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幼馴染母娘を大事にし家庭を顧みない夫と別れ、私は娘と新しい生活を始める事にします。
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私は一人娘が可愛くて仕方なかったが、夫は我が子を余り可愛がろうとしなかった。
更に最近では、娘が自分の子ではないとおかしな事まで言い始め…私は娘を慰めつつも、どうして夫がそのような事を言い出したか分からず困惑するのだった。
しかしそんな夫も、自身の幼馴染の娘は可愛がって居た。
彼女が娘を連れ遊びにこれば、自ら進んでその子に声をかけ一緒に遊ぶ。
それを見た娘が悲しそうにしても、夫は何も気づかないのだった─。
「…少しは自分の娘を大事にして下さい。あの幼馴染の娘を可愛がるのと同じように、あの子にも愛情を注いで下さい。」
しかし夫は、私の言う事などまともに聞きはしなかった。
それどころか…。
「あの子は俺にちっとも似ておらず、地味で平凡で可愛くない。俺の幼馴染が最近教えてくれたんだが…お前、自分の幼馴染と浮気してたんじゃないのか?それであの子は、その幼馴染との間に出来た子じゃないのか?」
「な、何を馬鹿な事を…!幼馴染とは確かに今も仲良しですが、男女の仲ではありませんよ!」
「だが俺の幼馴染が、お前たちが町で二人仲良く密会するげんばを見たって言うんだ。お前の幼馴染は黒髪で黒目…あの子も同じだ。俺もお前も金髪碧眼だから、そんな子供が生まれる訳ないんだよ!」
そう夫は怒鳴ると、話も途中だと言うのに部屋から出て行った。
確かに、私は町で幼馴染と会って居たが…あの出会いは偶然だし、幼馴染がお世話になった方にお礼をしたいが女性の好みは分からないと言うので一緒に品物を選んであげて居ただけに過ぎない。
それを一方的に浮気だと決めつける何て…夫もだけど、幼馴染の彼女も失礼すぎるわ!
娘の髪と目の色だって、単なる先祖返りだと前にも言ったわ…。
私や幼馴染の生まれた地では、昔は黒髪黒目の人間が主流だったのよ!
だがその日以降、夫は娘だけでなく私の事も避けるようになり…遂には、家に帰って来なくなってしまった。
その行方を探った所、夫は幼馴染の彼女の家に入り浸っているらしく…彼女の娘を自身の娘だと可愛がり、新しい父親になってあげようと話して居るそうだ。
幼馴染の夫は戦場で活躍する騎士だったが、少し前に亡くなり…彼女は未亡人となって居たのだった。
夫はそんな彼女と娘を自分が養ってあげたいと考えているらしく、この家にあるだけのお金をほとんど持ち逃げしてしまっていた。
そのせいで、夫が居なくなってからの私と娘の生活は随分と厳しいものとなった。
私は娘に対し、自分のせいでこんな事になってごめんねと謝罪したが…娘は、お母様は何も悪くないと言ってくれた。
「私やお母様を大事にしてくれないお父様が悪いのよ。知ってるわ、お父様が私を本当の娘だと思わず嫌って居る事。私も、そんなお父様が嫌い。私じゃなく他人の子を可愛がるお父様何てもう要らないわ!」
「そうよね…。私ももう、あの人の事が─。」
娘の言葉に、私は夫と離縁する覚悟を決めるのだった。
その後…一週間ぶりに家に戻って来た夫に、私は別れを告げた。
「この家を出て行く準備は整いました。娘の親権は私が持ちます。あなたはあの幼馴染とお好きになさって下さいな。」
「出て行くって…お前たち二人で生きて行けるのか?離縁は構わないが、後から金がないなどとすり寄って来ないでくれよ?」
見下した目で見てくる夫に、私はそんな事は絶対にありえないと言った。
「実は幼馴染に協力した事で、私もある素晴らしい方とお知り合いになりましてね。その方の力添えで、娘も私も一生お金に困る事なくこの先を生きて行けそうですので。」
「何!?」
実は幼馴染がお世話になったと言うのは、あるお金持ちのご婦人だったが…彼女は真面目で誠実な幼馴染を気に入り、彼に大層良くしてくれたと言う。
そしてその幼馴染を手伝いセンスのいい贈り物を選んだ私の事も痛く気に入り、女の独り身は何かと大変だろうと良い職を斡旋してくれたのだ。
「新しく住む所も見つけて貰えましてね。あなたが居ない間に、ほとんど荷物も運び終えましたよ。その方は、この先も私や娘の力を貸してくれると約束してくれてます。むしろこの先心配なのは、あなたの方ですよ。」
「ど、どうして俺が─」
