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今までの出来事を走馬灯の様に思い出してきて、なんだか涙が溢れてきた。僕は、僕はまだ恋も知らなかった。それでも愛していると言ってくれたボルチーニの彼にときめいて、好きになって、恋人になれたと思って舞い上がって、いなくなって失恋したんだ。
「ぐずっ……ぐふぅっ……」
だって彼はきのこだったから!!
僕は食べてしまったんだ!!
泣いている僕に対しても恋人だと思っていた彼とは違う目の前のボルチーニさんが、僕を優しく受け止めようと両手を広げてくれている。ボルチーニというのは、見た目がそれぞれ違っても優しくて万人受けするきのこ達なのかもしれないと思った。
ミーさんが甘えたい、癒されたいと言っていた意味もなんとなく分かった。
「ボルチーニさん、ごめん。僕は食べるつもりないんだ」
「そうか。それは残念だ。でもいつでもここら辺の場所にいるからまたおいで。あっちの方に歩いていけば、山の頂上に向かう道に出るよ」
「はい。ボルチーニさん有難う。じゃあまた」
「ああ、またね」
こうして別のボルチーニさんとは別れて教えて貰った方向に歩いて行くと、霧の中からぼんやりとした道が見えてきた。
「ぐずっ……ぐふぅっ……」
だって彼はきのこだったから!!
僕は食べてしまったんだ!!
泣いている僕に対しても恋人だと思っていた彼とは違う目の前のボルチーニさんが、僕を優しく受け止めようと両手を広げてくれている。ボルチーニというのは、見た目がそれぞれ違っても優しくて万人受けするきのこ達なのかもしれないと思った。
ミーさんが甘えたい、癒されたいと言っていた意味もなんとなく分かった。
「ボルチーニさん、ごめん。僕は食べるつもりないんだ」
「そうか。それは残念だ。でもいつでもここら辺の場所にいるからまたおいで。あっちの方に歩いていけば、山の頂上に向かう道に出るよ」
「はい。ボルチーニさん有難う。じゃあまた」
「ああ、またね」
こうして別のボルチーニさんとは別れて教えて貰った方向に歩いて行くと、霧の中からぼんやりとした道が見えてきた。
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