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留学した彼に待って居たのはかつての愛しい恋人で、私は捨てられる事となりました。

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私の婚約者は…将来家の事業を継ぐ為、隣国の学園に留学する事になった。

 彼と離れるのは寂しかったが…これも彼の将来の為と納得し、私は応援する事に─。

 それに…良い成績を修め、試験に合格すればすぐにでも帰って来ると言って居たし…彼なら、きっと大丈夫よね─?



 しかし…課題をこなせなかったり、最初の試験で最低点を叩き出し追試を受ける事になったりと、どうやら彼は勉強に身が入らないらしい。

 そしてそうなったのは…ある女に関わって居た為だと判明した。



 それは、かつて彼が付き合って居た女で…彼女は美人だが男癖が悪く、それを心配した彼の父が強引に二人を別れさせた。

 その後…彼女は家の事情で家を出され、その後は行方が分からなかったが…どうやら隣国に行かされて居た様で、町で彼と偶然再会し、そして二人は再び恋の炎を燃え上がらせる事に─。

 そして、勉強よりも彼女との恋に夢中になった彼は…こんな事になってしまったのだった。
 


 彼の父から事の次第を聞いた私は、急ぎ隣国へ…彼の元へと向かった。

 そして彼に会い、もう彼女と関わらないで欲しい…私との将来を考え、真面目に勉強に打ち込んで欲しいと言った。

 しかし彼は…そんな私を鬱陶しそうな目で見つめ、こう言った。

「家同士の約束で決められた婚約者など、俺はもう要らない…。今やお前は、彼女との仲を裂く邪魔な存在でしかないんだ。」

 そして彼は、私とは婚約破棄する…だからお前はもう国に戻れ、自分は彼女とここでずっと生きて行くと父に伝えておいてくれと言い、私を追い返したのだった─。



 ところが、それから一ヶ月後…彼は、素行不良で留学先の学園から追い出される事に─。

 どうやら学園を無断欠席し、学園の寮に彼女を連れ込み好き放題やって居た事が問題となり、もうここには置いておけないとなった様だ。

 

 すると彼は、彼女を頼ろうとしたが…彼女はそんな彼を拒否した。

 と言うのも…彼女は、「名門校で学ぶ彼」と言うものに惚れて居たらしく…そこから外れた彼に、何の魅力も感じなくなった…これ以上付き合えないと、彼をこっ酷く振ったのだ。


 
 困った彼は、仕方なく自国に戻り…そして実家に頼ろうとしたが、彼の父はそんな彼を拒否した。

 彼から言付かった事を私から聞き、彼に対し大いに失望した父親は…事業を継がせるのは弟にする、あいつはもう息子でなく赤の他人だと言い、親子の縁を切ってしまって居たのだ。

 これには、彼もほとほと困り果て…そして、元婚約者の私に何とかして欲しいと泣きついて来た。


 
「あの時は彼女との恋に溺れ、ついおかしな事を…。やはり俺には、お前しか居ない。どうか俺を助けてくれ!」

 そう言って頭を下げる彼を…私は冷たい目で見た。

「お断りです。あなたの事など、私はもう知りません。」

「そ、そんな…!」

「あなたとの縁は、あの時にもう切れたのです。それに…私には、もう素敵な恋人が居て…彼との将来まで考えて居ますから─。」



 その恋人は、私と同じ学園に通って居て…彼とは元々友人として仲が良く、婚約者が留学し寂しいと言う私を、彼はよく慰めてくれて居た。

 そしてその後、彼に裏切られ捨てられ落ち込む私を…彼はずっと支えてくれたのだ。



 すると、そんな彼の優しさに私はいつしか友情以上のものを感じる様になり…思い切って彼に告白すれば、彼も私を一人の女性として好きだと言い、気持ちに応えてくれたのだった。

 そして私達は交際を始め…それはとても順調で、学園卒業後には婚約しようと言う話になって居る。



「…と言う事だから、元婚約者のあなたが割り込む余地など全く無いの。もう、二度と私の前に現れないで頂戴!」

 私の言葉に、彼は目に涙を滲ませたが…私はそんな彼を、問答無用で家から追い出したのだった。

 
 
 その後、彼はもう一度実家に帰り…父親に何度も頭を下げ、どうにか家に置いて貰う事になったものの…それは息子としてではなく、奴隷のような扱いで…彼は一生タダ働きで、こき使われ生きて行かねばならないらしい。

 そうなって、漸く自分のした事を悔いて居るそうだが…もう何もかもが手遅れなのだった─。
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