『恋愛短編集①』離縁を乗り越え、私は幸せになります──。

Nao*

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夫が美人家政婦を連れ帰って来た事で、妻としての私の必要性がなくなりました。

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 事業の関係で他国に居る夫が、もうすぐ帰って来る。
 
 私は、そんな夫の帰りを心待ちにして居た。



 しかし帰って来た夫の隣には、一人の美しい女が─。

 彼女は新しく雇う事にした家政婦だそうで…道中で職を求め困って居る彼女と出会った夫は、力になってあげたいとこうして連れ帰って来たと言う。



 私は突然の事に驚きながらも、妻として納得するしかなかったが…家政婦として雇ったはずの彼女は、その後まともに働く事無く夫と遊んでばかり居る。

 おまけに彼女は常に私を馬鹿にし、逆に私の方を家政婦扱いして来る始末だ。



 そんな彼女を問題視した私は、夫に別の家政婦を雇って欲しいと願い出た。



 しかし夫は、自分が選んだ女に文句を言うな─。

 彼女の働きについては主の俺が評価するのだからお前は口を出すなと、逆に私を生意気だと叱るのだった。



 以前は私に優しかった夫なのに…彼女を連れて来て以降豹変してしまった。

 どうしてあんな女を連れて来たのか…どうしてあんな女の味方をするのか、私は夫の気持ちがサッパリ分からなかった。


 
 しかしそんな中、夫の事業仲間である友人の一人が私の元を訪ねて来た。

 その際夫は家政婦の彼女を連れ街に出かけており、私はその方とゆっくり話をする事が出来た。


 
 夫の友人は今回の旅に同行して居たそうで、実はあの家政婦は夫の昔なじみの愛人なのだと言う。

 二人は今まで私に隠れ逢瀬を重ねて居たが、毎日一緒に居たいと考えた夫が家政婦として連れ帰って来たらしい。



 その際夫は、友人のよしみでこの事は妻の私に内緒にしろと口止めして居たそうだが…その方は良心の呵責に耐えられず、こうして私に秘密を打ち明けに来たのだった。



 するとその方は、街で二人が頻繁にデートをして居る事は仲間内だけでなく支援者の間でも悪い意味で噂になって居る─。
 
 本人達は互いに夢中で何も見えて居ないが、このままでは事業資金の打ち切りや事業不振が待って居ると言った。



 またその方自身も、夫とはもう一緒に事業をやれない…今すぐ縁を切ろうと考えて居るらしい。

 その為、妻である私も今後の身の振り方を考えた方が良いと彼は忠告して下さった。


 
 それを聞いた私は夫の裏切りに激怒すると同時に、どうして家政婦として役にも立たない彼女を夫がそこまで大事にするかその理由を漸く知る事が出来た。
 
 不貞を働いた上、そんな将来性のない夫などもう要らないわ…。
 


 その夜、私に関係がバレて居るとは知らない二人はノコノコ帰って来たが…私は夫に昼間あった事を話し、こちらから離縁を告げた。



 すると夫は、新しく事業を立ち上げたばかりの今事業資金を失ったら多額の負債を抱える事になる…お前の実家の金が必要になるから、頼むから別れないでくれと泣きついて来た。



 また家政婦と言う名の愛人は、一生遊んで暮らせると言われここにやって来たのに話が違う…そんな事になるなら元居た所に帰りたいと涙した。



 しかし私はそれを無視し、二人それぞれに浮気の慰謝料を請求─。

 問題事が大きくなる前に、二人の元から去って行くのだった。



 結局それからすぐ、支援者や友人から縁を切られた元夫の事業は傾き…彼は多額の負債を抱え、私に慰謝料を払った後に破産─。
 
 住んで居た屋敷も土地も失い、路頭に迷う事に─。


 
 また元夫の愛人である彼女は、私に慰謝料を払う為今度こそ本当に家政婦として真面目に働く事に─。

 雇い主の女主人は大層厳しいそうで、彼女は馬車馬のようにこき使われる悲惨な日々を送って居るらしい。

 

 一方、私はと言うと…離縁し独り暮らしを始めた私を心配した元夫の友人がちょくちょく訪ねて下さり、私達はいつしか互いに特別な感情抱くように─。

 彼は、元夫を諫めれなかった自分を今でも責めて居て…だからこそ、あの人の分まで自分が私を幸せにしたいと言って下さった。

 

 う二度と愛する人に裏切られたくなかったか私は…そんな彼の態度や言葉でこの人ならばきっと大丈夫だと思い、彼との将来を真剣に考えるのだった。



 そして順調な交際を重ねた私達は翌年には結婚、共に暮らし始めたが…私は夫となった忙しい彼の帰りを、家で待つ日々を送る事に─。

 ただ彼は、元夫と違い絶対に一人で帰って来てくれる事が分かって居るので安心だ。

 

 今日もまた彼は、家の前に立つ私に気付くと笑顔で手を振り勢いよく駆けて来て…そして会えなかった分だけ、私をしっかりと抱き締めてくれるのだった─。
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