113 / 132
華やかな暮らしを手に入れた夫は、これまで尽くして来た私をあっさり捨てました。
しおりを挟む
結婚当初、夫の事業はそこまで順調では無く…私は両親の遺した遺産を使い、彼を陰ながら支える事にした。
そして、それから五年の月日が流れ…夫の事業は、漸く軌道に乗る事が出来た。
もう、がむしゃらに働かなくても十分やって行ける…。
これまでは事業を拡大する事だけを考えて来たが…これからは夫婦の時間を大切にし、子供だって欲しい─。
私は、そんな事を考えて居たが…夫は違った様だ─。
事業が軌道に乗ってからと言うもの、夫は若い女に手を出す様になった。
夫は気に入った女達に金をばら撒き、毎晩の様に飲み歩いてばかり居た。
私は、どうかそんな事は辞めて欲しいと夫に訴えた。
しかし夫は…俺が稼いだ金で何をし様が俺の勝手だ、妻の癖に夫に意見をするなど生意気だと怒った。
大金を手にすると人が変わる事があると聞くが…まさか、自分の夫がそうなるとは思っても居なかった。
私は、今まで妻としてあなたに尽くして来たのに…こんなの酷すぎる─。
その後も、夫の女癖は治るどころかどんどん酷くなる一方だった。
昼間から愛人を家に呼び、酒を飲んでは厭らしい事をして居る。
私が嫌な顔をすれば、犯行的な態度を取るなと手まで上げる様になり…私は、そんな生活に耐えられなくなって居た。
するとそんな中…夫が離縁を迫って来た。
聞けば、愛人の一人にすっかり心奪われ…彼女を新たな妻に迎えたいそうだ。
その女の名を聞いた私は…どこか引っかかるものを感じた。
しかし、その理由が分からない。
考え込む私に、夫は痺れを切らしこう言った。
「事業が軌道に乗った今、お前はもう用無しなんだよ!慰謝料はちゃんとくれてやるから、さっさとこの家を出て行け!」
こうして私は、夫から札束の入った鞄を投げつけられると…家から叩き出されたのだった─。
その後、元夫はすぐにその愛人を家に迎えた。
そんな彼に、愛人は色々とおねだりし…宝石や高価なドレスをいくつも買って貰い、優雅な暮らしを送り…そうして幸せそうに過ごす愛人を見て、元夫は心から満足して居る様だった。
だが、そんな生活もすぐに終わりを迎えた。
と言うのも…元夫は嘘の投資話に引っ掛かり、財産の殆どを失った挙句に借金まで背負う事になったからだ。
すると愛人は、そんな彼にすぐに見切りをつけ去って行った。
しかし、これに元夫は激しい怒りを見せた。
何故なら…その投資話を持って来たのは、その愛人だったからだ。
だが…彼女は金目の物を全て持ち去り、完全に姿を消してしまった─。
「…俺はあいつに裏切られたんだ。それに…今思えば、あいつがあんなに色々と俺に物を強請ったのは、俺に財産を浪費させる為だった様な気がしてならない。」
そう言って、私を訪ねて来た元夫は項垂れた。
「でしょうね。あの女は…あなたを恨んで居たはずだから。」
そして私は、ある事を夫に伝えた。
姿を消したあの女は…夫が事業を拡大させる為に利用するだけ利用して潰した、ある名家の娘だった。
そんな彼女は、元夫の事を恨み…それを晴らすべく彼の愛人になり、そんな嘘の投資話を持ち掛けたのだろう。
「彼女の名前に何となく聞き覚えがあったんですが…あなたに離縁されてから、それを思い出しましてね。」
「なら、どうして教えてくれなかった!」
「離縁し赤の他人になったあなたに、そこまでする義理は無いでしょう?それで…今日あなたがここにやって来たのは、きっと私に今の状況をどうにかして貰う為だろうけれど…私は、もうあなたに尽くす様な事はしないわ。」
「そ、そんな…。」
「だって私には…既にあなたではなく、他に尽くしたい相手が居ますから─。」
すると部屋のドアが開き、一人の殿方が入って来た。
「お前は…俺の事業を一時手伝って居た…?」
「そうよ。彼はあれから独立し…今はその事業を軌道に乗せ、順調にやって居るわ。だから、私との再婚も前向きに考えてくれてるの。」
「何!?」
驚く元夫に、彼はもういいだろうと言って襟を掴むと、家から放り出した。
「彼女の様な良妻を捨てるなど、あなたは本当に愚かだ。そんなあなたの元で働いて居た事は汚点だが…でも、そのおかげで彼女との縁が出来た。俺は…その頃から、賢く慎ましやかな彼女に惹かれて居た。彼女の事は俺が幸せにするから安心しろ─。」
そして、二度と私に近づくな…もしそれを破ったらただではおかないと言うと…元夫は冷や汗を流し去って行った。
その後、元夫は借金取りに追われこの地を去ったそうで…今はどこでどうして居るか分からない─。
