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手を握る

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そう言ってみるとゼクルスは何も表情は変えずに両手の平を僕に差し出した。
 とりあえず左手は楽にして貰い、右手を取って握ってみる。

「は、初めて手を握った」

 つい嬉しさが込み上げて顔がニヤけてくる。今まで一度も手を繋いだ事が無かった念願の彼の手を握っている!!
    彼は表情は変えないが、僕の言葉を聞いているのか身体を左右に揺らしている。僕の言葉が指示なのか、指示じゃ無いか、彼の潜在意識の中で僕の言葉を認識する時は身体が揺れるのだろうか。

 両手でゼクルスの右手を強く握ってみると、彼の手の平の皮膚が凄く硬い事が分かる。一度握った手を離してその手の平をまじまじと見てみた。

「立派な手だ。仕事で頑張っている手なんだなぁ」

 彼の手は全体的にゴツゴツして、手の平の皮が非常に厚かった。彼の指も関節もとても太い。手の平には豆が何度も潰れた様な跡もあるし、中には血豆の跡もあった。この手をみれば毎日一生懸命働いている手だとすぐに分かる。石材屋は重い物を沢山持つし、形が歪な硬い鉱物を持つ時、鋭い刃物にもなりかね無いから大変な作業なのだろう。
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