『恋愛短編集①』離縁を乗り越え、私は幸せになります──。

Nao*

文字の大きさ
上 下
74 / 132

どうせ長くない命なら今すぐ離婚だ、お前の妹と一緒にならせろと夫が迫って来ました。

しおりを挟む
 夫から 突然離縁を求められた私。

 その理由として、私の命が長くないと妹から聞いたからだと言う。

 そしてどうせ長くない命なら、さっさと俺と別れて欲しい…そして彼女と一緒にならせてくれと夫は私に迫った。

 

 夫と妹は以前から仲が良かったが、まさかそんな関係だったとは…。
 
 しかし私は、自身の命が長くないなど全くの初耳だった。



 それ故、私は至って健康だ…妹の勘違いでは無いかと夫に訴えたが、だったらどうして今まで子が出来なかった…本当は何処か身体が悪いからだろう─。
 
 そんな大事な事を隠すような卑怯な女とはとてもこの先やって行けないと、夫は私に再度別れを告げるのだった。



 子供が出来ない事を密かに悩んで居た私は、その言葉に夫への気持ちが冷めて行くのを感じ…本当だったら私の身体を心配し優しくしてくれても良いのに、逆に責め立てる人などこちらから願い下げだと離縁を受け入れる事に─。


 
 しかし妹は、私の身体についていつそんな事を知ったのだろう…。
 
 この前、かかりつけの医師の元で定期健診を受けたが…その結果に何か異常があったのだろうか─。

 不安になった私は、夫との関係が落ち着いたら再度診察を受ける事にした。



 その後、元夫は妹を妻に迎える為自身の傍に置く事に─。

 実家に戻った私と入れ替わる形で、妹は彼の元へ向かったが…その顔は勝ち誇ったような笑みを浮かべて居た。

 そして妹の置手紙には、もうすぐ死にゆくお姉様に代わり私が彼と幸せになる…彼の子を産むと書かれて居た。



 それを見た私は嫌な気持ちになったものの、自身の身体が心配だった為早く医師の元を訪ねる事に─。

 その医師と言うのは、実は私のかつての同級生だったが…私を再び診察した彼は、その身体に何の異常も無いと言ってくれた。



 ただ、以前先に妹が健診の結果を聞きに来た時…助手達が私と同じ名前の患者のカルテを手に、その病状が思わしくないと話して居た所に出くわしたと言う。

 すると妹はろくに自分の結果を聞く事無く浮かれて帰って行ったが…きっとその時、君が近く死ぬと勘違いしたのだろう─。

 むしろ、本当に命が危ういのは彼女の方だ…だから早く診察に来て欲しいのにと、彼は困った表情を浮かべるのだった。



 私は、成程それでと理解すると同時に…確か妹と元夫は、婚前旅行だと半年間この地を留守にすると言って居た事を思い出した。



 そうして自身の身体の事を何も知らない妹は元夫と旅行を楽しんで居たが…帰る直前になり急に体調を悪くし、旅先で命を落とす事に─。


 
 この事にショックを受けた元夫は、この地に戻るとすぐに寝込んでしまった。

 そして医師の診察を受けたが…その時になり、私との間に子が出来なかったのは自分の身体に原因があった事が判明した。



 そしてせっかく容体が回復してもこの事が原因で新しい結婚相手が見つからず、彼は孤独な日々を送る事に─。

 そうなって彼は漸く私にした仕打ちを反省し、復縁を望んだが…私には既に将来を誓う恋人が居た為、どうにもならないのだった。



 妹の葬儀を終えた私は、医師である彼と交際を始めて居た。

 実は彼は学生時代から私が好きだったそうで…医師になったのも、賢く人の為に頑張る人が好きと言う私の理想に近づく為だったらしい。



 勿論、今の彼は高い志を持ち仕事に励んで居るが…そんな彼を心の内を知った私は、喜んで彼の気持ちに応えたのだ。

 それ以降、私は彼に大層愛され…今は彼と結婚式を挙げる日を楽しみに、幸せな日々を過ごすのだった─。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

お飾り呼ばわりされた公爵令嬢の本当の価値は

andante
恋愛
婚約者を奪おうとする令嬢からからお飾り扱いだと侮辱される公爵令嬢。 しかし彼女はお飾りではなく、彼女を評価する者もいた。

絵姿

金峯蓮華
恋愛
お飾りの妻になるなんて思わなかった。貴族の娘なのだから政略結婚は仕方ないと思っていた。でも、きっと、お互いに歩み寄り、母のように幸せになれると信じていた。 それなのに……。 独自の異世界の緩いお話です。

いつから恋人?

ざっく
恋愛
告白して、オーケーをしてくれたはずの相手が、詩織と付き合ってないと言っているのを聞いてしまった。彼は、幼馴染の女の子を気遣って、断れなかっただけなのだ。

【完結】アナタが選んだんでしょう?

BBやっこ
恋愛
ディーノ・ファンは、裕福な商人の息子。長男でないから、父から預かった支店の店長をしている。 学生でいられるのも後少し。社交もほどほどに、のんびり過ごしていた。 そのうち、父の友人の娘を紹介され縁談が進む。 選んだのに、なぜこんなけっかになったのだろう?

あなたの瞳に映るのは妹だけ…闇の中で生きる私など、きっと一生愛されはしない。

coco
恋愛
家に籠り人前に出ない私。 そんな私にも、婚約者は居た。 だけど彼は、随分前から自身の義妹に夢中になってしまい…?

自信過剰なワガママ娘には、現実を教えるのが効果的だったようです

麻宮デコ@ざまぁSS短編
恋愛
伯爵令嬢のアンジェリカには歳の離れた妹のエリカがいる。 母が早くに亡くなったため、その妹は叔父夫婦に預けられたのだが、彼らはエリカを猫可愛がるばかりだったため、彼女は礼儀知らずで世間知らずのワガママ娘に育ってしまった。 「王子妃にだってなれるわよ!」となぜか根拠のない自信まである。 このままでは自分の顔にも泥を塗られるだろうし、妹の未来もどうなるかわからない。 弱り果てていたアンジェリカに、婚約者のルパートは考えがある、と言い出した―― 全3話

その婚約破棄喜んで

空月 若葉
恋愛
 婚約者のエスコートなしに卒業パーティーにいる私は不思議がられていた。けれどなんとなく気がついている人もこの中に何人かは居るだろう。  そして、私も知っている。これから私がどうなるのか。私の婚約者がどこにいるのか。知っているのはそれだけじゃないわ。私、知っているの。この世界の秘密を、ね。 注意…主人公がちょっと怖いかも(笑) 4話で完結します。短いです。の割に詰め込んだので、かなりめちゃくちゃで読みにくいかもしれません。もし改善できるところを見つけてくださった方がいれば、教えていただけると嬉しいです。 完結後、番外編を付け足しました。 カクヨムにも掲載しています。

王様の恥かきっ娘

青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。 本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。 孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます 物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります これもショートショートで書く予定です。

処理中です...