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【4月11日⑫】やっと一日が終わる…。

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最後のチェックポイントには霜月ちゃんが待機している。

「お、やっと来たな?」

霜月ちゃんのその一言で、ヒロインのテンションが爆上がりしたのが解る。

「武田先生?どうしました?」

チラッと霜月ちゃんがヒロインを見ると、ヒロインは上気した頬に期待に満ちたようなうるうるの瞳を霜月ちゃんに向けた。

怪我してるなら痛そうな顔の方がいいと思うんだけど、何を期待してるんだろう。

「女生徒が1人転んで足を捻ったから、手続きを頼む」

武田先生が背負っているヒロインをベンチに下ろして、軽く説明する。

「解りました。2年の…「福田真奈美ですぅ♡」福田、怪我と」

「あの‥「そっちの一般生徒は時間が無いから5分休憩したらすぐに出発してくれ。君は大人しく帰りの車を待って座ってろ」‥はぁい。解りましたぁ♡」

手続きをしていた霜月ちゃんに笑顔で話し掛けようとしたヒロインは、冷めた目で一瞥された。

冷たくあしらわれたけどめげないみたい。

にこにこで霜月ちゃんを見ている。

「雫、時雨、征二、陽向先生体調は?」

そして、私達の元に来た霜月ちゃんは私の頭を撫でた後、順番に体調の有無を確認する。

皆で元気な事を伝えると、霜月ちゃんも片付けを始めた。

「よし、5分経ったな。出発するぞ」

霜月ちゃんの号令で、江守君達も立ち上がる。

霜月ちゃんに従わなかったと知れたらお姉様方に何を言われるか解らないからなのか、江守君達はさっきから無言で従っている。

「え?行っちゃうんですか!?」

どうやら、ヒロインはさっき紗愛ちゃんの所に残った悠李くんのように、霜月ちゃんが残ってくれると思ったみたいだ。

「あ、あの…心細いので‥一緒に居てもらえませんか?」

頬を染め、目を潤ませての上目遣い。

おお。

流石、ヒロイン!

絵になるわ。

しかし、霜月ちゃんの表情は氷点下だ。

本気で呆れている時の顔だ。

「転入生だったな?」

「はい!覚えててくれたんですかぁ♪真奈美、嬉しいですぅ♡」

霜月ちゃんの言葉に歓喜するヒロイン。

そのセリフに音符やハートが飛び交っているのが感じられる。

でも、残念。

霜月ちゃんの顔がものすごく無表情。

「俺は生徒会長の喜多見だ。悪いが1人の生徒の戯れ言を聞く気もなければ贔屓する気もない。歩けないなら大人しく先生方とここに居ろ。そこの一般生徒は先に出発するように。良ければ武田先生は付き添いして下さい」

その一言で何か言いかけた江守君達は口を閉じ、渋々だが先に出発した。

武田先生も任せろとばかりにその後に続く。

そうだよね。

私達、生徒会のバスとは違うからさっさと登ってもらわないと、いくら先着順で帰れるからとは言え、最後のバスで待ってる人達に迷惑がかかるもんね。

「では先生方、ここはお願いします。雫、おいで」

バッサリ切り捨てた霜月ちゃんは私を呼ぶと、しっかり手を繋いでくれた。

「は?ちょっ!そのおん‥女生徒は贔屓じゃないんですか!」

今、その女って言いそうになった?

まぁ、いいけど。

「雫は俺の大事な子だが?」

「は?」

霜月ちゃん!

言い方ぁ!!

「大事な子を大事にするのは当たり前だろう?」

霜月ちゃーん、嬉しいけど頭撫でないで~。

般若が現れるから。

案の定、一瞬、般若が現れた。

「さ、行こう」

霜月ちゃんはヒロインを無視して私達を促し、私と手を繋いだまま歩き出した。

…後ろからビシバシと怨みがましい視線を感じるわ。

その視線を遮るように時雨が霜月ちゃんとは反対側の手を繋いでくれる。

征二くんと陽向先生も後ろに立って歩いてくれた。

本当に感謝しかないわ。

明日の生徒会役員お疲れ様会に、大量に差し入れを作ろう。

そう考えながら私達も頂上を目指した。

頂上に着くと、ちょうど最後のバスが出ていく所だった。

私達が乗るバスは、生徒会役員と各ポイントで待っている先生方を拾いながら学校に戻る。

ただ、怪我をした紗愛ちゃんや付き添った悠李くんと保健の岡本先生、それからヒロインは、頂上で待機している先生方が個別で車を出してくれるので、別車両でそれぞれそのまま病院に連れていかれる。

紗愛ちゃんの怪我が酷くないといいな。

ヒロインのあれはどう見てもイベントの為にわざと転んだので心配はしない。

それから、私達も生徒会役員と先生方で点呼を取ってバスに乗り込んでいく。

やっと帰れる~。

と、ホッとして学校まで爆睡した。

今日は色々と濃ゆい1日だったと思う。
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