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私を冷たくあしらい外面がいいだけの婚約者など、もう婚約破棄させて貰います。
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私は、父の勧めである殿方と婚約する事に─。
彼はとても美形で…地味な私には勿体ない様な方だと思ったが、彼は私が相手で良いと納得してくれた。
だが、いざ婚約してみれば…彼は父の前では私に普通に接するが、それ以外は冷たかった。
そして、お前と婚約したのはお前の父に頼まれ仕方なくだとか…お前の様な地味な女で我慢してやって居るとか…そんな事を平気で言って来るのだ。
その癖、自分のお気に入りの美人や可愛い令嬢達には優しくして…本当に裏表が激しすぎるわ!
だけどそれを証明したくても…彼は表と裏の顔を上手く使い分けて居るし、口も上手だからきっと誤魔化されてしまうだろう。
それに…急に彼と婚約破棄したいと言ったら、父も悲しむだろうし─。
そんな中…私と彼は、あるパーティーに参加する事に─。
すると、そこには彼のお気に入りの令嬢達が勢ぞろいして居て…彼は婚約者である私を放っておいて、彼女達とのおしゃべりに夢中になり…その後はその女達とダンスを楽しんで居た。
それを見た私は、こんな事ならここに来なければ良かった…いや、早く彼と婚約破棄して居ればこんな虚しい思いをする事は無かったのにと、悲しみに涙を滲ませた。
その時、ある人物が私に声をかけて来たのだが…その顔を見て、私はとても驚いた。
と言うのも…そこに居たのは、隣国に行ってしまったはずの私の幼馴染だったからだ。
「久しぶりだな、昨日こっちに戻って来たんだよ。それで、ここにこれば君に会えると君のご両親に聞いて─。でも、確か婚約者と一緒のはずじゃ…?」
そんな彼に…私は、婚約者にされて居る事を全て話した。
そんな時…私達の方を振り返った婚約者が、怒った表情になり戻って来た。
「お前、俺と言う者が在りながら、堂々と浮気か!?ちょっと目を離しただけで、すぐに男に靡くとは…地味な癖に随分と尻軽だったんだな!」
そして、そんな女が婚約者なのは恥ずかしいだの、浮気癖のある女は嫌などと文句を連ねた。
それを聞いた私は…自分の事は棚に上げ、よくそんな事が言えたものだと腹立たしくなった。
そして…もう我慢の限界だ、こんな人とは婚約破棄したいと思った。
すると…それを見て居た幼馴染が一歩前に出て私を背に庇い、彼にこう言った。
「そんな事、君が言えた義理か?婚約者の彼女を放っておいて、大勢の女達と楽しんで居た癖に…。君からそうして先に彼女を冷たくあしらっておきながら、何を言う!」
幼馴染の形相に、婚約者は一瞬怯んだが…嫌な笑みを浮かべこう言った。
「俺はな、こいつの父親に頼まれたから婚約してやったんだ。そんな女をどうしようが俺の勝手だ!」
するとその時…人をかき分け、私の父が怖い顔で彼に近づいて来た。
それに気づいた彼は、どうして父がここに来て居るのかと驚いて居た。
「予定が早く終わり、こちらのパーティーに参加する事になったが…まさかこんな事になって居たとはな。婚約してから娘がどことなく元気が無かったのは、君のその性格が原因だったか。もう無理して娘に付き合って貰う必要は無い…君との婚約は無かった事にしよう。お前もそれでいいね?」
「はい、お父様。私、この方とはもうやって行けません。」
「こ、こんな所で恥をかかせやがって…後で俺の父から報復があっても知らないからな!」
そう言って、彼は会場を去って行った。
そんな彼を見て…父は私に、あんな男だとは思わなかった…今回の事は本当に申し訳なかったと謝って来た。
私も、今まで黙って居て悪かったと父に謝り…そして次の婚約者は、自分で決めたいと伝えたのだった。
でも…今回の事で彼のお父様に何かされたらどうしようと不安を口にすれば、父は絶対にそれは無いと言った。
「あの男の家の事業に金を出し、助けて居るのはこちらだ。それなのに、自分の家の方が格上だと勘違いして…愚かにも程がある。大目玉を食らうのはあの男自身だ─。」
そして父の言葉通り…彼のお父様からは、制裁どころか謝罪を貰う事に─。
逆に元婚約者は父親に大層怒られた挙句、次期当主の座を外され家から追放される事になった。
行き場の無くなった彼は、お気に入りの令嬢達に助けて貰おうと声をかけたが…そんなふうになった彼を、誰も助ける事は無く…むしろ、彼との縁を切ってしまったと言う。
そうなって、もっと私を大事にすればよかったと彼は後悔する事になったそうだが…全てが遅いのだった。
一方、私はと言うと…新たな婚約者を迎え、幸せな日々を送って居た。
その相手は、パーティーで再会を果たした幼馴染の彼だった。
彼は、婚約者に今まで冷たくされて来た私にとても優しくしてくれ…婚約破棄になった私の心の支えになってくれた。
そんな彼に、私はいつしか特別な感情を抱く様になり…思い切って、彼に告白する事に─。
すると、彼はそんな私の気持ちに応えてくれ…私達は交際を始め、その後正式に婚約をしたのだった。
あの日、あの会場に彼が居なかったら…彼が何も言ってくれなかったら、私は今も色んな事を我慢しながらあの男と婚約関係を続けて居たかも知れない。
そう思うと、まさにあれは運命の再会で…私と彼は実は赤い糸で結ばれて居たのかと思うわ─!
