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【23話】

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認めてくれた貴族達が見つめる中、グレイと3曲連続で踊ってから私達は中庭に移動した。

「よしよし、良く最後まで言い切ったな」

ずっと口を挟まずに国王陛下とのやりとりを最後まで見守ってくれたグレイにあやされる。

さすがのシルバーも気を利かせたのか付いてこなかった。

「お嬢…本当に俺と婚約して良かったのか?」

グレイが神妙な顔をして私を覗きこむ。

「どうして?」

「初恋の相手を忘れられないから引き摺っていたんだろ?」

私よりも20㎝も背の高いグレイはいつもと違って真剣だった。

「お嬢のあいつへの想いには気付いていたさ。好きだからこそ、あいつの言葉に引き籠りになる程傷付いたんだろ?」

グレイは私が今でもカクタス様を好きだったと勘違いしていた。

いや、確かに、好きだったからこそ傷付いたのだけれど。

引き籠ったのには他の理由があった。

「…いいえ。さすがのグレイでもそこは読み違えているわ。私は恋心故にあの方を意識していた訳じゃないの」

私は、グレイならきっと顔をしかめないで話を聞いてくれると信じている。

「確かに、初めて会った時、漠然とこの方と夫婦になるのだわって思ったの。私はこの方に尽くして生きるのだって…。でも、違ったの。いくら照れ隠しでも、酷い言葉を投げつけられて手を振り払われた。そこまでだったら、私だって照れているのね。で終わったわ」

全てを話してしまえば、関係が変わってしまうかもしれない。

「でもあの方は私を突き飛ばしたのよ。今でも池に沈んでいく感覚は忘れられないわ。更に追い討ちをかけるように見舞いの席でも酷い暴言を吐いた上に、あの方は忘れてしまっているけど、私にお茶をかけたのよ」

「それは……さすがに酷いな」

苦笑するグレイを見つめながら思う。

「ね?確かに、一目惚れはしたけども一連の出来事で恋心は冷めて、ただただ傍若無人なカクタス様に心底嫌悪したのよね。どうしてここまで言われなくちゃならないのかしら?って」

この人なら大丈夫だと。

「じゃぁ、どうして引き摺っていたんだ?」

気遣ってくれるグレイの優しさに甘えてるのは解っている。

でも、全てを話してしまおう。

私は決意して口を開いた。

「…あのね」
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