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結婚できて嬉しかったのは私だけで、夫はいずれ離縁するつもりでした…。
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私の片想いから付き合う事になりその後も順調に交際を続けた私と彼は、遂に結婚する事になった。
だから私は、この結婚を心の底から嬉しく思って居た。
そして、彼との幸せな結婚生活を楽しみに思った。
だが…そんな気持ちで居たのは、どうやら私だけだった様だ。
と言うのも…結婚して三ヶ月後、夫に愛人が居る事が発覚した。
しかも、二人の関係は私と彼との結婚が決まる前からだと言う。
だが愛人である彼女の家が私の家より貧しい事を理由に、彼は彼女との結婚を諦め…自分に熱を上げる従順な私と結婚を決めたのだった。
そして私をそれなりに大事にしようとした彼だが…やはり平凡な私ではなく、美しく色気のある愛人を妻にしたいと言う気持ちが消える事は無かった。
するとそんな中、愛人の家の事業が成功…彼女の家は、あっという間に私の家と同じくらいお金持ちになった。
そしてそれを見た彼は、いずれ私とは離縁し…彼女を新しい妻にしようと考えたのだった。
その後、夫はそれを確実なものにする為にある事を企んだ。
それは、私の実家の事業を傾かせ…更には私の浮気をでっちあげる事だった。
そうする事で、愛人の方が私より価値がある女だ…だから私を捨て彼女を選ぶのは当然の事だと、周りに思わせたかったのだ。
自分の事を棚に上げ、何を勝手な事をと思ったが…夫は私がまだ何も知らないと思って居る様で、この計画は絶対に上手く行くと自信を持つのだった。
だが…私を襲わせる為に雇った暴漢役の男は、私の従者によってあっけなく捕えられた。
また、夫が私の父に持ちかけた事業計画も…その従者の助言のおかげで、無事阻止される事となった。
そうなって、夫はどうしてたかが従者の男にこんな事が出来るのか…腕っぷしも強く賢い彼を、ただ者ではないと恐れるのだった。
でも、それは当然だった。
実は私の従者は、ある小国から逃げて来た王族関係者の一人だった。
訳ありの彼は傷だらけでこの国に辿り着き…そして偶然私に助けられた。
すると彼は、自分は一度死んだ者として私に使える身となる…何があっても私を守ると誓いを立ててくれたのだ。
始めこそそんな恐れ多い事をと思った私だが…彼は頑なにその姿勢を崩さず、こうして結婚後も私を守る優秀な従者であり続けてくれたのだった。
まぁそんな事とは知らない夫は、男の使用人が欲しかったから丁度いいと呑気に笑って居たが…浮気どころか私を陥れる計画まで彼に暴かれ阻止されるとは、夢にも思って居なかった様ね─。
その後、私の夫に対し父は激怒─。
これまで夫の事業に支援金を出して居たが、もうそれを一切辞めると宣言…更に、私への慰謝料を最大額で請求するのだった。
父にあれだけお世話になったのに、恩を仇で返すからそうなるのよ─。
そして父の怒りは、彼の愛人の女の家にも─。
と言うのも、父は彼女の家の事業を色々支援したらしく…その家の娘があの男の愛人だと知った以上もう今後一切支援はしないと言い、彼女にも夫同様慰謝料を請求するのだった。
家の事業を危機に陥らせ…そして多額の金を払う事になった夫と彼女を、それぞれの家族は見捨てた。
そして二人は私に慰謝料を払った後、路頭に迷う事となり…今ではどこでどうして居るか分からない。
一方、私はと言うと…実家に戻り、変わらず彼を従者として傍に置く日々が始まった。
只今までと違うのは…彼がより一層逞しく頼りがいのある男性に見え、目が合えばドキドキと胸が高鳴りが止まらない事だった。
暴漢を取り押さえる彼、父の傍で的確な意見を言う彼…何より夫の裏切りに涙する私を、毎日傍で慰めてくれた彼─。
あの時ほど、彼が傍に居てくれて嬉しかった事は無いわ…。
そしてこれが恋心だと自覚した私は…勇気を出して、彼にその気持ちを伝える事に─。
すると彼は…あなたに助けられた時から、あなたに一目ぼれして居た─。
でも国を捨てた自分の様な男からのこの気持ちは迷惑だろうと思い、それを心に隠し仕える事を決めた。
それがあなたから自分を求めてくれると言うなら、俺は喜んであなたの特別になりたい…そう、ハッキリと答えてくれたのだ。
こうして両想いと言う事が分かった私達は…今では主従関係ではなく、強い愛で結ばれた仲となった。
