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妹の病を治せない役立たずとはもう婚約破棄だと、彼に捨てられる事となりました…。

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 私の婚約者には、病気がちな妹が居た。

 私は、彼女の看病を熱心にして来たが…彼女は、一向に善くならなかった。

 すると、私は婚約者に呼ばれ…突然婚約破棄を告げられた。



「お前には治癒力があると聞いて居たが…妹は、ちっとも善くならないじゃないか!?」

「私は、やれる事はすべてやりました。ただ、あの子が─」

「お前、俺の可愛い妹に何か文句でもあるのか!?自分の無力さを棚に上げ…何て性格の悪い女だ!お前など、早くこの家から出て行け─!」

 結局彼は、私の話を少しも聞こうとせず…私を家から追い出してしまった。

 その際、彼は新たな婚約者を家に迎えると言って居た。

 その女は、私程ではないが治癒力が備わって居て…大層な美人だそうだ。

 彼は、その女の訪れを心待ちにして居るようだったが…果たして、上手く行くかしらね─。



 その後、彼の元にやって来た女は…彼の妹の病を治す事なく、あっけなくこの世を去った。
 
 そしてその原因は…病などではなく、ある人物に呪い殺された為だった。

 その人物というのは…彼の妹だった。

 彼女は、いくら自分の病を治す為とはいえ…大好きな兄に、女が近付くのが許せずそんな事をしたらしい。

 


「…だから言ったでしょう?私は出来る事をしたと。でも…それを受け入れなかったのは、あなたの妹自身だったのです。私はその死んだ女よりも治癒力が強かったので、自身にかけられた呪いの影響も自然と治癒する事が出来て、どうにか無事でしたがね。」

「あの子には、ちゃんと反省する様に言っておいた。だから、もう一度俺の元に来てくれ。そして、あの子の病を治してくれ!」

 そう言って頭を下げる元婚約者に、私は呆れてしまった。

「あなた…妹に注意しただけで、事を済まそうと考えて居るの?あの子のした事は、人殺しと同じです。呪いで人の命を奪った者は、一生幽閉というのがこの国の掟…あなたはそれを破った上に、私に戻って来いと?」

「だって…幽閉など、あの子が可哀そうじゃないか!」



 この男…どこまでも妹を庇うのか─。

「あなたの様なシスコンなど、こちらからお断りよ。あなたの元に行ったら、また私は呪われてしまうわ。しかし…そんなにあの子が可哀相と言うなら、いい考えがあるわ─。」


 
 その後、私はこの件を憲兵に通報した。

 妹が人を呪い殺したのに、兄が掟に背き幽閉しない…兄は妹が好きすぎるあまり、それが出来ないでいる、と─。

 その結果、妹は彼の家の地下牢に一生幽閉となったが…何と、兄である彼も共に幽閉される事に。

 それならば、妹も寂しくないだろうし…兄も、大好きな妹の世話を付きっきりで出来るだろうと言うのが理由だ。

 これには、流石の彼も必死に抵抗したそうだが…一度決まった事が覆される事は無かった。



 こうして私は、あの兄妹との縁を完全に切る事が出来たのだった。

 そしてその後は…自身の治癒力を生かし、城の騎士団の治療班の一人として働く事にしたのだが…やがてある騎士団員と恋仲となった。

 彼は私の力だけでなく、私の全てを愛してくれて…今ではその彼の元、幸せに暮らして居るのだった─。
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