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知恵を振り絞って
しおりを挟む「ナギさん…」
アイが名を呟くと新緑の清々しい香りが辺りに満ちて…
いつ見ても森の妖精のような長い髪を三つ編みで一つに纏めた美しい娘がそこに立っていた。
「アイさんやジーニャさんの所へ伺おうとしてテレパシーで場所を探していたらお話が聞こえてきたので…大体の事情は分かりました。」
「ティナさんはどうしておられるの…?」
ナギは困ったように微笑むと…
「お子さんをゴルドおじ様達に任せて…
中央魔法図書館にこもってずっと調べ物をしているわ…
さっきも一緒に皆の話を聞いていて…ここに来るように誘ったんだけど…」
「ナギさん…
今のお話を聞いていたなら話は早いわ…
私達は何とかして月まで…
彼の元へ行かなくてはならないのよ…」
「ええ…そうですね…
ただ私達10人前後まででしたら、宇宙空間に出るのは何とかなるかもしれません…」
「ほ、本当なの…⁉︎」
「はい…!!」
ナギが大きく両手を拡げると掌と掌の間に緑色のシャボンのような薄い膜の玉が現れた…
ナギはその玉をアイに向かって放り投げると、玉はボヨンと弾んでアイの全身を包み込んだ。
「驚いた…この中…すごく快適よ…」
「前にお父様がアイさんの未来眼を防ぐために魔法の玉の中で話し合いをした事があります…
これはその応用です…
玉の中に植物の成分が豊富に含まれています…
中の二酸化炭素を酸素に循環してくれるので中は清々しい空気で満たされています…
僅かな魔法力を送り続けるだけで気圧などでは決して割れる事なく、外からの魔法も遮断するので中に居れば安全だと思います。」
「やった!!流石はプロの姉ちゃん…!!」
ジーナの言葉にナギはニッコリと微笑んだ。
『プロ』の意味は分からなかったが……
「後は…一番難しい問題ね…
どうやって三十八万キロを克服するか…」
一番シンプルで…
一番難しい問題を突きつけられた皆は…
あまりにも桁違いの距離になかなかアイディアが浮かぶ筈も無く…
言葉も無く…しばらくその場に立ち尽くすしかなかった。
……シュン!!
その時、瞬間移動してきたのは……!!
「みんな!!聞いて欲しいの!!」
「……ティナ!!」
「……ティナさん!!」
「プラティナさん…⁉︎」
「ねーちゃん!!」
「王女様…!!」
『プラティナ…王女…』
王女達とサブリナがプラティナを温かく迎える中…
マーブルは複雑な想いで彼女を眺めていた。
「テ、ティナ…いきなりどうしたの…⁉︎
さっき、私と一緒にアイさん達の話をテレパシーで聞いて、もう少し調べたい事があるって言ってたじゃない…」
「…そう…見つかったのよ!!」
「えっ⁉︎」
「月まで行く方法が見つかったのよ!!」
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