その話を聞いて、私はこれで彼と共に穏やかに暮らす事が出来ると安心し…そんな私を、彼は今日も変わらず大事にしてくれた─。
そして、それから五年の月日が流れ…夫の事業は、漸く軌道に乗る事が出来た。
もう、がむしゃらに働かなくても十分やって行ける…。
これまでは事業を拡大する事だけを考えて来たが…これからは夫婦の時間を大切にし、子供だって欲しい─。
私は、そんな事を考えて居たが…夫は違った様だ─。
事業が軌道に乗ってからと言うもの、夫は若い女に手を出す様になった。
夫は気に入った女達に金をばら撒き、毎晩の様に飲み歩いてばかり居た。
私は、どうかそんな事は辞めて欲しいと夫に訴えた。
しかし夫は…俺が稼いだ金で何をし様が俺の勝手だ、妻の癖に夫に意見をするなど生意気だと怒った。
大金を手にすると人が変わる事があると聞くが…まさか、自分の夫がそうなるとは思っても居なかった。
私は、今まで妻としてあなたに尽くして来たのに…こんなの酷すぎる─。
その後も、夫の女癖は治るどころかどんどん酷くなる一方だった。
昼間から愛人を家に呼び、酒を飲んでは厭らしい事をして居る。
私が嫌な顔をすれば、犯行的な態度を取るなと手まで上げる様になり…私は、そんな生活に耐えられなくなって居た。
するとそんな中…夫が離縁を迫って来た。
聞けば、愛人の一人にすっかり心奪われ…彼女を新たな妻に迎えたいそうだ。
その女の名を聞いた私は…どこか引っかかるものを感じた。
しかし、その理由が分からない。
考え込む私に、夫は痺れを切らしこう言った。
「事業が軌道に乗った今、お前はもう用無しなんだよ!慰謝料はちゃんとくれてやるから、さっさとこの家を出て行け!」
こうして私は、夫から札束の入った鞄を投げつけられると…家から叩き出されたのだった─。
その後、元夫はすぐにその愛人を家に迎えた。
そんな彼に、愛人は色々とおねだりし…宝石や高価なドレスをいくつも買って貰い、優雅な暮らしを送り…そうして幸せそうに過ごす愛人を見て、元夫は心から満足して居る様だった。
だが、そんな生活もすぐに終わりを迎えた。
と言うのも…元夫は嘘の投資話に引っ掛かり、財産の殆どを失った挙句に借金まで背負う事になったからだ。
すると愛人は、そんな彼にすぐに見切りをつけ去って行った。
しかし、これに元夫は激しい怒りを見せた。
何故なら…その投資話を持って来たのは、その愛人だったからだ。
だが…彼女は金目の物を全て持ち去り、完全に姿を消してしまった─。
「…俺はあいつに裏切られたんだ。それに…今思えば、あいつがあんなに色々と俺に物を強請ったのは、俺に財産を浪費させる為だった様な気がしてならない。」
そう言って、私を訪ねて来た元夫は項垂れた。
「でしょうね。あの女は…あなたを恨んで居たはずだから。」
そして私は、ある事を夫に伝えた。
姿を消したあの女は…夫が事業を拡大させる為に利用するだけ利用して潰した、ある名家の娘だった。
そんな彼女は、元夫の事を恨み…それを晴らすべく彼の愛人になり、そんな嘘の投資話を持ち掛けたのだろう。
「彼女の名前に何となく聞き覚えがあったんですが…あなたに離縁されてから、それを思い出しましてね。」
「なら、どうして教えてくれなかった!」
「離縁し赤の他人になったあなたに、そこまでする義理は無いでしょう?それで…今日あなたがここにやって来たのは、きっと私に今の状況をどうにかして貰う為だろうけれど…私は、もうあなたに尽くす様な事はしないわ。」
「そ、そんな…。」
「だって私には…既にあなたではなく、他に尽くしたい相手が居ますから─。」
すると部屋のドアが開き、一人の殿方が入って来た。
「お前は…俺の事業を一時手伝って居た…?」
「そうよ。彼はあれから独立し…今はその事業を軌道に乗せ、順調にやって居るわ。だから、私との再婚も前向きに考えてくれてるの。」
「何!?」
驚く元夫に、彼はもういいだろうと言って襟を掴むと、家から放り出した。
「彼女の様な良妻を捨てるなど、あなたは本当に愚かだ。そんなあなたの元で働いて居た事は汚点だが…でも、そのおかげで彼女との縁が出来た。俺は…その頃から、賢く慎ましやかな彼女に惹かれて居た。彼女の事は俺が幸せにするから安心しろ─。」
そして、二度と私に近づくな…もしそれを破ったらただではおかないと言うと…元夫は冷や汗を流し去って行った。
その後、元夫は借金取りに追われこの地を去ったそうで…今はどこでどうして居るか分からない─。
その話を聞いて、私はこれで彼と共に穏やかに暮らす事が出来ると安心し…そんな私を、彼は今日も変わらず大事にしてくれた─。
52
お気に入りに追加
414
あなたにおすすめの小説

