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事故に遭い美しさを失った私に、夫は離縁と自害する事を要求して来ました…。
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これまで、大層美しいと言われて居た私。
しかし少し前に私は事故に遭い、その顔に怪我を負った。
その結果私の顔には大きな傷跡が残り、これは一生消えないものとなった。
こうして醜くなった私に、夫は大層冷たくなった。
この頃は夜中まで帰って来ず…おそらくどこかで浮気をして居るようだ。
あんな事故さえ起きなかったら、私はこんな事になって居なかった。
そう思うと、自然と涙が溢れて来るのだった。
するとある日、私は夫に大事な話があると呼ばれた。
そして夫は、醜くなったお前にもう愛情は感じない…お前とは離縁すると言って来た。
私はそれだけは嫌だと縋ったが…夫は鬱陶しいと言い、そんな私を突き飛ばした。
そんな夫に、私は既に両親を亡くし天涯孤独の身だ─。
その上あなたに捨てられたらどこにも行き場がない、一人ぼっちでは生きて行けないと訴えた。
すると夫は、ならばそんなお前に最後の慈悲だと言ってある物を差し出した。
小瓶に入ったソレは、何やら怪し色をして居た。
それを見て怯える私に、その中身は毒だと夫は言った。
しかし毒と言っても、苦しまず眠るように死ぬ事が出来る─。
俺に捨てられこの先生きて行けないと言うなら、今この場でそれを飲め。
そうすれば、お前は俺に看取られ腕の中で穏やかに生涯を終える事が出来る…この先独り身となり惨めに死ぬよりマシだろうと言った。
つまり、私に自害しろと…?
夫の言葉に私は大きなショックを受けたが…この先の暗い未来を想像し、もうこのままここで死んでしまった方が楽かもしれないと思った。
そして私は震える手で夫からソレを受け取ると、一気に飲み干すのだった。
するとその瞬間、私の身体に物凄い衝撃が走った。
体が急に熱くなり、そして顔に鋭い痛みが走った。
楽に死ねると言ったのは、夫の嘘だったのか…。
そう思い夫を見れば、彼もこの事態に戸惑って居るようだった。
するとその時、部屋のドアが開き夫の従者が駆け込んで来た。
そして、夫の愛人である令嬢が毒を飲み急死した─。
その毒を渡したのはあなただと騒ぎになり、憲兵がこちらに向かって居るとの事だった。
すると夫は大層驚き、私を床に放置し従者と共に屋敷から逃げようとしたが…丁度到着した憲兵に捕らえられてしまうのだった。
その後に判明した事だが…夫は、私と愛人に渡す薬の入った瓶を間違えて居たのだった。
本来は私に渡すはずの毒入りの瓶を愛する彼女に渡してしまい、結果それを飲んだ彼女はこの世を去る事に─。
そして彼女に渡すはずの瓶を受け取り、それを飲んだ私は…命を失う事は無く、代わりにその身にある変化が起きて居た。
何と一生消えないと言われて居たあの顔の傷がすっかり消え、おまけに元々美しかった顔が全盛期の時にまで戻って居たのだ。
実は夫が愛人に渡そうとしたのは、美容効果を凝縮し若返りを図る秘薬だったらしい。
夫は愛人に強請られそれを他国からわざわざ入手し、彼女への贈り物にしようとして居た。
でも実際はそれが彼女の手に渡る事は無く…その薬の恩恵を受けたのは、死を迫られた妻の私の方だった。
自身が犯したミスを牢の中で知った夫は、大層悔しがったが…彼は愛人殺しの他に、別の罪も背負う事となった。
実は私よりもっと若い女を妻にしたいと考るようになった夫は、私を事故に見せかけ殺そうとしたのだ。
そして夫は私が乗る予定の馬車の車輪に細工し…そのせいで馬車は事故を起こし、私は命こそ助かったがあんな怪我を負う羽目になったのだ。
つまり、夫は私の命を二度も狙ったと言う訳だ。
こうして罪を重ねた夫とそれに手を貸した従者は、残りの人生を全て牢の中で過ごす事に─。
しかし今まで豪華な暮らしを送りそれに慣れて居た夫は、牢の劣悪な環境に耐えられず…やがて大病に罹ると、ろくに看病されないまま非常に苦しい思いをし命を落とすのだった。
一方、私はと言うと…とても美しい未亡人が居ると大層評判となり、あちこちの殿方から自身と再婚して欲しいとお声がかかるように─。
私はその中でも最も私の事を想ってくれ、大事にしてくれる殿方を選び妻になる事を決めた。
そして夫となった彼は、この地一の美人妻と評される私をまるで宝物のように大事にしてくれ…一生私だけを愛すると、毎日のように甘い言葉を捧げてくれる。