「その方は、あなたの幼馴染の亡き夫の遠い親戚でしたんですって。それで大事な親戚のあの子が命を落としたのは、妻であるあなたの幼馴染が何か仕掛けたせいじゃないかとその方は疑って居るの。それで近くあなたの幼馴染は尋問される事が決まって居るようでね…罪が明らかになれば、あなたは罪人の女と家庭を持とうとした事になるの。そうなったら、今まで通り事業が上手く行くと思う?私はそうは思わないわ。」
そんな私の言葉に、夫は真っ青になり…今すぐ幼馴染と別れる、もう一度やり直そうなどと言って来た。
「でも、あなたは娘が可愛くないのでしょう?まだ浮気の末の子だと思って居る?」
「それは、その…。そうだ、あの子は孤児院にでも預けよう!それで新しく子を作ろう、仲直りの記念として!」
私はそんな馬鹿な事を言う夫に、二の句が継げなかった。
しかし…。
「お前のような愚かな男は、もう子を作るな。二度と家庭を持つな。あの子は孤児院には入れない、俺が実の子のように可愛がるからな。」
「お前は…!」
不機嫌な顔をした幼馴染が、夫を邪魔だとでもいうように押しのけ部屋に入って来た。
「最後に荷物運びを手伝おうとお邪魔したんだが…もう別れは済んだのだろう?あの子が家で君の帰りを待ってるから、早くここを出よう。」
「そうね、来てくれてありがとう。」
仲良く話す私に、夫はやはりお前たちはそんな関係だったのかと怒鳴って来たが…私たちの仲は、まだ仲のいい長爾身に過ぎない。
でもここ最近、娘はすっかり幼馴染に懐いて…その様子を見た夫人も私と幼馴染をくっつけようとして居るし、いつかは深い仲になるかも知れないわね。
でも、あなたとあなたのお幼馴染が破滅する方が先でしょうが…。
私はまだ何かを言いたげな夫を無視し、幼馴染の馬車に乗り愛する娘の待つ新居へと向かうのだった。
その後…元夫の幼馴染は自身の夫の食事に毒を混ぜた罪で投獄…彼女の子は孤児院へと送られた。
するとその件以降、元夫は悪い噂が立ってしまい…上手く行って居た事業はあっという間に傾き、家も土地も全て失い路頭に迷う事に─。
そうなって、私と娘の事を懐かしく思って居るそうだが…今更私達を求めても遅いわ。
そして、私はと言うと…紹介された仕事も順調、その給金で娘を良い学園に入れる事が出来たし幸せな日々を送って居た。
娘は学園生活が楽しいのか、以前よりもうんと明るくなり…子供らしい笑顔を見せてくれる様に─。
そしてそんな娘を見た幼馴染は…正式にこの子の父親になりたい、私達と家族になりたいと言ってくれたのだ。
実は幼馴染は、昔から私が好きだったが…父親から継いだ事業が余り上手く行っておらず、それ故に私を諦めたのらしい。
でも今は婦人の力添えもあり、また彼自身の真面目さのおかげで支援者にも恵まれ事業は絶好調だそうだ。
それで、私に気持ちを伝えてくれたのだが…娘や婦人の応援もあり、彼の気持ちに応える日が来るのはもうすぐそこだわ─。
更に最近では、娘が自分の子ではないとおかしな事まで言い始め…私は娘を慰めつつも、どうして夫がそのような事を言い出したか分からず困惑するのだった。
しかしそんな夫も、自身の幼馴染の娘は可愛がって居た。
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それを見た娘が悲しそうにしても、夫は何も気づかないのだった─。
「…少しは自分の娘を大事にして下さい。あの幼馴染の娘を可愛がるのと同じように、あの子にも愛情を注いで下さい。」
しかし夫は、私の言う事などまともに聞きはしなかった。
それどころか…。
「あの子は俺にちっとも似ておらず、地味で平凡で可愛くない。俺の幼馴染が最近教えてくれたんだが…お前、自分の幼馴染と浮気してたんじゃないのか?それであの子は、その幼馴染との間に出来た子じゃないのか?」
「な、何を馬鹿な事を…!幼馴染とは確かに今も仲良しですが、男女の仲ではありませんよ!」
「だが俺の幼馴染が、お前たちが町で二人仲良く密会するげんばを見たって言うんだ。お前の幼馴染は黒髪で黒目…あの子も同じだ。俺もお前も金髪碧眼だから、そんな子供が生まれる訳ないんだよ!」
そう夫は怒鳴ると、話も途中だと言うのに部屋から出て行った。
確かに、私は町で幼馴染と会って居たが…あの出会いは偶然だし、幼馴染がお世話になった方にお礼をしたいが女性の好みは分からないと言うので一緒に品物を選んであげて居ただけに過ぎない。
それを一方的に浮気だと決めつける何て…夫もだけど、幼馴染の彼女も失礼すぎるわ!
娘の髪と目の色だって、単なる先祖返りだと前にも言ったわ…。
私や幼馴染の生まれた地では、昔は黒髪黒目の人間が主流だったのよ!
