奥様は魔王女 4th season 〜fly me to the moonな件〜

奏 隼人

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ハックション!!

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「はあっ…はあっ…」


玉のような汗を額に浮かべながら弓はある場所を指差した…


「あそこで…少し…横になりたいの…」


「えっ……ええええええええっ……!!!」



ガサガサガサ…ドッシーン!!!


……えっ…⁉︎



驚いている優也は更に後ろの物音にもビックリして振り返るが…そこには誰も居なかった。


不思議そうな表情で前に向き直って…




「せ、先生…いくら何でも…アソコはマズいですよ…

先生はともかく…僕は仕事中ですよ…

と、とにかく…会社に連絡をしないと…」


「う、ううっ…!!!」


一段と苦しそうな声を上げる弓……




…し、仕方ないなぁ…ん…?




その時、キラリと光る弓の胸の金バッジが優也の目に入った。


神妙な表情をしながら優也はスマホを取り出した。

そして何やら画面を操作し始めて…




「ふう…じゃあ行きましょうか…先生…僕に捕まって下さい…」



優也は辛そうな表情の彼女の肩を抱いて…


御休憩 ¥○○○○ 


と書かれた看板のホテルに入って行った…





ガサガサガサ……


近くの植え込みに隠れていた裸の女性がヒョコッと顔だけを出した…


「た…大変!!!

私…とんでもないトコ見ちゃったよ…

う、嘘ですよね…優也様…

ハ、ハ、ハックショーン!!!


……ふ、服を着なきゃ…」



「ふぅ…やっぱり…
探偵稼業っておヒマなんですのね…」


「オ、オバサン…!!」


「ちょっと!!失礼ですわね!!

仮にもあなたも私も社会人なのですから…

さん付けでお呼びなさいな!!」



「そ、そんなこと…どうだっていいだろ…

それより…優也様が…」



「ええ…見ましたわよ…昼間からお盛んですわね…

でも…私のようなオトナの女性は驚きませんことよ…


いくら取っ替え引っ替えやってる男でも…

心はこの私だけのモノですわ…

オホホホホ…」









この凸凹に見えて似たモノ同士の二人…



一人は魔界探偵ギルドの私立探偵…サブリナ…

普段はジュエラ王宮のメイドとして働く傍ら…


非番の日はこうして人間界で憧れである優也を陰ながら護衛している(ような気になっている…)



そして…縦ロールにリボンの…

いかにも良家の令嬢の見た目のもう一人は…

魔界の名士の娘で…


魔界のあちこちで召喚獣を召喚し、人々を恐怖に陥れて優也達を困らせたイミテの実の姉…マーブル。


弟をコケにされたプラティナに一泡吹かせようとして彼女の夫である優也に近づいたのだが…


例に漏れず彼女もまた優也の魅力の虜となってしまった。


魔界宝石商ギルドに属する会社のCEOである彼女もまた、営業とうたって優也の様子を覗きに来ていた。




「ハァ…


馬鹿だね…オバさん!!


前に優也様を色仕掛けの年増が無理して落とそうとしてた事があっただろう…


またそんな事を企んでいる輩がいるとしたら…?」



「………!!!

ちょ、ちょっと…年増って誰の事かしら…⁉︎


で、でも…

あなたの言う事も一理ありますわ…」


……パチン!!


マーブルは指を鳴らして蝶のような召喚獣…ジュエラモルフォンを呼び出した。



光る青い燐を散らしながら、ひらひらと舞う蝶…


「さあ…

見つからないようにあの中に忍び込むのよ…

行きなさい…」



発光する燐を目で追いながら…

蝶の行き先を見守る二人。



「オバサン…なかなかやるじゃん…

一緒に探偵稼業やらないかい…⁉︎」


「フン!!生憎だけど…私は忙しいのよ。

貴女こそ…

食べていけなくなったら知り合いのよしみで低賃金で雇ってあげるからいらっしゃいな…

フフフ…」


「何だって!!」

「あら…何ですの…!!」





二人がかけ合いをしている間に…

ジュエラモルフォンは優也と弓の部屋の通風口から中へと入って行った…
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