私の留学中に、婚約者と妹が恋仲になったようです──。

Nao*

文字の大きさ
上 下
6 / 9

6

しおりを挟む
 私が居ない間に、リリララは私とガルディア様の仲を深める為と言い訳しガルディア様と二人きりで会うようになり…そんなリリララに誘われたガルディア様は、すぐに地味な私よりも可愛いリリララに心奪われたらしい。



 始めはそんな事はいけないと思って居た二人だったが…リリララを気に入ったガルディア様の母親の後押しもあり、自分達の関係は悪いものでは無いのだと、二人はすっかり開き直るようになったそうだ。

 そして今では、他の生徒達が居る前でも平気でイチャイチャして居るとの事だった。



 探偵が送って来たと言う報告書を見て、私は深い溜息を吐いた。

 私が留学に行った事が、二人を結び付るきっかけになってしまったとは…。

 どうやら、私が間に入る余地はもう無いようだし…こうなったからには、もう私と彼の関係は修復できそうにないわね─。



「でも婚約破棄するなら、二人にはキッチリ慰謝料を払って貰わないと…。それによって、リリララとも姉妹の縁が切れる事になるだろうけれど…これも仕方ない事だわ。」

 そう覚悟する私だったが…それを見たおじ様は、そうなって家に帰り辛くなったらいつまでもここに居て良いと言ってくれた。



「アメリアは優秀で真面目でいい子だし、大歓迎だよ。私たち夫婦には子供がいないし…何だったら、養子にでもなって欲しい位だ。それに、アメリアが居るとロベルトも嬉しそうだしね。」

「そんな、私は─!」

「お前をいくつの時から見て来たと思ってるんだ?アメリアが来てからと言うもの、お前は常に穏やかな笑顔を浮かべるようになった…。とても幸せそうな顔をして居るぞ。」



 そう言って笑うおじ様に、ロベルトは気恥ずかしそうに顔を伏せた。

 その顔が、何だか年相応のようで…私もついクスクスと笑ってしまった。



 あぁ、ロベルトが居てれくれて良かったわ…。

 私一人でこんな報告書を呼んで居たら、悲しくて悲しくて…涙で視界が一杯になり、最後まで読めなかったと思うから─。



 私は、ガルディア様とリリララとの問題を早々に片付け…そして、ロベルトとずっとこうして穏やかで楽しい時間を過ごして居たいと思うのだった。



 するとその時、振っていた雨が止んだ事に私は気付いた。

 そして母の言葉を思い出した私は、いつも通って居た学園の裏山に早速向かう事に─。



「アメリア様、降り続いた雨で足元が大変危険です。また後日、改めてにしませんか?」

「分かっては居るんだけれど…でも、どうしても今日の内にここに来たかったの。」

「しかし…ア、アメリア様、あそこを見て下さい!」



 ロベルトが指を差した辺りに目を向けた私は、その場で驚きの声を上げ…そして、喜びの余り呆然とするロベルトに抱きつくのだった─。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。

重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。 あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。 よくある聖女追放ものです。

【全4話】私の婚約者を欲しいと妹が言ってきた。私は醜いから相応しくないんだそうです

リオール
恋愛
私の婚約者を欲しいと妹が言ってきた。 私は醜いから相応しくないんだそうです。 お姉様は醜いから全て私が貰うわね。 そう言って妹は── ※全4話 あっさりスッキリ短いです

友達にいいように使われていた私ですが、王太子に愛され幸せを掴みました

麻宮デコ@ざまぁSS短編
恋愛
トリシャはこだわらない性格のおっとりした貴族令嬢。 友人マリエールは「友達だよね」とトリシャをいいように使い、トリシャが自分以外の友人を作らないよう孤立すらさせるワガママな令嬢だった。 マリエールは自分の恋を実らせるためにトリシャに無茶なお願いをするのだが――…。

見知らぬ男性に突然婚約破棄を告げられましたが…それで困り不幸になったのは、妹の方でした。

coco
恋愛
ある日突然、見知らぬ男性から婚約破棄を告げられた私。 その時、私の傍には婚約者が居て…彼との仲が、気まずい事になり…?

真実の愛かどうかの問題じゃない

ひおむし
恋愛
ある日、ソフィア・ウィルソン伯爵令嬢の元へ一組の男女が押しかけた。それは元婚約者と、その『真実の愛』の相手だった。婚約破棄も済んでもう縁が切れたはずの二人が押しかけてきた理由は「お前のせいで我々の婚約が認められないんだっ」……いや、何で? よくある『真実の愛』からの『婚約破棄』の、その後のお話です。ざまぁと言えばざまぁなんですが、やったことの責任を果たせ、という話。「それはそれ。これはこれ」

私を追い出した妹とその婚約者は没落し、今では牢に住んでいます。

coco
恋愛
妹とその婚約者がグルになって、私をあの家から追い出した。 あの家は、私が居なくなったら終わりなのに。 だってあの家は、私の為のものだもの。 没落した2人は、今では牢に住んでいます。 新しい家が見つかって良かったわ─。

妹が私を婚約させ家から追い出そうとしましたが…出で行く羽目になったのは彼女でした。

coco
恋愛
妹が私に婚約話を持ち掛けて来た。 その相手はろくでもない男で、私は断ろうとしたが…?

処理中です...