そして私達は近く結婚する事が決まり…それに大喜びする私に対し、彼は私を妻として一生大事にすると言って誓いの口づけをくれるのだった─。
だから私は、この結婚を心の底から嬉しく思って居た。
そして、彼との幸せな結婚生活を楽しみに思った。
だが…そんな気持ちで居たのは、どうやら私だけだった様だ。
と言うのも…結婚して三ヶ月後、夫に愛人が居る事が発覚した。
しかも、二人の関係は私と彼との結婚が決まる前からだと言う。
だが愛人である彼女の家が私の家より貧しい事を理由に、彼は彼女との結婚を諦め…自分に熱を上げる従順な私と結婚を決めたのだった。
そして私をそれなりに大事にしようとした彼だが…やはり平凡な私ではなく、美しく色気のある愛人を妻にしたいと言う気持ちが消える事は無かった。
するとそんな中、愛人の家の事業が成功…彼女の家は、あっという間に私の家と同じくらいお金持ちになった。
そしてそれを見た彼は、いずれ私とは離縁し…彼女を新しい妻にしようと考えたのだった。
その後、夫はそれを確実なものにする為にある事を企んだ。
それは、私の実家の事業を傾かせ…更には私の浮気をでっちあげる事だった。
そうする事で、愛人の方が私より価値がある女だ…だから私を捨て彼女を選ぶのは当然の事だと、周りに思わせたかったのだ。
自分の事を棚に上げ、何を勝手な事をと思ったが…夫は私がまだ何も知らないと思って居る様で、この計画は絶対に上手く行くと自信を持つのだった。
だが…私を襲わせる為に雇った暴漢役の男は、私の従者によってあっけなく捕えられた。
また、夫が私の父に持ちかけた事業計画も…その従者の助言のおかげで、無事阻止される事となった。
そうなって、夫はどうしてたかが従者の男にこんな事が出来るのか…腕っぷしも強く賢い彼を、ただ者ではないと恐れるのだった。
でも、それは当然だった。
実は私の従者は、ある小国から逃げて来た王族関係者の一人だった。
訳ありの彼は傷だらけでこの国に辿り着き…そして偶然私に助けられた。
すると彼は、自分は一度死んだ者として私に使える身となる…何があっても私を守ると誓いを立ててくれたのだ。
始めこそそんな恐れ多い事をと思った私だが…彼は頑なにその姿勢を崩さず、こうして結婚後も私を守る優秀な従者であり続けてくれたのだった。
まぁそんな事とは知らない夫は、男の使用人が欲しかったから丁度いいと呑気に笑って居たが…浮気どころか私を陥れる計画まで彼に暴かれ阻止されるとは、夢にも思って居なかった様ね─。
その後、私の夫に対し父は激怒─。
これまで夫の事業に支援金を出して居たが、もうそれを一切辞めると宣言…更に、私への慰謝料を最大額で請求するのだった。
父にあれだけお世話になったのに、恩を仇で返すからそうなるのよ─。
そして父の怒りは、彼の愛人の女の家にも─。
と言うのも、父は彼女の家の事業を色々支援したらしく…その家の娘があの男の愛人だと知った以上もう今後一切支援はしないと言い、彼女にも夫同様慰謝料を請求するのだった。
家の事業を危機に陥らせ…そして多額の金を払う事になった夫と彼女を、それぞれの家族は見捨てた。
そして二人は私に慰謝料を払った後、路頭に迷う事となり…今ではどこでどうして居るか分からない。
一方、私はと言うと…実家に戻り、変わらず彼を従者として傍に置く日々が始まった。
只今までと違うのは…彼がより一層逞しく頼りがいのある男性に見え、目が合えばドキドキと胸が高鳴りが止まらない事だった。
暴漢を取り押さえる彼、父の傍で的確な意見を言う彼…何より夫の裏切りに涙する私を、毎日傍で慰めてくれた彼─。
あの時ほど、彼が傍に居てくれて嬉しかった事は無いわ…。
そしてこれが恋心だと自覚した私は…勇気を出して、彼にその気持ちを伝える事に─。
すると彼は…あなたに助けられた時から、あなたに一目ぼれして居た─。
でも国を捨てた自分の様な男からのこの気持ちは迷惑だろうと思い、それを心に隠し仕える事を決めた。
それがあなたから自分を求めてくれると言うなら、俺は喜んであなたの特別になりたい…そう、ハッキリと答えてくれたのだ。
こうして両想いと言う事が分かった私達は…今では主従関係ではなく、強い愛で結ばれた仲となった。
そして私達は近く結婚する事が決まり…それに大喜びする私に対し、彼は私を妻として一生大事にすると言って誓いの口づけをくれるのだった─。
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