【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい
春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。
そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか?
婚約者が不貞をしたのは私のせいで、
婚約破棄を命じられたのも私のせいですって?
うふふ。面白いことを仰いますわね。
※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。
※カクヨムにも投稿しています。

絵姿
金峯蓮華
恋愛
お飾りの妻になるなんて思わなかった。貴族の娘なのだから政略結婚は仕方ないと思っていた。でも、きっと、お互いに歩み寄り、母のように幸せになれると信じていた。
それなのに……。
独自の異世界の緩いお話です。

3歳児にも劣る淑女(笑)
章槻雅希
恋愛
公爵令嬢は、第一王子から理不尽な言いがかりをつけられていた。
男爵家の庶子と懇ろになった王子はその醜態を学園内に晒し続けている。
その状況を打破したのは、僅か3歳の王女殿下だった。
カテゴリーは悩みましたが、一応5歳児と3歳児のほのぼのカップルがいるので恋愛ということで(;^ω^)
ほんの思い付きの1場面的な小噺。
王女以外の固有名詞を無くしました。
元ネタをご存じの方にはご不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。
創作SNSでの、ジャンル外での配慮に欠けておりました。

自信過剰なワガママ娘には、現実を教えるのが効果的だったようです
麻宮デコ@ざまぁSS短編
恋愛
伯爵令嬢のアンジェリカには歳の離れた妹のエリカがいる。
母が早くに亡くなったため、その妹は叔父夫婦に預けられたのだが、彼らはエリカを猫可愛がるばかりだったため、彼女は礼儀知らずで世間知らずのワガママ娘に育ってしまった。
「王子妃にだってなれるわよ!」となぜか根拠のない自信まである。
このままでは自分の顔にも泥を塗られるだろうし、妹の未来もどうなるかわからない。
弱り果てていたアンジェリカに、婚約者のルパートは考えがある、と言い出した――
全3話

【完結】逃がすわけがないよね?
春風由実
恋愛
寝室の窓から逃げようとして捕まったシャーロット。
それは二人の結婚式の夜のことだった。
何故新妻であるシャーロットは窓から逃げようとしたのか。
理由を聞いたルーカスは決断する。
「もうあの家、いらないよね?」
※完結まで作成済み。短いです。
※ちょこっとホラー?いいえ恋愛話です。
※カクヨムにも掲載。
王様の恥かきっ娘
青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。
本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。
孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます
物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります
これもショートショートで書く予定です。
愛されていたのだと知りました。それは、あなたの愛をなくした時の事でした。
桗梛葉 (たなは)
恋愛
リリナシスと王太子ヴィルトスが婚約をしたのは、2人がまだ幼い頃だった。
それから、ずっと2人は一緒に過ごしていた。
一緒に駆け回って、悪戯をして、叱られる事もあったのに。
いつの間にか、そんな2人の関係は、ひどく冷たくなっていた。
変わってしまったのは、いつだろう。
分からないままリリナシスは、想いを反転させる禁忌薬に手を出してしまう。
******************************************
こちらは、全19話(修正したら予定より6話伸びました🙏)
7/22~7/25の4日間は、1日2話の投稿予定です。以降は、1日1話になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる