奥様は魔王女 4th season 〜fly me to the moonな件〜

奏 隼人

文字の大きさ
上 下
36 / 89

三十八万キロメートル

しおりを挟む

「私にも分かったわ…」

アイがマザーハーロットの方を向いてニヤリと笑った…


「とてつもない方法だけど…

先日のサブリナさんの力…そして…

この地形を見てピンと来たわ……

あの階段を降りてる時から変だなとは思ってたのよ…」



「ど、どういうこと……⁉︎」

「な、なぁ…教えてーな!!姉ちゃん!!」



混乱しているサブリナとジーナにアイは例のペンダントを取り出し…


「その前に…このペンダントを調べた結果…

思った通りだったわ……





あの二人は月の住人なのよ…」





アイの言葉に反論する者は誰も無く…



むしろ…馬鹿な仮説だと何度も自問自答し、胸の奥に押し込んできた考えを今、初めてアイが明らかにしたのであった…




「そして…こんな事が可能なのは…」


アイはナイト老師の方に向き直り…



「あなた方ですよね…

前のバビロナ神殿ごと月へと導いたのは…」




「ああ…そうじゃ…

前の神殿は平坦な土地に建っておった…


あの穴はワシら…エルフ族の力で月へと飛ばした時に出来たモノじゃよ…」




「ええっ!!」


その場に飛び上がって驚く…サブリナとジーナ。


「ちょっと待ってーな!!

あ、あそこまでどんだけあると思うとるんや!!」


「そ、そうですよ…ひーふーみぃー…」


サブリナが指を折りはじめる…



アイは腕組みをした…そして顎に指を当てる。


「私は人間界に留学していた頃に太陽系に関する勉強をしていたわ…地球の唯一の衛星である月の事もね…

人間界の距離で言うと…ざっと三十八万キロってところかしら…」



「さ、さんじゅう…」

「はちまんきろ…」


…ガクッ!!!


その場に倒れ込んだ二人……だが……




「なぁ…⁉︎それってどれくらいなの⁉︎」

「ウチもピンと来んなぁ……」


「アハハハハ……」

「アハハハハ……」




アイは溜息を吐く…


「ダメだわ……ハァ…」







チョンチョン…!!!


「えっ…⁉︎」


よく見るとケイティがアイの袖を摘んで引っ張っていた…




「お、お父様は…月という場所におられるのですの…⁉︎」



アイは今にも泣きそうな表情のケイティに…


「ケイティ…ケイティのお父様は素晴らしい頭脳を持った科学者だったと伺っているわ…

でもね…残念だけど、彼は私達…魔法使いと変わらない普通の人間だわ。

きっともうこの世にはおられないでしょう…

だけどね、ケイティ…彼はあなたをこの世に遺してくださったわ。

あなたが彼の気持ちを汲んで一生懸命に生きることでお父様の一生はとても意義のあったモノになるの…」



「ううっ……」


ケイティは我慢出来ずにアイの胸に飛び込む。


アイはそんなケイティを受け止め、彼女の栗色の綺麗な髪を繰り返し撫でてあげた。







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

性転のへきれき

廣瀬純一
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

処理中です...