって良いのじゃぞ…
オホホホホ…」
「ダメだよ…」
「……優也…」
「その色は目立つからさ…
それにやっぱりヴァルは黒が似合うと思うよ…」
……ズッキューン!!!
出逢ってから二人はそんなに長い時間を一緒に過ごしてきた訳ではないが…
ヴァルプルギスは自分の野望もプライドも生命さえも投げうって優也に尽くしている。
そしてそんな彼女の気持ちを全て理解して一緒に寄り添っている優也…
しかし…いくら心が通じ合っていても、ヴァルプルギスはやはり女性であった。
自分を最強の魔女だと恐れおののく者ばかりで、出会った時から一人の女性として大切にしてくれた存在は優也ただ一人…
その彼が自分は黒が似合うと…
ああ…
ハートを撃ち抜かれて瞳がハートになっ
てしまった彼女であった…
ユミルとネザーはそんな二人を見て言葉を失っていたがやがてお互いに顔を見合わせて…
「ね、ねぇ…王様と王妃様ってこんなにデレデレだったかしら…」
「す…すごい…」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定


セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる