『恋愛短編集①』離縁を乗り越え、私は幸せになります──。

Nao*

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子の誕生と同時に一方的に私の浮気を決めつけ家を出た夫が、数年後に復縁を迫って来ました。

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 難産の末、念願だった子を産んだ私。

 しかし産まれて来た子を見た夫は、そんな私を労いもせず…私の事を浮気者と決めつけ、赤の他人の子など可愛がれないと言って家を出て行ってしまった。



 だが生まれてきた子は確かに夫との間に出来た子で、私は決して浮気などして居ない。

 夫がそんなふうに考えたのは、赤子の容姿が自分と私のどちらにも似て居なかったからだろう。



 その子は見事な金色の産毛をして居て、肌も透き通るように白かった。

 私と夫はどちらも黒髪で、肌の色ももっと濃い。

 でも私からそんな特徴を持つ子が産まれても、何もおかしくは無いのに─。



 と言うのも、私の先祖の中に異国の者と結婚した者が居て…その二人の間に生まれた子は、この子とほぼ同じ容姿をして居たと言う。

 それ以来、私の一族には時々こう言った髪色の子が産まれるのだ。



 私はその事を夫に説明したかったが、子を産んだばかりで体力的に話をする事が出来ず…そして彼も言いたい事だけ言うとすぐに出て行ってしまった為、どうする事も出来なかった。


 
 その後漸く体力が回復した私は、一人で必死に我が子の世話をしながら家を出た夫を探した。

 だが彼は中々見つからず…また初めての子育てに、私は毎日を慌ただしく過ごすのだった。



 するとそんな私を心配した幼馴染が、夫探しは自分が代わりにする…子育てもサポートするから、少しは自分の身体も労わるべきだと気遣ってくれた。

 その言葉に私は深く感謝すると同時に…そんな幼馴染に対し、次第に特別な感情を抱くように─。
 
 そしてそれは私の子も同じだったようで…幼馴染以外の男性には余り懐かないが、彼には良く懐き甘えるのだった。

 

 すると暫くし…夫の居所を掴んだと、幼馴染が報告にやって来た。

 何と夫は、今は隣国で暮らしして居るらしく…そして一人ではないと言う。

 そんな夫の話を色々と聞いた私は…彼の事は死んだと思い、早く忘れる事にした。

 幸い我が子もあの人の事など全く覚えていないから、その方が良いのよ─。



 だが、それから数年後─。

 それまで全く音沙汰無かった夫が突然家に帰って来て、私に復縁を迫った。



 あの後私の一族の事について知った…一方的に浮気を疑って悪かった、もう一度私とやり直したいと夫は言って来たが…私はキッパリとそれを拒否した。


 
 と言うのも、子を身籠った妻の私が在りながら他所の女に現を抜かし…その相手と結ばれる為に私を一方的に浮気者にして、相手と隣国に駆け落ちした男ど絶対に受け入れられないと思ったからだ。



 生まれた子の容姿を見て、あなたは私と別れる良い理由が出来たとさぞや心の中で喜んだだろうと問えば…どうしてそこまで色んな事を知って居るのだと夫は驚いて居たが、あなたの事は何もかも幼馴染が調べてくれたのよ─。



 そして隣国に駆け落ちした夫と愛人は、少し前まで仲良く暮らして居たが…隣国で流行り病が発生─。

 それに罹った愛人は命を落とし…彼は命は助かったものの、その後遺症で子を作る事が出来ない身体となった。

 そしてそのせいで次の相手も見つからず…そうなって、自身の将来を案じるように─。



 すると夫は、私と生まれた子の存在を思い出し…一人で生きるのは嫌だからと自分の事だけを考えこの家に戻る事を決め、そして私と復縁しようとしたのだ。

 彼のこの行動は、決して私や子供の事を愛して居るからではない。

 
 
 近く、夫が家にやって来るかも知れないと言って居た幼馴染の言葉が現実のものとなった─。

 そしてそれを聞いた時から、絶対に復縁はしない…むしろそれを機にちゃんと離縁して貰うと私は決めて居たのだ。



 するとそれを聞いた夫は、子供に父親は必要だろう…片親など子供が可哀そうだと私を責め立てたが…その声を聞き駆け付けた幼馴染が、私から夫を引き離し助けてくれた。



 そして幼馴染は興奮する夫に対し…彼女とその子供には自分が付いて居るから何も心配は要らない、むしろあなたに周りをうろつかれる方が二人にとって迷惑になると言い、喚き立てる夫を家から叩き出してくれた。



 その後法に詳しい幼馴染が間に入る事で、私は夫と無事離縁する事ができ…彼は私達の前に二度と姿を現さない事を約束させられた。

 そして元夫は、これから待ち受ける孤独な人生に涙し…暗い顔でこの地から去って行くのだった。



 そんな彼を、私は幼馴染と子供と遠くから見送ったが…我が子はそれを父親だとは思わず、その姿を見ても何も感じて居ないようだった。

 むしろ、自分を抱っこしてくれて居る幼馴染の方に夢中で…早くみんなでお家に帰ろうと笑顔を浮かべて居る。



 すると幼馴染は、そんな子供にニコリと微笑み返し…この先、あの家で皆で一緒に暮らして行きたいと思って居るけれど、僕の事を歓迎してくれるかと尋ねた。


 
 それに対し、子供は嬉しいと大はしゃぎし…彼の腕から降りると私の方へと駆けて来た。

 そして片方の手で私の手を…そしてもう片方の手で彼の手を取ると、三人並んで帰路につく事に─。



 実は少し前から、夫との事が片付いたら彼と再婚しようと言う話が上がって居たが…子供の気持ちもある為、答えは出て居なかった。



 でも今のこの子の様子を見る限り、何も心配は要らないだろう。

 きっと私達は仲の良い親子としてやって行けると、私はこれからの日々を想い幸せな気持ちになった─。
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