83 / 132
義母に不貞を疑われた挙句、夫にも庇って貰えないまま家を出される事となりました…。
しおりを挟む
家同士の繋がりで、ある殿方に嫁いだ私。
すると結婚が決まるまでは優しかった夫の母親は、嫁いだ途端その態度を豹変させた。
特に彼の父親や私の両親が相次いで急死してからは、姑は毎日のように私に意地悪して来るように─。
どうせ嫁に貰うならもっと美人で愛嬌がある娘が良かったとか、息子とは釣りわないから早く離縁しろだの散々な事を私は言われて居た。
それに思い悩んだ私は、思い切って夫に相談してみたが…女同士の事は女同士で解決しろ、嫁ならそこを上手くやれと全く取り合ってくれなかった。
最近では私に相談されたくないからか、夫は家を空けるようになり帰って来るのも遅いし…そのせいで、私は余計に姑に意地悪される日々を送る羽目になるのだった。
するとそんな中、私は姑から急に家を出て行くよう命じられた。
私が夫に隠れ、不貞を働いて居ると言うのがその理由だった。
町で私が見知らぬ男と寄り添い歩いて居る所を見た─。
いくら息子に相手にされないからって、他の男に走るのは如何なものかと姑は私を大層責めた。
確かに、私は数日前に町である殿方と知り合い親しくなったが…別に男女の関係になった訳ではない。
しかしそれを話しても姑は全く信じてくれず…息子を裏切った慰謝料として両親から貰った遺産の一部を置いて家を出て行けと言って聞かない。
するとその時…丁度夫が帰宅して来た為、私は彼に助けを求めた。
あなたのお母様は私が不貞を働いたと勘違いして居るが、私はそんな事はして居ない─。
それを理由にこの家から追い出されそうになって居るので、どうか助けて欲しい─。
しかし夫は、俺への当てつけでそんな事をしたのか…もしくは構って欲しかったからかは知らないが、母が出て行けと言うならそれに従え─。
父が亡くなった事でこの家を仕切って居るのは母なのだから、それに逆らう事は許されないと言い私を全く庇ってくれなかった。
結果、私は姑に無理矢理手持ちの金を奪われ…身一つで家を追い出される事に─。
そして夫は、そんな私にあっさりと離縁を言い渡すのだった。
そうして夫の家を追い出された私は、行く当てもないまま町をさ迷う事に─。
両親が亡くなってすぐ実家は売ってしまったし…暫くはどこかで住み込みの仕事でもして働き、今後の身の振り方を考えるしかない─。
するとそんな私に、ある人物が声をかけて来た。
それは、数日前に知り合ったあのお医者様で…彼は新しくこの町の診療所の先生を任される事になった方だ。
しかし彼はこの町に来る途中で地図を落としてしまい、困って居た所を私が声をかけ道案内をしてあげたのだが…それを見た姑が浮気して居ると一方的に決めつけ、あのように大騒ぎしたと言う訳だ。
すると暗い顔をした私から一部始終を聞いた彼は…自分が原因でそんな事になってしまい申し訳なかったと、お詫びに私を診療所の受付として住み込みで雇うと言ってくれた。
それを聞いた私は、有難く彼の元でお世話になる事に─。
そして仕事にも慣れて来た頃…ある患者が訪れた事で、私は驚きの事実を知る事となった。
それはある若い女の患者で…彼女は身籠って居て、そのお腹は大分大きかった。
するとその彼女の付き添いとして、元夫と姑が揃って姿を見せたのだ。
それに気づいた私はすぐに先生に事情を話しその場を任せ、診療所の奥に隠れる事に─。
そしてそんな私に気付かない元夫は、彼女の腹の子は自分だと説明し…この診療所で出産を希望して居ると話し始めた。
だが子供が生まれる予定日を聞いた時、私は首を傾げた。
彼と私が離縁したのは、まだ半年くらい前なのに…それなのにもうすぐ出産とはおかしくない?
彼は彼女の腹の子の父親は自分だと言うが、では一体いつ彼女を身籠らせたと言うのか…。
私とまだ婚姻関係がある内に彼女を身籠らせて居ないと、その出産予定日にならないのでは─。
そう私が考えて居た時、姑がウキウキとした声でこう言った。
彼女は私の親しくして居る方の娘さんなの─。
私は彼女と息子が結ばれて欲しいと常々思って居たけれど、亡き主人が別の女を息子にあてがってしまって…でもその女は排除したから、これで心置きなく二人を夫婦に出来るわ。
息子も私と同じ気持ちだったようで、前からこっそり子を仕込んで居たようだし…本当によくやったわ。
それを聞いた私は、やはり元夫は私との婚姻中に彼女と関係を持って居たのだと確信した。
そして姑が私を家から追い出したのは、そんな二人を敢えてくっ付ける為にそうしたのだと言う事も─。
全てを知った私は、我慢ならず二人の元へと向かった。
そして、ここで働いて居たおかげで良い事が聞けた…不貞を働いたのは、私ではなく夫であるあなたの方じゃないか─。
なのに私を悪者扱いし家を追い出すとは余りに酷いと、元夫と姑に詰め寄った。
すると私が現れた事に驚いた元夫と姑は、大慌てて彼女の手を引くと診療所から飛び出し逃げて行った。
しかし余りに勢いよく道に飛び出したせいで、走って来た馬車に三人とも轢かれてしまった。
その結果、姑はその場で息を引き取り…元夫は命は助かったものの、身体に大きな損傷を負った。
そして身籠って居た彼女は、この事故で予定よりも早く子を産み落としてしまい…子は助かったものの、彼女はその後息を引き取った。
その後、私は生き残った元夫に慰謝料を請求する事に─。
こんな身体になった俺に金を払わせるなど酷いと元夫は訴えたが、あなたには母親の遺産があるだろう…後遺症と言っても子が作れない身体になっただけで働けるのだから、一生かかっても慰謝料を払うよう約束させた。
また彼は、浮気相手だった彼女の家に預けられて居る子供の養育費も払う事になって居るらしく、そのせいで金銭的に苦しい生活を強いられる事になったが…生き残った父親としては当然の責任だわ─。
一方、私はと言うと…あれから医学を学び先生の助手としても働くようになった。
そうして彼を手助けする内、私は彼に好意を抱くように─。
また彼も、公私共に自分を支える私に特別な感情を抱くようになり…この先もずっと自分と一緒に居て欲しいと、私に結婚を申し込んでくれた。
そして私はその気持ちに喜んで応え、今は彼の妻として彼の傍に居るが…そのお腹には彼の子が宿って居た。
彼はその事を大層喜んでくれ、自分がその子を取り上げるのだと今から我が子の誕生を心待ちにしてくれて居て…あの時は不貞を疑われ災難だったけれど、彼と出会えて本当に良かったと心の底から思うわ─。
すると結婚が決まるまでは優しかった夫の母親は、嫁いだ途端その態度を豹変させた。
特に彼の父親や私の両親が相次いで急死してからは、姑は毎日のように私に意地悪して来るように─。
どうせ嫁に貰うならもっと美人で愛嬌がある娘が良かったとか、息子とは釣りわないから早く離縁しろだの散々な事を私は言われて居た。
それに思い悩んだ私は、思い切って夫に相談してみたが…女同士の事は女同士で解決しろ、嫁ならそこを上手くやれと全く取り合ってくれなかった。
最近では私に相談されたくないからか、夫は家を空けるようになり帰って来るのも遅いし…そのせいで、私は余計に姑に意地悪される日々を送る羽目になるのだった。
するとそんな中、私は姑から急に家を出て行くよう命じられた。
私が夫に隠れ、不貞を働いて居ると言うのがその理由だった。
町で私が見知らぬ男と寄り添い歩いて居る所を見た─。
いくら息子に相手にされないからって、他の男に走るのは如何なものかと姑は私を大層責めた。
確かに、私は数日前に町である殿方と知り合い親しくなったが…別に男女の関係になった訳ではない。
しかしそれを話しても姑は全く信じてくれず…息子を裏切った慰謝料として両親から貰った遺産の一部を置いて家を出て行けと言って聞かない。
するとその時…丁度夫が帰宅して来た為、私は彼に助けを求めた。
あなたのお母様は私が不貞を働いたと勘違いして居るが、私はそんな事はして居ない─。
それを理由にこの家から追い出されそうになって居るので、どうか助けて欲しい─。
しかし夫は、俺への当てつけでそんな事をしたのか…もしくは構って欲しかったからかは知らないが、母が出て行けと言うならそれに従え─。
父が亡くなった事でこの家を仕切って居るのは母なのだから、それに逆らう事は許されないと言い私を全く庇ってくれなかった。
結果、私は姑に無理矢理手持ちの金を奪われ…身一つで家を追い出される事に─。
そして夫は、そんな私にあっさりと離縁を言い渡すのだった。
そうして夫の家を追い出された私は、行く当てもないまま町をさ迷う事に─。
