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もしも…

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私は置いていた通学バッグを取り、地下鉄の改札口へと向かった。


彼と…そのお友達らしき人はどうやら切符売り場で切符を買うようだ。


その時、私は気がついた。


彼はこの駅を毎日利用する訳では無く、何らかの用事でここに来ていたのだと…


そして彼を呼び止めようとした時にもう一つ、ある考えが私の頭の中に浮かんだ。


きっとこの時間だから彼は家路に着くと思っていた…



でも…もしも…

これから大切な用事があるとしたら…


私が彼に声をかけることで乗る電車を遅らせることになるかもしれない…


お礼を言いたい彼に迷惑をかけることは絶対にしたくない。


私は彼らの背後うしろに並び、そっと料金を覗きこんだ…



「あいよ…!!」


「ああ…サンキュ!!」


お友達から彼が受け取った切符には…間違いなく260円と刻印されていた。


私は歩き出した彼らの姿を何回も振り帰り確認しながら…


急いで同じ切符を買って、彼らの元へと走り出した。



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