月曜の恋

火鑚

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月曜の恋

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月曜の朝

人々が忙しなく歩く
憂鬱な幕開け

彼女はいつもの席に座り
読みかけの本を開き
ひとりの静寂を楽しむ

その穏やかな表情は
ブルーマンデーとは無縁の
異界からの来訪者のようだ

文字を追い
かすかに動く瞳

物語に迫り
かすかに動く唇

彼女のわずかな動きも
見逃すまいと
僕は視線を注ぎ続ける

彼女が本を閉じるとき
僕の月曜は憂鬱へ戻され
週に一度の恋物語も幕を閉じる
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