両親が亡くなってすぐ実家は売ってしまったし…暫くはどこかで住み込みの仕事でもして働き、今後の身の振り方を考えるしかない─。
するとそんな私に、ある人物が声をかけて来た。
それは、数日前に知り合ったあのお医者様で…彼は新しくこの町の診療所の先生を任される事になった方だ。
しかし彼はこの町に来る途中で地図を落としてしまい、困って居た所を私が声をかけ道案内をしてあげたのだが…それを見た姑が浮気して居ると一方的に決めつけ、あのように大騒ぎしたと言う訳だ。
すると暗い顔をした私から一部始終を聞いた彼は…自分が原因でそんな事になってしまい申し訳なかったと、お詫びに私を診療所の受付として住み込みで雇うと言ってくれた。
それを聞いた私は、有難く彼の元でお世話になる事に─。
そして仕事にも慣れて来た頃…ある患者が訪れた事で、私は驚きの事実を知る事となった。
それはある若い女の患者で…彼女は身籠って居て、そのお腹は大分大きかった。
するとその彼女の付き添いとして、元夫と姑が揃って姿を見せたのだ。
それに気づいた私はすぐに先生に事情を話しその場を任せ、診療所の奥に隠れる事に─。
そしてそんな私に気付かない元夫は、彼女の腹の子は自分だと説明し…この診療所で出産を希望して居ると話し始めた。
だが子供が生まれる予定日を聞いた時、私は首を傾げた。
彼と私が離縁したのは、まだ半年くらい前なのに…それなのにもうすぐ出産とはおかしくない?
彼は彼女の腹の子の父親は自分だと言うが、では一体いつ彼女を身籠らせたと言うのか…。
私とまだ婚姻関係がある内に彼女を身籠らせて居ないと、その出産予定日にならないのでは─。
そう私が考えて居た時、姑がウキウキとした声でこう言った。
彼女は私の親しくして居る方の娘さんなの─。
私は彼女と息子が結ばれて欲しいと常々思って居たけれど、亡き主人が別の女を息子にあてがってしまって…でもその女は排除したから、これで心置きなく二人を夫婦に出来るわ。
息子も私と同じ気持ちだったようで、前からこっそり子を仕込んで居たようだし…本当によくやったわ。
それを聞いた私は、やはり元夫は私との婚姻中に彼女と関係を持って居たのだと確信した。
そして姑が私を家から追い出したのは、そんな二人を敢えてくっ付ける為にそうしたのだと言う事も─。
全てを知った私は、我慢ならず二人の元へと向かった。
そして、ここで働いて居たおかげで良い事が聞けた…不貞を働いたのは、私ではなく夫であるあなたの方じゃないか─。
なのに私を悪者扱いし家を追い出すとは余りに酷いと、元夫と姑に詰め寄った。
すると私が現れた事に驚いた元夫と姑は、大慌てて彼女の手を引くと診療所から飛び出し逃げて行った。
しかし余りに勢いよく道に飛び出したせいで、走って来た馬車に三人とも轢かれてしまった。
その結果、姑はその場で息を引き取り…元夫は命は助かったものの、身体に大きな損傷を負った。
そして身籠って居た彼女は、この事故で予定よりも早く子を産み落としてしまい…子は助かったものの、彼女はその後息を引き取った。
その後、私は生き残った元夫に慰謝料を請求する事に─。
こんな身体になった俺に金を払わせるなど酷いと元夫は訴えたが、あなたには母親の遺産があるだろう…後遺症と言っても子が作れない身体になっただけで働けるのだから、一生かかっても慰謝料を払うよう約束させた。
また彼は、浮気相手だった彼女の家に預けられて居る子供の養育費も払う事になって居るらしく、そのせいで金銭的に苦しい生活を強いられる事になったが…生き残った父親としては当然の責任だわ─。
一方、私はと言うと…あれから医学を学び先生の助手としても働くようになった。
そうして彼を手助けする内、私は彼に好意を抱くように─。
また彼も、公私共に自分を支える私に特別な感情を抱くようになり…この先もずっと自分と一緒に居て欲しいと、私に結婚を申し込んでくれた。
そして私はその気持ちに喜んで応え、今は彼の妻として彼の傍に居るが…そのお腹には彼の子が宿って居た。
彼はその事を大層喜んでくれ、自分がその子を取り上げるのだと今から我が子の誕生を心待ちにしてくれて居て…あの時は不貞を疑われ災難だったけれど、彼と出会えて本当に良かったと心の底から思うわ─。
61
お気に入りに追加
414
あなたにおすすめの小説

