完 敵の勇者が私に媚薬を飲まされた責任取れと言ってくる

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「ハンズ！！お前とうとうやったな！！いやぁーお前は小さい頃から家や村の建物を壊しやがって迷惑ばかりかけていたが、物静かでお前の我儘を聞いてやれるアリスと一緒ならこれで一安心……っとゲフンゲフン」

　顔を綻ばせた村の村長が出てきて、勇者に何やら話し始めたかと思えば途中でむせていた。それを両隣りにいる村人が村長の背中を支えながら「良かったですねー。でも今それを言ってアリスさんに今更結婚を破棄されると困りますよ」と小さな声で呟いて、村長もそれに同意しうんうんと頷いている。

　あの……、バッチリ聞こえてるが……。

「はっはっはっ……。何はともあれ今日はハンズとアリスのめでたい日だ。村で結婚式の衣装と料理も用意しているから早速準備だ」

　何やら笑って誤魔化されたのが気になったが、あれよあれよと私と勇者は晴れ着の衣装に着替えさせられ、反論の機会を与えられず急がされて勇者と結婚式を行った。

「アリスちゃん！！ アリスちゃんがうちの子になってくれて本当に……グズンッ……本当になんて私は幸せなのかしら。うちの迷惑暴走息子を引き取ってくれて本当にありがとう。感謝しても感謝してもしきれないわ」

　お祝いの席で勇者の母が私にお礼を言った後、勇者の母は感極まってポロポロと涙を流して喜んでいた。
   周りの近所の奥さん達も貰い泣きしながら「良かったね……あんな息子を持ったら誰だって苦労するよね……」という声が聞こえてきた。