ヒマつぶし

11.ごめん。嘘ついた。

「ごめん。嘘ついた。」

彼女にこの言葉を言われたのは、もう何回目だろう。

「うん。そっか。」

僕がそう答えるのも何回目だろう。彼女の浮気には、もうなれた。

「あのね、別れてほしいの。」
「うん。そっか。」

彼女がおもむろに立ち上がる。

「じゃあね。」
「じゃあね。」

手をふろうとした矢先、いきなり左ほほに激痛が走った。

「ってー！何すんだよ！」
「何って？引き留めなさいよ！！」

は？？

突然の言葉に僕は唖然とする。

「私ってそんな簡単に手放せる女なの？」

彼女は涙ぐみながら、そう呟く。
あぁ、めんどくせぇ。

「あのさ、、お前はさ、引き留めて欲しかったの？」
「うっ、えぐぅ、うぅ、、うん。」
「じゃあさ、浮気は？」
「うぐっ、ぐすっ、引き留めてくれるか、試したの。。」
「じゃあ、浮気は嘘なのか。」
「うん。。ごめんさい。。」

それでもあんまり気は収まらない。

「うん。そっか。」
「貴方からの愛が感じられなくて寂しかったのよ。。ぐすっ」

あー、はいはい。めんどくさい。
そう思いながらも、彼女を抱き寄せた。

「うわーん。」
彼女が俺の腕の中で子供のように泣きじゃくる。

ピロリン♪

ラインの着信音が鳴り響いた。

彼女のスマホの画面には、男の名前が浮かんでいる。

僕じゃない男の名前が。

おかしいなぁ。彼女の泣き声が止まっている。

「ごめん。嘘ついた。」