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第三部 勇者への道
「ちょっと待ちやがれぇぇぇえ!!!」
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立ち上がる人たちの中には納得がいかない様子の人物もいて、揃って柄が悪そうだった。中には悪名で、名の知れている冒険者もいた。そのうちの1人はズカズカと勇者の前に迫ってきて剣を抜きながら言った。
「まちやがれ!」
「何でしょうか?」
黄塔の勇者は剣を突きつけられても、余裕な表情は崩さず、丁寧に尋ねた。
するとそれをビビっていると捉えたのか。ニヤリと笑みを浮かべて数人の男たちが勇者を囲んだ。
「俺たち狸の団ははるばるカヤマオから来たんだ!こんな不意打ちで不合格っても納得できるわけねぇだろ!」
「やーね。不意打ちでも突破した人がいる時点で察しなさいよ」
狸の団どう見ても実力不足である。ケイトが助け舟としてすかさずそう言うと男たちは睨みつけてきた。しかしケイトもこの程度の者達に後れを取るつもりはなく、いつでも魔法を放てるよう構えた。
当の勇者はというと剣を突きつけられているというのに一人考え込んでいた。
「ふむ、なるほど。不意打ちは確かに可哀想でしたね」
やがて男たちに同意する形で発言した。ケイトは眉をひそめて下がった。黄塔の勇者がそういうのならば自分が出る幕はないと感じたからだ。
そしてその言葉に冗長をした男たちは口々に文句を言い始めた。
「あーあ、彼女にそんなこと言って大丈夫かなぁ」
それをロットの肩口あたりから覗き込むように見ていた赤塔の勇者は心配そうな、呆れたような様子で一部始終を見ていた。
いつのまにか立っていた勇者にロッドたちは声をかける。
「赤塔の勇者様!」
「ロット君たち突破おめでとう。君たち2人が一緒なら死にはしないと思うし頑張ってね」
2人一緒なら死にはしないという不穏なことが気にかかる。裏を返せば実力不足な人が入ると死が訪れる厳しい場所であることを示していた。
「ところで勇者様、黄塔の勇者様は優しい方のようですけど」
戻ってきたケイトが愚痴まじりにそう言った。勇者が笑いながら
「まあ見てて」
と言い、ちょどその時黄塔の勇者は男たちの言い分を飲むようで、もう一度試験をすることを提案していた。
「わかりました。では威力を一点に集中させて一人ひとり撃ちます。それを無事耐えきるか避けることができれば合格としましょう」
名案だとでも言わんばかりに自慢げだった。狸の団の男たちは実力に自信はあるようで、不意打ちじゃなければよけるつもりでいた。
「へへへ、不意打ちじゃなけりゃ余裕だぜ」
しかし、それを見ていた彼女を知る人達は皆同情するような目でその人たちを見ている。ケイト達でさえ、先ほどの威力を一発にまとめたものを想像して寒気がしていた。
狸の団は綺麗に気絶していたから痺れる魔法程度にしか思っていなかったのだ。つまり魔法を知覚することもできないほど弱い。
「あーあ、死んじゃうなぁあの人」
「心配せんでもその時の青塔じゃよ」
赤塔の勇者が面白そうにそう言うと、桃塔の勇者もやってきた。その視線の先には青塔の勇者がいて、無表情のまま男たちの下へ行った。
男たちが声を上げるよりも先に一瞬で間合いに入ると一人の男に短剣を喉元に突きつけていた。さらには黄塔の勇者に向けられていた剣はパキンと小気味よい音を立てて折れた。
目にも止まらぬ速さで手刀を叩き込んでいたのだ。そのスピードに男たちは言葉をつぐんだ。
「あー、黄塔の勇者、先ほどよりは威力を上げるだろうし、デモンストレーションであそこの大岩に一度試し打ちをしてみてくれ。お前たちもそれを見てから判断しなさい」
青塔の勇者はめんどくさそうにそう提案すると黄塔の勇者も素直に受け入れた。先ほどよりも少し集中した様子で少し先にある塔に負けぬほど巨大な岩に向かって魔法を放った。
「わかりました。では……雷の鉄槌」
凄まじい轟音とともに一本の雷が落ち、音とともに巨大な岩は爆散した。
「い、岩が砕け散った」
「すごい威力ね」
ロットとケイトが驚きの感想を漏らした。しかし本気ではないのか険しい表情で再び男たちに向いた。
「ふむ、まあ威力を抑えればこれくらいですね。ではあなたからでしたね?」
その言葉に男たちは戦慄した。
「まちやがれ!」
「何でしょうか?」
黄塔の勇者は剣を突きつけられても、余裕な表情は崩さず、丁寧に尋ねた。
するとそれをビビっていると捉えたのか。ニヤリと笑みを浮かべて数人の男たちが勇者を囲んだ。
「俺たち狸の団ははるばるカヤマオから来たんだ!こんな不意打ちで不合格っても納得できるわけねぇだろ!」
「やーね。不意打ちでも突破した人がいる時点で察しなさいよ」
狸の団どう見ても実力不足である。ケイトが助け舟としてすかさずそう言うと男たちは睨みつけてきた。しかしケイトもこの程度の者達に後れを取るつもりはなく、いつでも魔法を放てるよう構えた。
当の勇者はというと剣を突きつけられているというのに一人考え込んでいた。
「ふむ、なるほど。不意打ちは確かに可哀想でしたね」
やがて男たちに同意する形で発言した。ケイトは眉をひそめて下がった。黄塔の勇者がそういうのならば自分が出る幕はないと感じたからだ。
そしてその言葉に冗長をした男たちは口々に文句を言い始めた。
「あーあ、彼女にそんなこと言って大丈夫かなぁ」
それをロットの肩口あたりから覗き込むように見ていた赤塔の勇者は心配そうな、呆れたような様子で一部始終を見ていた。
いつのまにか立っていた勇者にロッドたちは声をかける。
「赤塔の勇者様!」
「ロット君たち突破おめでとう。君たち2人が一緒なら死にはしないと思うし頑張ってね」
2人一緒なら死にはしないという不穏なことが気にかかる。裏を返せば実力不足な人が入ると死が訪れる厳しい場所であることを示していた。
「ところで勇者様、黄塔の勇者様は優しい方のようですけど」
戻ってきたケイトが愚痴まじりにそう言った。勇者が笑いながら
「まあ見てて」
と言い、ちょどその時黄塔の勇者は男たちの言い分を飲むようで、もう一度試験をすることを提案していた。
「わかりました。では威力を一点に集中させて一人ひとり撃ちます。それを無事耐えきるか避けることができれば合格としましょう」
名案だとでも言わんばかりに自慢げだった。狸の団の男たちは実力に自信はあるようで、不意打ちじゃなければよけるつもりでいた。
「へへへ、不意打ちじゃなけりゃ余裕だぜ」
しかし、それを見ていた彼女を知る人達は皆同情するような目でその人たちを見ている。ケイト達でさえ、先ほどの威力を一発にまとめたものを想像して寒気がしていた。
狸の団は綺麗に気絶していたから痺れる魔法程度にしか思っていなかったのだ。つまり魔法を知覚することもできないほど弱い。
「あーあ、死んじゃうなぁあの人」
「心配せんでもその時の青塔じゃよ」
赤塔の勇者が面白そうにそう言うと、桃塔の勇者もやってきた。その視線の先には青塔の勇者がいて、無表情のまま男たちの下へ行った。
男たちが声を上げるよりも先に一瞬で間合いに入ると一人の男に短剣を喉元に突きつけていた。さらには黄塔の勇者に向けられていた剣はパキンと小気味よい音を立てて折れた。
目にも止まらぬ速さで手刀を叩き込んでいたのだ。そのスピードに男たちは言葉をつぐんだ。
「あー、黄塔の勇者、先ほどよりは威力を上げるだろうし、デモンストレーションであそこの大岩に一度試し打ちをしてみてくれ。お前たちもそれを見てから判断しなさい」
青塔の勇者はめんどくさそうにそう提案すると黄塔の勇者も素直に受け入れた。先ほどよりも少し集中した様子で少し先にある塔に負けぬほど巨大な岩に向かって魔法を放った。
「わかりました。では……雷の鉄槌」
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その言葉に男たちは戦慄した。
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