勘違いとその先

【難波吉行】

俺様は難波財閥の次期当主。

先日ガーデンテラスで運命の相手を見つけた。

儚げな美人で一目で気に入った。

どこかの下っ端財団の男に求婚されていたが、あの美しさは俺様の隣に並ぶのに相応しい。

俺様は下僕に命じて彼女の身辺調査をした。

しかし、あんな美人が居たなんて知らなかったぞ。

その理由もすぐに解った。

彼女は帰国子女で高等科からの編入だったのだ。

更に、西園寺財閥の令嬢で俺様の身分とは相応しいじゃないか。

許婚も婚約もしていないと聞いた。

まあ、でなければ下っ端男が求婚なんてしていないだろう。

俺様は早速今の許婚と婚約解消して婚約を取り付ける事にした。

ああ、求婚した時の彼女の顔が想像出来る。

控えめに微笑んで「嬉しい」と言うのだろう。

俺様の元で昼も夜もなく可愛がってやろうではないか。

いずれ現実になるであろう妄想は彼女の元に向かう足の速度を速めた。