『恋愛短編集①』離縁を乗り越え、私は幸せになります──。

Nao*

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私との結婚には不満を抱き義妹に優しく接する夫とは、もう一緒に生活できません!

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 妻となった私に対し、仕方なくこんな田舎者の地味なお前と結婚した─。

 本当なら自分と同じく容姿が良くて都会の女と結婚したかったのにと、毎日のように文句を言う夫。



 彼とは半年ほど前に結婚したが、彼はいつまで経っても私に文句を言い続け…最近では腹いせに意地悪までしてくる。 

 あなたが理想の女と結婚できなかったのは、その性格の悪さが一番の原因ね。
 
 いくら顔が良くても、中身が最低じゃあね…彼が晩婚だったのも納得よ。



 しかし私には意地悪い夫でも、彼は私の義妹にとっては優しい人だった。
 
 義妹はとても愛らしい容姿をして居て、また愛嬌のある性格をして居る。

 彼女は性格の悪い彼に対しても、その愛嬌を惜しみなく振りまいた。



 その為夫は、妻の私よりこの可愛い義妹に夢中で…少しでも自分を良く見せ気に入られたいとでも思って居るのか、いつも優しい態度で彼女に接して居る。

 義妹が強請ればに何でも買ってあげるし、事業の関係でどこかへ出かけたら義妹だけにお土産を買って来る。

 妻の私には、そんな事全くしてくれないのに─。
 


 こんな田舎娘の元に婿に入りたくなかったと、私や私の家に対しあの人は散々文句を言って居るが義妹は例外と言う訳ね。

 義妹にだけに優しくする彼とそれに甘んじる義妹、どちらも嫌になって来たわ…。

 義妹にだけに優しい夫など、いっそ捨ててしまおう─。



 そう決めた私は、数日後夫に離縁を言い渡した。

 だが夫は、私と別れる事で義妹と離れるのは寂しいと不満を漏らした。

 その為、私は離縁するなら義妹も共に連れて出て行ってくれて構わないと彼に伝えた。



 すると、それを聞いた義妹はそんなの嫌だと騒ぎ出した。

 しかし私は、夫とも縁を切りたいが…あなたとも縁を切りたいので是非そうして欲しいのだと言った。



 と言うのも、義妹はお金遣いが荒く借金を作ってばかりだからだ。

 そのせいで、私は望んでもないその男と婚約する羽目になってしまった。

 自分の息子と結婚してくれるなら借金を肩代わりするとその男の父に言われ、私は家の為になるならと彼と結婚したが…彼は私の事など全く愛そうとはせず、その代わり義妹の方を愛してしまったのだ。



 しかし、この言葉に夫は反論─。

 彼女には親切にして居ただけで、特別な感情は抱いて居ないと言う。



 だが私は、つい先日二人が庭の片隅で口づけて居る所を見た…これは立派な浮気じゃないか。
 
 だからその償いとして、あなたが持つ財産を慰謝料として私に渡し離縁するよう夫に命じた。



 そして義妹には、あなたが私や父に借金を押し付けた上で隠し財産を作って居た事がこの度判明した。

 今回その所有する財産を全て私が没収し、それを彼の父親に渡す事で私と彼の婚姻関係を終わらせる事が出来る。

 彼の父親に肩代わりしてもらった借金を、こうする事で帳消しにすると言った。



 すると夫は、俺が原因でお前から離縁されるのは困る─。

 やっと俺の結婚が決まったと父は安堵して居たのに、出戻ったら何を言われるか分からないと私に泣きついた。



 また義妹は、この男と出て行くなど絶対に嫌だ─。

 だって私には本命の男が居て、この男とはただの遊びだものと号泣し始めた。

 義妹のそんな発言に夫は絶句…何も知らず彼女を愛した自分に後悔して居るようだった。

 

 その後、実家に戻って来た元夫を見た彼の父は激怒─。

 性格が悪いと悪評が立ち町の女達から嫌われ縁がないお前に、田舎ではあるが両家の娘を見繕ってやったと言うのに…父親の顔に顔に泥を塗るような真似をしてと、彼と親子の縁を切り一族から追放したそうだ。



 そして義妹はと言うと…本命の男にこの件を知られすっかり嫌われてしまい、悲しみのどん底に居た。

 すると元は捨て子だった義妹は、借金を作るわ姉の夫にちょっかいを出すわ…何も良い事をしないと父に呆れられ、こちらも縁を切られる事となった。



 そうして互いに家を追い出された二人は、その後路頭に迷う事になり…彼は町で物乞いを、義妹は金持ちに拾われたが奴隷として惨めな生活を送って居ると言う。
 

 
 一方、私はと言うと…元々好きだった殿方が居たのだが、思い切ってその方に告白すると両想いだった事が判明した。



 彼は、私が結婚した事で私への気持ちを一度は諦めたそうだが…私が離縁したと噂で知り、また私への恋心が再燃したらしい。

 だから、私からのこの突然の告白を大喜びで受け入れてくれた。

 そして私達はすぐに交際を始め…その仲はとても順調で、翌年にも結婚する事が決まったわ─。
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