『恋愛短編集①』離縁を乗り越え、私は幸せになります──。

Nao*

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妻の私よりも幼馴染を大事にし続けた夫は、自身の誕生日に地獄を見るのでした。

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 夫は妻の私より、自身の幼馴染を愛して居た。

 これは結婚してすぐに分かった事で…夫に相手にされない私は、ずっとそれを寂しく思って居た。



 しかし今ではもう心が麻痺したのか、二人が一緒に居る姿を見ても特に何も感じなくなった。

 そして最近では、もうそんな夫とは一刻も早く離縁しようと思うまでになった。

 だってこのままでは子は望めないし、何より彼と居ては後々大変な目に遭ってしまうから─。



 でも余りに夫が彼女とばかり居るものだから、私は彼に離縁の話をする事がずっと出来ないで居る。

 そこで私は、仕方なしに彼の誕生日パーティーで離縁を言い渡す事に─。

 そこなら夫に逃げ場は無いし、招待客にとっても現状を知って貰う良い機会だと思ったからだ。



 そしてパーティー当日を迎えたが…その会場はかなり質素なものだった。

 これには招待客もざわつき、夫はあからさまに不機嫌になった。

 また夫に招待された幼馴染は、そんな夫を不安そうに見て居た。



 すると夫は、会場の手配をした私に皆の前で文句を言って来たが…それに対し私は、あなたの事業の売り上げが悪く予算が確保できなかった為だと答えた。

 すると夫は、そんな事態になって居るとは全く聞いて居ない…金の事は全てお前に任せて居るのにと激怒した。



 だが私は、それもこれもあなたが幼馴染と過ごしてばかりで話をする時間が無かったからだ…今日は良い機会だから、私が話したかった事や思って居た事を聞いて欲しい─。

 そうしてくれれば、すぐに夫婦関係を終わらせると告げた。



 この私の言葉に、夫は暫し呆然として居たが…我に返ると、こんなおめでたい席で何を言うかと声を荒げた。

 しかし私はそれを無視し、あなたの事業は大分傾いており…支援者の方からせっかく頂いた支援金も、その幼馴染み兼愛人である彼女が金庫から持ち出して居る為に底を付きかけて居ると告白した。

 

 するとその言葉に、招待された支援者達は激怒─。
 
 あれはお前の愛人の為に渡した金では無いと、一斉に夫を責め立てた。



 それに対し夫は、彼女はただの幼馴染で間違ってもそんな悪事を働く女では無いと庇ったが…二人の不貞の証拠を私は既に集めており、彼女が金庫から金を奪う所も使用人の殆どが目撃済みだった。

 また彼女自身が酒に酔い、それを武勇伝のように自身の友人達に語った事も判明して居る。
 


 するとそれらの証拠を突き付けられた夫は絶句し、幼馴染の彼女は誤魔化しきれずその場で号泣─。

 そして私はそんな二人に慰謝料を請求し、改めて離縁を告げると混乱する会場から姿を消すのだった─。


 
 その後、元夫の幼馴染は窃盗犯として牢に送られ…元夫は支援者達に支援金を返すべく奔走する日々を送る事となった。

 だが元夫にはそれらしい財産などほとんど残っておらず、彼は家も土地も全て売り払いお金を作る羽目になった。



 一方、私はと言うと…元夫に内緒で始めた投資が上手く行き大金を手にして居たおかげで、何の苦労も無く楽しい日々を送って居た。
 


 これについては元夫に報告しようとした事もあったが…あの人があの女に構ってばかりで、結局言えずじまいになって居た。
 
 でも今となっては、返ってそれで良かったわね─。



 その後、私はそのお金で自身で事業を立ち上げ…元夫の支援者の殿方に気に入られた事もあり、それを軌道に乗せる事が出来た。



 その方はあのパーティーに招待されて居た一人で、あんな所で離縁を告げる事しか出来ない程に追い込まれて居た私を大層憐れに思ってくれた。

 そして自分なら、妻である女性をもっと大事にするのにと思ったと言う。



 その後彼は私を助ける内、自分が私を大事にしたいと思うようになって行き…事業が成功した事を機に、自身の妻になって欲しいと言って下さったのだ。
 


 私は彼が元夫と違い、思いやりがあって優しい性格の方だと気付いて居たし…何より女性の影が全く無い所が、伴侶としては最高だと思った。

 その為喜んで彼の気持ちに応え…晴れて夫婦となった今、私達はそれはそれは仲睦まじい日々を送って居る─。
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