『恋愛短編集①』離縁を乗り越え、私は幸せになります──。

Nao*

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妻の私に冷たく娘も可愛がってくれない夫は、幼馴染と新しい家庭を築きたいそうです。

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 家同士の約束で、ある殿方と結婚した私。

 しかし夫となった彼は地味な私が余り好みでは無いらしく、新婚だと言うのに何だか素っ気なかった。



 でも私は彼を好きだったし…互いの両親から子が産まれたらきっと態度も変わると言われ、私はそれを信じる事に─。



 その後私は念願だった娘を授かったが、何故か夫は前以上に私に冷たくなってしまった。

 おまけに娘の事を大層嫌い、全く可愛がってくれないのだ。



 そうして私や娘には冷たくする癖に、夫は自身の幼馴染は溺愛して居た。
 
 彼女はとても可愛らしく愛嬌があり、結婚もしておらず自由気ままに夫と会って居た。



 私はそんな彼女に夫を取られそうで、早くどこかに嫁いでくれれば…そうすれば夫は私や娘に目を向けてくれると思って居たが、それは中々叶わないのだった。


 
 するとそんな中、私は夫から突然離縁を言い渡された。

 夫は私と娘を捨て、幼馴染みと新しい家庭を築きたいそうだ。

 そしてそう考えるようになったのは、私が浮気をして居るからで…娘はその男との間に生まれた子だと決めつけて来た。



 それに対し、私は浮気などしていない…娘の父親はあなただと返したが…夫は全く信じてくれなかった。



 お前が産んだ子は、俺に似て居る所が何一つない─。

 それに俺の幼馴染が、お前が娘を妊娠する前に見知らぬ男と仲良くデートをする所を見て居る。

 生まれた娘は、その男にそっくりだと彼女は言った。

 そして浮気者の妻と、他の男の娘など可愛がる必要は全くない…そんな二人は早く捨て、私と新しい家庭を築こうと言ってくれたのだと夫は言った。



 俺は好みじゃないお前より、昔から大好きだった幼馴染を信じる─。

 地味なお前も俺に怯える可愛くないあの子供も要らないと、夫は私にサイン済みの離縁の届を突き付けそのまま家を出て行った。

 どうやら夫は、そのまま愛する幼馴染の元へと向かったらしい。


 
 私はそんな夫に、もう何を言っても無駄だと思った。

 妻である私の言葉を全く聞かず…私や娘を嫌い代わりに幼馴染を溺愛する男など、こちらから願い下げよ─。



 その後、私は夫と離縁する事を双方の親に報告した。

 そしてそれに至るまでの経緯を聞いた私の両親は激怒し、彼の両親は平謝りするのだった。

 そして娘の養育費はちゃんと出すし、彼の財産を私への慰謝料に充てると約束してくれた。




 でも、それも当然だ。

 だって私は浮気して居ないし、娘は正真正銘あの人の子だ。

 

 私は確かに妊娠前にある男性と会って居たが、それは生き別れた私の兄で…父のおかげで漸く再会でき、私は自身の結婚を報告─。

 すると兄はそれを祝う為、私を街の洋食店に連れ出してくれたのだった。



 なのにそれを彼の幼馴染は浮気だと決めつけ…きっとそうする事で、自分を溺愛してくれる夫の気を更に引きたかったのだろうが…そのせいで私は悪者扱いを受け、離縁されてしまったのだ。



 その為、私は彼女にも多額の慰謝料を請求する事に─。

 そのせいで元夫と幼馴染は、財産の殆どを失い貧しい暮らしを余儀なくされ…その結果、二人の仲はあっと言う間に冷え切ってしまった。



 そして二人は別れ新しい相手を探す事になったが、妻や娘を大事にしなかった男と人の家庭を壊した女に惹かれる者など誰も居らず…二人は結局今も独り身のままで、私にした事を大層後悔して居ると言う。



 一方、私はと言うと…家に戻った兄が連れて来た従者と良い仲となって居た。

 兄は若いのに商売を成功させて居て、それは優秀な従者である彼の功績が大きかった。



 彼は大層賢く、だがそれを鼻にかけない穏やかな性格で…元夫のせいで大人の男を怖がるようになってしまった娘も、彼にはすぐに懐いた。



 また私も、物腰が柔らかく気遣いが出来る彼をいつの間にか好きになって居て…それを兄に伝えれば、兄は喜んで彼との仲を取り持ってくれた。



 こうして交際を始めた私と彼は、その一年後に結婚…両親や兄に見守られながら、娘と共に穏やかで幸せな毎日を送って居る─。
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