彼はとても美形で…地味な私には勿体ない様な方だと思ったが、彼は私が相手で良いと納得してくれた。
だが、いざ婚約してみれば…彼は父の前では私に普通に接するが、それ以外は冷たかった。
そして、お前と婚約したのはお前の父に頼まれ仕方なくだとか…お前の様な地味な女で我慢してやって居るとか…そんな事を平気で言って来るのだ。
その癖、自分のお気に入りの美人や可愛い令嬢達には優しくして…本当に裏表が激しすぎるわ!
だけどそれを証明したくても…彼は表と裏の顔を上手く使い分けて居るし、口も上手だからきっと誤魔化されてしまうだろう。
それに…急に彼と婚約破棄したいと言ったら、父も悲しむだろうし─。
そんな中…私と彼は、あるパーティーに参加する事に─。
すると、そこには彼のお気に入りの令嬢達が勢ぞろいして居て…彼は婚約者である私を放っておいて、彼女達とのおしゃべりに夢中になり…その後はその女達とダンスを楽しんで居た。
それを見た私は、こんな事ならここに来なければ良かった…いや、早く彼と婚約破棄して居ればこんな虚しい思いをする事は無かったのにと、悲しみに涙を滲ませた。
その時、ある人物が私に声をかけて来たのだが…その顔を見て、私はとても驚いた。
と言うのも…そこに居たのは、隣国に行ってしまったはずの私の幼馴染だったからだ。
「久しぶりだな、昨日こっちに戻って来たんだよ。それで、ここにこれば君に会えると君のご両親に聞いて─。でも、確か婚約者と一緒のはずじゃ…?」
そんな彼に…私は、婚約者にされて居る事を全て話した。
そんな時…私達の方を振り返った婚約者が、怒った表情になり戻って来た。
「お前、俺と言う者が在りながら、堂々と浮気か!?ちょっと目を離しただけで、すぐに男に靡くとは…地味な癖に随分と尻軽だったんだな!」
そして、そんな女が婚約者なのは恥ずかしいだの、浮気癖のある女は嫌などと文句を連ねた。
それを聞いた私は…自分の事は棚に上げ、よくそんな事が言えたものだと腹立たしくなった。
そして…もう我慢の限界だ、こんな人とは婚約破棄したいと思った。
すると…それを見て居た幼馴染が一歩前に出て私を背に庇い、彼にこう言った。
「そんな事、君が言えた義理か?婚約者の彼女を放っておいて、大勢の女達と楽しんで居た癖に…。君からそうして先に彼女を冷たくあしらっておきながら、何を言う!」
幼馴染の形相に、婚約者は一瞬怯んだが…嫌な笑みを浮かべこう言った。
「俺はな、こいつの父親に頼まれたから婚約してやったんだ。そんな女をどうしようが俺の勝手だ!」
するとその時…人をかき分け、私の父が怖い顔で彼に近づいて来た。
それに気づいた彼は、どうして父がここに来て居るのかと驚いて居た。
「予定が早く終わり、こちらのパーティーに参加する事になったが…まさかこんな事になって居たとはな。婚約してから娘がどことなく元気が無かったのは、君のその性格が原因だったか。もう無理して娘に付き合って貰う必要は無い…君との婚約は無かった事にしよう。お前もそれでいいね?」
「はい、お父様。私、この方とはもうやって行けません。」
「こ、こんな所で恥をかかせやがって…後で俺の父から報復があっても知らないからな!」
そう言って、彼は会場を去って行った。
そんな彼を見て…父は私に、あんな男だとは思わなかった…今回の事は本当に申し訳なかったと謝って来た。
私も、今まで黙って居て悪かったと父に謝り…そして次の婚約者は、自分で決めたいと伝えたのだった。
でも…今回の事で彼のお父様に何かされたらどうしようと不安を口にすれば、父は絶対にそれは無いと言った。
「あの男の家の事業に金を出し、助けて居るのはこちらだ。それなのに、自分の家の方が格上だと勘違いして…愚かにも程がある。大目玉を食らうのはあの男自身だ─。」
そして父の言葉通り…彼のお父様からは、制裁どころか謝罪を貰う事に─。
逆に元婚約者は父親に大層怒られた挙句、次期当主の座を外され家から追放される事になった。
行き場の無くなった彼は、お気に入りの令嬢達に助けて貰おうと声をかけたが…そんなふうになった彼を、誰も助ける事は無く…むしろ、彼との縁を切ってしまったと言う。
そうなって、もっと私を大事にすればよかったと彼は後悔する事になったそうだが…全てが遅いのだった。
一方、私はと言うと…新たな婚約者を迎え、幸せな日々を送って居た。
その相手は、パーティーで再会を果たした幼馴染の彼だった。
彼は、婚約者に今まで冷たくされて来た私にとても優しくしてくれ…婚約破棄になった私の心の支えになってくれた。
そんな彼に、私はいつしか特別な感情を抱く様になり…思い切って、彼に告白する事に─。
すると、彼はそんな私の気持ちに応えてくれ…私達は交際を始め、その後正式に婚約をしたのだった。
あの日、あの会場に彼が居なかったら…彼が何も言ってくれなかったら、私は今も色んな事を我慢しながらあの男と婚約関係を続けて居たかも知れない。
そう思うと、まさにあれは運命の再会で…私と彼は実は赤い糸で結ばれて居たのかと思うわ─!
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