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理由
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しおりを挟む僕の好きなゼクルスが僕の部屋にいる事自体ドキドキするのに、いくら催眠術をかけたからといって、ジッと僕を見つめてくるものなのか。ゼクルスの視線のせいで僕の体温だって高くなるし、心臓が口から出てしまうんじゃないかと思うくらい、バクバクと音を鳴らしている。
僕はゼクルスの事が大好きだ。
パン屋でレジと配達のバイトを始めた学生の僕に声を掛けてくれたのが、パン屋の斜め向い側にある石材屋の息子のゼクルスだ。
ゼクルスはこの国で義務教育となる最低限の学校を卒業した後は、直ぐに父親の紹介で別の大きな石材店で技術を学んだ後、父親の元に戻り、若いながらも今では何人かの従業員を率いて作業持ち場のリーダーをやっているらしい。
最初は自分より随分と大人だと思ったのに、実際の年齢が僕より2つしか上じゃ無かったのにはビックリしたけど。
そんな彼は僕が働いているパン屋のパンが好物らしく、仕事現場が近くなら自分で買いにきてくれる。仕事現場が遠くの場合は従業員の分も朝届けて欲しいと注文が入って、僕が学校に行く前に配達に行っている。
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