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Case1 僕とくまのぬいぐるみ

森の中のちいさな冒険1

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―腕利きのクーリエが森の奥の屋敷にいるらしい―
 それを聞いて僕は、薄暗い樹冠が覆う森の奥深くの、ぬかるんだ地面を慎重に踏みしめ、息を切らして歩いていた。

 重い革製のリュックを抱えながら歩く僕は、ペーター。
 リーパ王国に住む、しがない14歳の少年だ。
 僕はとあるクーリエを訪ねようと、この辺境の森を訪れた。

「ふぅ……ちょっと休憩しよう」
 ずっと重いリュックを抱えて歩いていたせいで、余計な体力を使った。しかも地面はぬかるんでいて、踏みしめる度に泥がズボンの裾を汚してしまっていた。
 岩に腰を下ろすと、リュックから水筒を取り出し、飲む。乾いた喉を潤してくれる水は、至極格別だ。
「……あ」
 ごくごく飲んでしまったせいで、水筒の中がからっぽになってしまった。
 なにか使える魔法はないか。僕は腕を組んで考えてみた。
「昨日は雨が降っていたから、どこか水溜まりがあれば」
 僕はリュックから魔法の指南書を取り出して立ち上がり、息を整えて意識を集中させた。
「―水―」
 ぶつぶつと、ふつふつと、水のイメージを頭の中で連想させ、気配を察知する魔法を自分自身に施す。すると、ちょろちょろ、と音が耳に入った。しかも近い。
「あった。水だ」
 僕はすぐ近くの岩のくぼみの水溜まりに駆け寄って、水の状態を確認する。葉っぱや細かい木の枝が入って汚れているけど、これくらいなら除去できそう。
 僕は水を水筒に入れて、今度は汚れを浮かせる魔法を施して、汚れを捨てた。
 ようやく水にありつけた、と一安心して一口飲む。
「……」
 微妙にまずい。汚れは取れていても、匂いまでは取れなかったようだ。
 とりあえず岩にもう一度腰を下ろすと、鼻をつまみながら飲んだ。
「そういえば……クーリエも魔法を使ってるけど、僕が使ってる魔法と何が違うんだろう」
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