『恋愛短編集①』離縁を乗り越え、私は幸せになります──。

Nao*

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妊娠中の夫の義妹が実家に帰って来た事で、平穏だった夫婦生活が上手く行かなくなりました。

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 私と夫は、子には恵まれないものの仲良く暮らして居た。

 だが夫の義妹が急に離縁となりこの地に戻って来た事で、事態は一変した。



 夫は可愛がって居た彼女が再び自分の近くに戻った事を大層喜び、以前にも増して彼女を溺愛し始めた。

 そのせいで立ち上げたばかりの事業にも悪い影響が出始め、私は妻としてそんな夫を諫めた。

 しかし彼は私の言葉になどろくに耳を貨さず、当てつけのように更に彼女を可愛がった。



 そんな中、義妹の妊娠が発覚─。
 
 すると夫はその子の養育費に充てるようにと、彼女に事業資金の一部を渡すようになった。



 私が支援者たちに必死に頭を下げ、募ったお金だと言うのに…。

 いくら溺愛する義妹とは言え、それはあなたではなく子供の父親がどうにかする事じゃないの?



 そう私が夫に話せば、俺の大事な妹に冷たい態度をとるのは許さない…金ならまた別の支援者たちに出させろ、そうするのは妻のお前の役目だと怒った。



 更には、元はと言えばちっとも子が出来ないお前が悪い─。

 こんな出来損ないの妻を貰って文句を言いたいのは俺の方だと、夫は私をなじるのだった。



 この夫の態度に、私は色々と我慢の限界が来てしまった。


 
 私だって、本当はもっと早く彼女のように子を身籠りたかった…。
 
 でも事業が忙しいからまだ子作りは駄目だと、ずっと私を避けて来たのはあなたじゃない!



 そして私は次第に、夫と離縁したいと思うようになった。


 
 だがそれから少しして、義妹がとんでもない女であった事が発覚した。

 彼女のお腹の子は、実は元夫ではなく…彼女が誘惑した使用人との間に出来た子であった。

 しかし元夫は心の広い人で、彼女を許し結婚生活を維持しようとした。



 だが義妹は一方的に離縁状を突きつけ、元夫の家から持てるだけの金を盗み…自分の罪から逃げるように、実家に帰って来て私の夫に甘える日々を送って居たのだ。



 しかしそれでも反省しなかった彼女は、今度は私の夫の支援者のお金持ちの殿方に目を付け誘惑し始めた。


 
 だがその殿方は、義妹の事など全く相手にせず…むしろ付き纏われて迷惑だった、精神的にストレスを受けたと義妹に慰謝料を支払うよう命じ…ついでに、夫の事業にもこの先一切協力しないと宣言した。



 その殿方のお金を充てにし今後の事業計画を立てて居た夫は、この事態に大層焦り…私を彼の元に謝罪に行かせ、支援金を貰って来いと命じた。


 
「そんなのお断りです。私はもう、あなたと離縁しますから…そこまでする義理はありません。」

「お、お前の力添えがないと大変なんだ!」

「そんな私を蔑ろにして来たから悪いのよ。とにかく、後の事はあなたの義妹とどうにかしてね。」



 その後…夫は事業を続けられず、遂に破産─。

 例の支援者に慰謝料を払うよう義妹に命た後、二人揃ってこの地を出て行く事に─。



 そしてあれほど仲の良かった二人だが、元々は血の繋がりがない為か…家とお金が亡くなったら、あっという間にその関係は崩壊した。



 夫と義妹は離別し、その後夫は新しい事業を何とか立ち上げるも…軌道に乗らず、貧乏暮らしを送って居ると言う。



 また義妹は、子を産むも育てられず…自身の元夫に子を預け、今はただ働き同然の下働きの日々を送って居るらしい。


 
 一方、私はと言うと…義妹に慰謝料を請求した例の殿方と、良い仲となって居た。

 

 実は彼が義妹に慰謝料を請求したのは、慰謝料を貰えないまま離縁する事になる私を気遣っての事だった。

 彼は義妹から受け取ったお金を私に渡してくれ…今まで苦労した私を労うと同時に、自身と一緒になって欲しい…そうすれば、この先も苦労のない幸せな日々を送らせてあげると言ってくれた。


 
 彼は、前から資金繰りにいっそ湯懸命になる私を心配すると同時に…健気で慎ましい私をに密かに行為を持って居たのだ。



 それで、今回このような行動を起こしてくれたのだが…私も密かに彼の事は紳士的で素敵な方と思って居たし、その気持ちに喜んで応えるにした。



 そして今では、結婚前提で彼とのお付き合いを始めているが…私だけを大事にしてくれる彼に、私の心はいつも幸せ一杯だわ─。
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