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嗚咽

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「うむ……父上はこの地球を離れて王子と一緒に宇宙に昇る事を選ばれたのじゃ…


そしてジーニャ…お主達が密林へと逃げ込んだ後で…」


「そんな…そんなことなら私も…」


「王子は…

そなた達にバビロナを託したのじゃ…

国は滅んでも…いつか…

バビロナを愛する者達でもう一度と…」




「ううう……うわぁぁぁぁ…」



そこまで話を聞いたところで…薄ら涙を浮かべて我慢をしていたが、とうとうジーニャの涙腺は崩壊してしまった…



「だ、大丈夫ですか…⁉︎…王女様…!!」



サブリナはその場に泣き崩れたジーニャの背中をさすっていたが…やがて顔を上げると…




「そ、それはそうと…

その王子様は一体どうやって…宇宙へと向かったのですか…?


王女様が仰るように一緒に行くことは叶わなかったのでしょうか…⁉︎」



「無理だったのじゃ…

クーデターの首謀者は大臣だっただけに表面おもてだった準備なんぞは出来ん。

それに一番困ったのは…王子自身の考え方じゃな…」


「考え方……⁉︎」


「おお…そうじゃ…

あやつは…

とんでもない事を言い出しよってな…


『クーデターの首謀者の大臣も…

我が国を狙う他国の兵の命も…なんとか救えないか』と言い放ちよったぞ…


わらわは呆れて開いた口が塞がらんかったわ…」




まずまずの剣の使い手なのに人を活かす事のみにそれを振るっておる…



「そ…そんな方が…ジーニャ王女様の……

私の知る限りではそんな方はあの優…




はっ…!!


な、何となくだけど…

何故ジーニャ様がこんなにも思い詰められるのかが分かったような気がする…」


「そして…」


岩肌を指差したマザーハーロットの指から光が飛び出して映像が投影された。


そこに映し出されたのは…





「バビロナ…王朝やんか…⁉︎」

「お・ま・た・せ!!」





皆が振り返るとそこにはジーナとアイが立っていた。


「ペンダントの解析が終わったから私達も老師様のお話を聞きたいと思ってね…」


「爺ちゃん!!久しぶりやなあ…元気にしてたか…⁉︎」




「フン!!ワシはお前みたいに騒がしいのは苦手じゃ!!」


「チェッ!!

つれへんなぁ…ウチは邪険にして…

姉ちゃんの事は大事にするくせに…」




「ジーナ…それにアイさん…

マザーハーロット様のご説明を伺ってください…」


ジーニャは無理矢理に涙を断ち切って二人に気丈に振る舞った。



マザーハーロットの指から伸びる光は…バビロナ王朝はまるで航空写真のように上空から建造物その物を映し出していた。


摺鉢スリバチ状にくぼんだ盆地…その周りを長い階段で中心部に向かって降りて行くとバビロナ王朝の神殿や城下町へと辿り着くことが出来たのであった…




「どうしたんや…精霊の姐さん…

こんな風景…珍しくも何ともないやん…」



「……えっ!!!ま、まさか……そんな…」


ジーニャの表情が更に険しいものになり…再びその場にしゃがみ込んでしまった…




「ジーニャは気付いたようじゃの…」

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