完 運命のお相手は真っ黒でグロテスク

鈴鈴躊躇

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 少しだけ相手の事を考えそうになったが、ううんっ、相手の事なんて気にしちゃ駄目だ!!
 今日はお布団を被ったまま自分の部屋から出ないぞ。

 うちの両親も1番上の兄も運命の相手と結婚して仲睦ましく暮らしている。お布団の上からポンポンと叩いているドラフ兄も去年この生誕祭で運命の相手を見つけ、今年結婚する予定だから僕も運命の相手に夢をみていた。
 いつかは僕もって憧れていたのはあるが。


「まあ……コッチの勝手だけど、でも分かっている通り今日は生誕祭で、家の前で屋台を出している串肉の3千本、今日は全部売りきるから手伝いには来てよ。
 股間を隠したままでいいからさ。コッチに運命の相手の股間がついている事は誰にも言わないから」


 大通り沿いに家を構えている僕達家族は、毎年国王様の生誕祭には家の前に屋台を出し、焼いた串肉を販売するのが恒例になっている。
 その売り上げの半分は僕達家族の収益で、半分は祭りの円滑な運営や祭りの飾り、そして国王様をお祝いする献上品の代金に変わる。

「……本当に誰にも言わないなら……分かった」

 昨日まで僕も含めて家族総出で串肉を作っていた。それを今日だけで3千本も売るんだ。猫の手も借りたいのに僕も我儘なんて言えないよな。

 被っていたお布団をゆっくりと下に落として、下を向いていた顔を上に向けてドラフ兄を見れば、兄は僕の頭を優しくポンポンとしてくれた。

「ふふっじゃあ、先に俺も屋台を手伝ってくるから、コッチも着替えて顔を洗ったら手伝ってくれよ。可愛いお前が売った方が良く売れるからね」

「うん」

 兄がそう言って部屋を出てから、ようやく僕も起き上がって普通の短パンとシャツに着替えた。いつもの僕ならすぐ履けるのに、運命の相手のちんちんがデカすぎて、短パンがいつもよりパツンパツンになってしまったが仕方がない。特に股間は自分の股間に似つかわしくなく……全体的に短パンの前が盛り上がって前のボタンをしめるのに苦労した。

 本当は短パンでも今日はもし運命の相手の股間に変わっていた時の為に、股間が見える穴の空いた短パンにする予定だったから、その穴が空いている短パンの方は静かにクローゼットにしまっておく。
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