『恋愛短編集①』離縁を乗り越え、私は幸せになります──。

Nao*

文字の大きさ
上 下
86 / 132

病気の妻は要らないと私を捨てた夫は、美人メイドと再婚を決めたようです…。

しおりを挟む
 家同士の繋がりで、ある殿方と結婚した私。

 結婚当初上手く行って居た私達だったが、私が謎の病に罹った事で事態は一変する。

 と言うのも…何故か私の顔が醜く爛れてしまい、治らなくなってしまったのだ。



 すると夫は、そんな顔になった私を大層嫌うように─。

 そして、自分にその病が移っては嫌だ…病気の妻などもう要らないから離縁だと、私を実家に追い返そうとするのだった。



 思えば、夫は最初から私の顔にしか興味が無かった…。
 
 その顔が醜くなった今、もう私を愛する事は出来ないと言う事だろう。

 そう思った私は離縁を受け入れ、彼の元を去る事に─。

 

 そして実家で療養生活を送る事になったが…そんな私の元に、元夫が美人メイドと良い仲となった…彼女を新たに妻に迎えるつもりだと言う噂が流れて来た。



 そのメイドなら覚えがある…。

 元夫が知り合いから紹介され、顔が美人だと言う事ですぐに気に入り雇う事にしたのよね。

 確か彼女には、私の部屋の掃除にも入って貰ったわ。



 その頃から彼女と元夫は仲が良かったけれど…もしかしたら、二人は浮気関係にあったのかも知れない。

 でもそれが分かった所で、今更どうする事も出来ない─。



 そんな中、私の病の原因が分かったと幼馴染が訪ねて来た。

 彼はこの地で医者として活躍しており、実家に帰って来た私の事も診察してくれて居た。



 彼曰く、私の顔が爛れたのは愛用して居る化粧水が原因だそうだ。
 
 そこからある植物の花の成分が検出されたのだが…それが肌に付着し濃度が濃かった場合、肌が爛れてしまう危険性があるそうだ。



 でもこれは結婚前から愛用して居て、それまでは何事も無かったのに…。

 そう話す私に、きっと誰かが化粧水を入れ替えたのだろうと幼馴染は推理した。


 
 そう言えば…その美人メイドが私の部屋に掃除に入って以降、私の肌にそのような症状が現れたような─。

 まさか、彼女がその犯人なのだろうか─。



 すると私の元に、元夫の事で更なる情報が飛び込んで来た。

 何と美人メイドが食中毒を起こし、彼女は死亡…そしてその犯人として元夫が捕まったと言うのだ。

 そして中毒の原因は、私を苦しめたその花のエキスが入った紅茶と言う事だった。



 その花は食用でもあるが…余りに大量に摂取すると、人の命を奪う毒物にもなるらしい。

 その事はメイドは知って居たが、元夫は知らなかったようで…彼女が庭で育てて居たその花が食用と聞き、更に美容効果が得られると言う事で大量に紅茶に混ぜ、より一層美しくなってもらおうと彼女に飲ませてしまった。

 その結果、元夫は自らの手で愛する彼女を亡き者にしてしまったのだった。



 そして捕らえられた元夫は牢の中でその花の危険性と、メイドの私への悪事を知る事となり…そんな恐ろしい女を愛した事、そんな者の為に犯罪者になった事を大いに嘆くのだった。


 
 一方、私はと言うと…その化粧水を使わなくなった事や幼馴染の的確な治療の結果、以前の美しさをすっかり取り戻す事が出来た。

 

 するとそんな私に、幼馴染は以前から好きだったと告白してくれ…自身の伴侶になって欲しいと求愛して来た。

 彼は以前から私が好きだったが、家柄の事があり気持ちを伝えられずに居たと言う。
 


 だが今では名医と呼ばれるほどの医者となり…そして私を救った事で、私の両親から許しが出たのだった。



 彼は私の顔を治すだけでなく、一方的に離縁され傷付いた心にも寄り添ってくれた。

 そしてそんな彼に、私も何時しか特別な想いを抱くようになって居たわ…。

 

 その事に気付いた私は、喜んで彼の気持ちに応える事にし…その後は妻として公私共に彼を支え、二人で幸せな日々を送って居る─。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

お飾り呼ばわりされた公爵令嬢の本当の価値は

andante
恋愛
婚約者を奪おうとする令嬢からからお飾り扱いだと侮辱される公爵令嬢。 しかし彼女はお飾りではなく、彼女を評価する者もいた。

絵姿

金峯蓮華
恋愛
お飾りの妻になるなんて思わなかった。貴族の娘なのだから政略結婚は仕方ないと思っていた。でも、きっと、お互いに歩み寄り、母のように幸せになれると信じていた。 それなのに……。 独自の異世界の緩いお話です。

いつから恋人?

ざっく
恋愛
告白して、オーケーをしてくれたはずの相手が、詩織と付き合ってないと言っているのを聞いてしまった。彼は、幼馴染の女の子を気遣って、断れなかっただけなのだ。

病めるときも健やかなるときも、お前だけは絶対許さないからなマジで

あだち
恋愛
ペルラ伯爵家の跡取り娘・フェリータの婚約者が、王女様に横取りされた。どうやら、伯爵家の天敵たるカヴァリエリ家の当主にして王女の側近・ロレンツィオが、裏で糸を引いたという。 怒り狂うフェリータは、大事な婚約者を取り返したい一心で、祝祭の日に捨て身の行動に出た。 ……それが結果的に、にっくきロレンツィオ本人と結婚することに結びつくとも知らず。 *** 『……いやホントに許せん。今更言えるか、実は前から好きだったなんて』  

【完結】アナタが選んだんでしょう?

BBやっこ
恋愛
ディーノ・ファンは、裕福な商人の息子。長男でないから、父から預かった支店の店長をしている。 学生でいられるのも後少し。社交もほどほどに、のんびり過ごしていた。 そのうち、父の友人の娘を紹介され縁談が進む。 選んだのに、なぜこんなけっかになったのだろう?

あなたの瞳に映るのは妹だけ…闇の中で生きる私など、きっと一生愛されはしない。

coco
恋愛
家に籠り人前に出ない私。 そんな私にも、婚約者は居た。 だけど彼は、随分前から自身の義妹に夢中になってしまい…?

その婚約破棄喜んで

空月 若葉
恋愛
 婚約者のエスコートなしに卒業パーティーにいる私は不思議がられていた。けれどなんとなく気がついている人もこの中に何人かは居るだろう。  そして、私も知っている。これから私がどうなるのか。私の婚約者がどこにいるのか。知っているのはそれだけじゃないわ。私、知っているの。この世界の秘密を、ね。 注意…主人公がちょっと怖いかも(笑) 4話で完結します。短いです。の割に詰め込んだので、かなりめちゃくちゃで読みにくいかもしれません。もし改善できるところを見つけてくださった方がいれば、教えていただけると嬉しいです。 完結後、番外編を付け足しました。 カクヨムにも掲載しています。

王様の恥かきっ娘

青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。 本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。 孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます 物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります これもショートショートで書く予定です。

処理中です...