一度は夫から死ぬ事を迫られた私だけれど…今は新しい夫にこんなにも愛される事になり、本当に幸せよ─。
しかし少し前に私は事故に遭い、その顔に怪我を負った。
その結果私の顔には大きな傷跡が残り、これは一生消えないものとなった。
こうして醜くなった私に、夫は大層冷たくなった。
この頃は夜中まで帰って来ず…おそらくどこかで浮気をして居るようだ。
あんな事故さえ起きなかったら、私はこんな事になって居なかった。
そう思うと、自然と涙が溢れて来るのだった。
するとある日、私は夫に大事な話があると呼ばれた。
そして夫は、醜くなったお前にもう愛情は感じない…お前とは離縁すると言って来た。
私はそれだけは嫌だと縋ったが…夫は鬱陶しいと言い、そんな私を突き飛ばした。
そんな夫に、私は既に両親を亡くし天涯孤独の身だ─。
その上あなたに捨てられたらどこにも行き場がない、一人ぼっちでは生きて行けないと訴えた。
すると夫は、ならばそんなお前に最後の慈悲だと言ってある物を差し出した。
小瓶に入ったソレは、何やら怪し色をして居た。
それを見て怯える私に、その中身は毒だと夫は言った。
しかし毒と言っても、苦しまず眠るように死ぬ事が出来る─。
俺に捨てられこの先生きて行けないと言うなら、今この場でそれを飲め。
そうすれば、お前は俺に看取られ腕の中で穏やかに生涯を終える事が出来る…この先独り身となり惨めに死ぬよりマシだろうと言った。
つまり、私に自害しろと…?
夫の言葉に私は大きなショックを受けたが…この先の暗い未来を想像し、もうこのままここで死んでしまった方が楽かもしれないと思った。
そして私は震える手で夫からソレを受け取ると、一気に飲み干すのだった。
するとその瞬間、私の身体に物凄い衝撃が走った。
体が急に熱くなり、そして顔に鋭い痛みが走った。
楽に死ねると言ったのは、夫の嘘だったのか…。
そう思い夫を見れば、彼もこの事態に戸惑って居るようだった。
するとその時、部屋のドアが開き夫の従者が駆け込んで来た。
そして、夫の愛人である令嬢が毒を飲み急死した─。
その毒を渡したのはあなただと騒ぎになり、憲兵がこちらに向かって居るとの事だった。
すると夫は大層驚き、私を床に放置し従者と共に屋敷から逃げようとしたが…丁度到着した憲兵に捕らえられてしまうのだった。
その後に判明した事だが…夫は、私と愛人に渡す薬の入った瓶を間違えて居たのだった。
本来は私に渡すはずの毒入りの瓶を愛する彼女に渡してしまい、結果それを飲んだ彼女はこの世を去る事に─。
そして彼女に渡すはずの瓶を受け取り、それを飲んだ私は…命を失う事は無く、代わりにその身にある変化が起きて居た。
何と一生消えないと言われて居たあの顔の傷がすっかり消え、おまけに元々美しかった顔が全盛期の時にまで戻って居たのだ。
実は夫が愛人に渡そうとしたのは、美容効果を凝縮し若返りを図る秘薬だったらしい。
夫は愛人に強請られそれを他国からわざわざ入手し、彼女への贈り物にしようとして居た。
でも実際はそれが彼女の手に渡る事は無く…その薬の恩恵を受けたのは、死を迫られた妻の私の方だった。
自身が犯したミスを牢の中で知った夫は、大層悔しがったが…彼は愛人殺しの他に、別の罪も背負う事となった。
実は私よりもっと若い女を妻にしたいと考るようになった夫は、私を事故に見せかけ殺そうとしたのだ。
そして夫は私が乗る予定の馬車の車輪に細工し…そのせいで馬車は事故を起こし、私は命こそ助かったがあんな怪我を負う羽目になったのだ。
つまり、夫は私の命を二度も狙ったと言う訳だ。
こうして罪を重ねた夫とそれに手を貸した従者は、残りの人生を全て牢の中で過ごす事に─。
しかし今まで豪華な暮らしを送りそれに慣れて居た夫は、牢の劣悪な環境に耐えられず…やがて大病に罹ると、ろくに看病されないまま非常に苦しい思いをし命を落とすのだった。
一方、私はと言うと…とても美しい未亡人が居ると大層評判となり、あちこちの殿方から自身と再婚して欲しいとお声がかかるように─。
私はその中でも最も私の事を想ってくれ、大事にしてくれる殿方を選び妻になる事を決めた。
そして夫となった彼は、この地一の美人妻と評される私をまるで宝物のように大事にしてくれ…一生私だけを愛すると、毎日のように甘い言葉を捧げてくれる。
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