【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい
春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。
そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか?
婚約者が不貞をしたのは私のせいで、
婚約破棄を命じられたのも私のせいですって?
うふふ。面白いことを仰いますわね。
※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。
※カクヨムにも投稿しています。

絵姿
金峯蓮華
恋愛
お飾りの妻になるなんて思わなかった。貴族の娘なのだから政略結婚は仕方ないと思っていた。でも、きっと、お互いに歩み寄り、母のように幸せになれると信じていた。
それなのに……。
独自の異世界の緩いお話です。

香りの聖女と婚約破棄
秋津冴
恋愛
「近寄るな、お前は臭いから」
ゼダ伯爵令嬢エヴァは婚約者にいつもそう言われ、傷心を抱えていた。
婚約者の第三王子マシューは、臭いを理由に彼女との婚約を破棄しようとする。
「エヴァ、いつも告げてきたが、お前のその香りには耐えられない。この高貴な僕まで、周囲から奇異の目で見られて疎外される始末だ。もう別れてくれ‥‥‥婚約破棄だ」
「なあ、それは王族の横暴じゃないのか?」
共通の幼馴染、ロランが疑問の声を上げた。
他の投稿サイトでも別名義で投稿しております。

3歳児にも劣る淑女(笑)
章槻雅希
恋愛
公爵令嬢は、第一王子から理不尽な言いがかりをつけられていた。
男爵家の庶子と懇ろになった王子はその醜態を学園内に晒し続けている。
その状況を打破したのは、僅か3歳の王女殿下だった。
カテゴリーは悩みましたが、一応5歳児と3歳児のほのぼのカップルがいるので恋愛ということで(;^ω^)
ほんの思い付きの1場面的な小噺。
王女以外の固有名詞を無くしました。
元ネタをご存じの方にはご不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。
創作SNSでの、ジャンル外での配慮に欠けておりました。

自信過剰なワガママ娘には、現実を教えるのが効果的だったようです
麻宮デコ@ざまぁSS短編
恋愛
伯爵令嬢のアンジェリカには歳の離れた妹のエリカがいる。
母が早くに亡くなったため、その妹は叔父夫婦に預けられたのだが、彼らはエリカを猫可愛がるばかりだったため、彼女は礼儀知らずで世間知らずのワガママ娘に育ってしまった。
「王子妃にだってなれるわよ!」となぜか根拠のない自信まである。
このままでは自分の顔にも泥を塗られるだろうし、妹の未来もどうなるかわからない。
弱り果てていたアンジェリカに、婚約者のルパートは考えがある、と言い出した――
全3話

【完結】逃がすわけがないよね?
春風由実
恋愛
寝室の窓から逃げようとして捕まったシャーロット。
それは二人の結婚式の夜のことだった。
何故新妻であるシャーロットは窓から逃げようとしたのか。
理由を聞いたルーカスは決断する。
「もうあの家、いらないよね?」
※完結まで作成済み。短いです。
※ちょこっとホラー?いいえ恋愛話です。
※カクヨムにも掲載。

夫から「余計なことをするな」と言われたので、後は自力で頑張ってください
今川幸乃
恋愛
アスカム公爵家の跡継ぎ、ベンの元に嫁入りしたアンナは、アスカム公爵から「息子を助けてやって欲しい」と頼まれていた。幼いころから政務についての教育を受けていたアンナはベンの手が回らないことや失敗をサポートするために様々な手助けを行っていた。
しかしベンは自分が何か失敗するたびにそれをアンナのせいだと思い込み、ついに「余計なことをするな」とアンナに宣言する。
ベンは周りの人がアンナばかりを称賛することにコンプレックスを抱えており、だんだん彼女を疎ましく思ってきていた。そしてアンナと違って何もしないクラリスという令嬢を愛するようになっていく。
しかしこれまでアンナがしていたことが全部ベンに回ってくると、次第にベンは首が回らなくなってくる。
最初は「これは何かの間違えだ」と思うベンだったが、次第にアンナのありがたみに気づき始めるのだった。
一方のアンナは空いた時間を楽しんでいたが、そこである出会いをする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる