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手を握る
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しおりを挟むその右手全体を優しく触りながら独り言を言った為に、またゼクルスの身体がゆらゆら揺れてしまった。やはり僕からの言葉が指示なのか考えている時には身体が揺れるんだ。
「ははっ、独り事ばっかり言ってしまうな。最後にしっかり手を握って、そうだ!!頬ずりもしておこう!!」
本当は恋人になって手を繋いでみたかった。最初で最後になるかもしれないゼクルスの両手を最後にギュッと握った。
それから両手を今度は自分の両頬にくっつける。
目を瞑って両頬にあるゼクルスの、両手のゴツゴツとした硬さを味わって思い出に変える。
「ゼクルスありがとう。もう良いよ」
ゼクルスの両手をゆっくり下ろしてそう言えば、ゼクルスは無表情のまま身体を揺らして手を楽にさせた。
(ふうーーーー!!)
初めて手が握れて幸せだ。
手を握れたのは確かな満足感があった。自分の手を見れば、ゼクルスの手とは全然違う柔らかい手だけれども、先程迄のゴツゴツした彼の手の感触がまだ残っている気がする。
次は顔を間近で見てみよう。
いつもは緊張してしっかりゼクルスの顔を見れずにいたし、彼は彼で一緒にお出かけしても僕の方は見ていなくて、目的の綺麗な景色ばかり見ていた。だから殆んど目が合う事は無い。勿論ゼクルスは悪くないのだ。目的の綺麗な景色を見に行こうと誘ってくれて、目的の場所迄来たら綺麗な景色を見るに決まっている。
だけど今は目の前にゼクルスがいる。折角なのでこの機会にじっくり見ておきたい。
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