だがその日以降、夫は娘だけでなく私の事も避けるようになり…遂には、家に帰って来なくなってしまった。
その行方を探った所、夫は幼馴染の彼女の家に入り浸っているらしく…彼女の娘を自身の娘だと可愛がり、新しい父親になってあげようと話して居るそうだ。
幼馴染の夫は戦場で活躍する騎士だったが、少し前に亡くなり…彼女は未亡人となって居たのだった。
夫はそんな彼女と娘を自分が養ってあげたいと考えているらしく、この家にあるだけのお金をほとんど持ち逃げしてしまっていた。
そのせいで、夫が居なくなってからの私と娘の生活は随分と厳しいものとなった。
私は娘に対し、自分のせいでこんな事になってごめんねと謝罪したが…娘は、お母様は何も悪くないと言ってくれた。
「私やお母様を大事にしてくれないお父様が悪いのよ。知ってるわ、お父様が私を本当の娘だと思わず嫌って居る事。私も、そんなお父様が嫌い。私じゃなく他人の子を可愛がるお父様何てもう要らないわ!」
「そうよね…。私ももう、あの人の事が─。」
娘の言葉に、私は夫と離縁する覚悟を決めるのだった。
その後…一週間ぶりに家に戻って来た夫に、私は別れを告げた。
「この家を出て行く準備は整いました。娘の親権は私が持ちます。あなたはあの幼馴染とお好きになさって下さいな。」
「出て行くって…お前たち二人で生きて行けるのか?離縁は構わないが、後から金がないなどとすり寄って来ないでくれよ?」
見下した目で見てくる夫に、私はそんな事は絶対にありえないと言った。
「実は幼馴染に協力した事で、私もある素晴らしい方とお知り合いになりましてね。その方の力添えで、娘も私も一生お金に困る事なくこの先を生きて行けそうですので。」
「何!?」
実は幼馴染がお世話になったと言うのは、あるお金持ちのご婦人だったが…彼女は真面目で誠実な幼馴染を気に入り、彼に大層良くしてくれたと言う。
そしてその幼馴染を手伝いセンスのいい贈り物を選んだ私の事も痛く気に入り、女の独り身は何かと大変だろうと良い職を斡旋してくれたのだ。
「新しく住む所も見つけて貰えましてね。あなたが居ない間に、ほとんど荷物も運び終えましたよ。その方は、この先も私や娘の力を貸してくれると約束してくれてます。むしろこの先心配なのは、あなたの方ですよ。」
「ど、どうして俺が─」
「その方は、あなたの幼馴染の亡き夫の遠い親戚でしたんですって。それで大事な親戚のあの子が命を落としたのは、妻であるあなたの幼馴染が何か仕掛けたせいじゃないかとその方は疑って居るの。それで近くあなたの幼馴染は尋問される事が決まって居るようでね…罪が明らかになれば、あなたは罪人の女と家庭を持とうとした事になるの。そうなったら、今まで通り事業が上手く行くと思う?私はそうは思わないわ。」
そんな私の言葉に、夫は真っ青になり…今すぐ幼馴染と別れる、もう一度やり直そうなどと言って来た。
「でも、あなたは娘が可愛くないのでしょう?まだ浮気の末の子だと思って居る?」
「それは、その…。そうだ、あの子は孤児院にでも預けよう!それで新しく子を作ろう、仲直りの記念として!」
私はそんな馬鹿な事を言う夫に、二の句が継げなかった。
しかし…。
「お前のような愚かな男は、もう子を作るな。二度と家庭を持つな。あの子は孤児院には入れない、俺が実の子のように可愛がるからな。」
「お前は…!」
不機嫌な顔をした幼馴染が、夫を邪魔だとでもいうように押しのけ部屋に入って来た。
「最後に荷物運びを手伝おうとお邪魔したんだが…もう別れは済んだのだろう?あの子が家で君の帰りを待ってるから、早くここを出よう。」
「そうね、来てくれてありがとう。」
仲良く話す私に、夫はやはりお前たちはそんな関係だったのかと怒鳴って来たが…私たちの仲は、まだ仲のいい長爾身に過ぎない。
でもここ最近、娘はすっかり幼馴染に懐いて…その様子を見た夫人も私と幼馴染をくっつけようとして居るし、いつかは深い仲になるかも知れないわね。
でも、あなたとあなたのお幼馴染が破滅する方が先でしょうが…。
私はまだ何かを言いたげな夫を無視し、幼馴染の馬車に乗り愛する娘の待つ新居へと向かうのだった。
その後…元夫の幼馴染は自身の夫の食事に毒を混ぜた罪で投獄…彼女の子は孤児院へと送られた。
するとその件以降、元夫は悪い噂が立ってしまい…上手く行って居た事業はあっという間に傾き、家も土地も全て失い路頭に迷う事に─。
そうなって、私と娘の事を懐かしく思って居るそうだが…今更私達を求めても遅いわ。
そして、私はと言うと…紹介された仕事も順調、その給金で娘を良い学園に入れる事が出来たし幸せな日々を送って居た。
娘は学園生活が楽しいのか、以前よりもうんと明るくなり…子供らしい笑顔を見せてくれる様に─。
そしてそんな娘を見た幼馴染は…正式にこの子の父親になりたい、私達と家族になりたいと言ってくれたのだ。
実は幼馴染は、昔から私が好きだったが…父親から継いだ事業が余り上手く行っておらず、それ故に私を諦めたのらしい。
でも今は婦人の力添えもあり、また彼自身の真面目さのおかげで支援者にも恵まれ事業は絶好調だそうだ。
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