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妻の居る男を誘惑するのが大好きな親友と、私の夫が関係を持ってしまったようです…。
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私の親友には、少し困った悪癖がある。
それは、妻帯者を誘惑し自分の物にする事だった。
どうしてそんな事をするのか尋ねたら…他人の物程よく見えるし…何より、夫を奪ったと言う優越感に浸れるのが快感なのだと言う。
それを聞いた私は…彼女とは学生時代からの付き合いだったが、もう縁を切った方が良いのではないかと考えた。
そして私は…彼女の考えが少しでも変わらないかと思い、こう忠告した。
あなたの好みに文句がある訳ではないが…そんな事を繰り返して居ると、いつか必ず痛い目を見る…。
もし今後もそう言う男を好きになるなら、その辺りを覚悟した方がいいと─。
それから少しして…私は、ある殿方と結婚する事に─。
彼とは家同士の約束で婚約して居たが…順調に交際を続け、こうして無事結婚するに至った。
彼は大人しい性格だが…優しくて子煩悩な、そんな良き夫になると信じて居た。
しかし…それは大きく裏切られる事に─。
今の夫は…きっと、他所に女が居るはずだ─。
と言うのも…毎日帰りが遅くなり、頻繁に家を空ける様になったからだ。
彼は帰りが遅いのは、事業が忙しいからだと言うが…あなたの事業が少し前から上手く行ってない事は、分かって居るのよ?
あなたのお父様が仰って居たもの…今の息子は、事業に身が入って居ない…何時も上の空で、別の事を考えて居る…そしてそれが、事業を悪化させる原因になって居るって─。
大方、不倫して居る相手の事で頭が一杯なのでしょう?
そしてその女の元へ行って居るから、こんなにも帰りが遅いんじゃないの─?
そんなある日の事だ─。
夫の上着を片づけて居ると…その内側に、口紅がベッタリと付いていた。
それを見た時…夫の浮気相手は、私の親友だという事にすぐに気付いた。
と言うのも…昔、彼女が言って居たのだ。
相手の奥さんに牽制する意味を込め、男の上着にわざとキスマークを残すんだと─。
あの子…一体、どういうつもりで私の夫を誘惑したの?
そして、どうして夫はそんな女にあっさり引っ掛かってしまったのよ─!
そこで私は、二人を呼び出し問い詰めた。
すると夫は…これは浮気ではなく純愛なのだと言い出し、親友を庇い立てた。
そのせいか、親友も開き直った態度でこう言った。
「フフ…そう言う事だから許してよ。あなたにあんな事を言われ、腹が立ったから彼を誘惑したの。でも、きっかけはそうでも…今はちゃんと彼の事を愛して居るわ。それに、彼は言ってくれたの。あなたと離縁し、私を新たな妻に迎えたいって。私も他人の男を漁るのはもう辞めにして、まともな結婚をしようかなと思ってたから嬉しいわ。」
「そんな…。あなた、本気なの?」
「あぁ…。俺は家同士の約束で、何となくお前と結婚したが…どうにも刺激が足りなかった。そんな時、彼女に情熱的な目で迫られ…その瞬間、俺はすぐに恋に落ちた。それからは、もう彼女と結ばれる事しか考えられない…!」
そう言って、夫は親友の手を取り…彼女は、そんな夫にニコリと微笑んだ。
それを見た夫は鼻の下を伸ばし…すっかり彼女に骨抜きにされて居た。
私はそんな夫に、最早怒りよりも呆れてしまい…だったらもう私と離縁し、彼女と再婚すればいいと言った。
それを聞いた親友は、私を見て勝ち誇った様な笑みを浮かべ…夫は自分の恋が成就した事を単純に喜んで居た。
フン…そうやって、何も知らず笑って居ればいいわ。
どうせ、あなた達は幸せになどなれやしないのだから─。
その後…元夫は親友を新たな妻に迎え、人生を再スタートさせようとした。
しかし、それは地獄の始まりだった。
と言うのも…結婚早々に彼の事業が立ち行かなくなり、彼は多額の借金を抱え破産する事に─。
そのせいで、彼と妻である親友は住む家を失い、彼の実家に頼ろうとしたが…私と離縁した時点ですでに縁を切られて居た為、助けてくれる事は無かった。
そして元夫は…その時になり、漸く私の有難味を知る事になったのだ─。
『お前の元妻は…お前があの女に現を抜かしている間、お前が傾けた事業を何とかしようと頑張って居てくれたんだ。そんな良妻を捨て、あんな節操なしの女を妻に迎えるなど本当に愚かだ。その借金は、お前達で何とかしろ!』
そう父親に怒鳴られ、元夫はその場に崩れ落ちたらしい。
そして節操なしと言われた親友だが…ここに来て、今までのツケが回って来る事に─。
彼女はこれまでに、いくつかの家庭を壊して居たが…その妻達から、連名で訴えられ慰謝料を請求される事に─。
勿論、私もそこに名を連ねておいたわ。
借金に加え、そんな慰謝料まで払う事になり…彼女に対する夫の恋心は、すっかり冷めてしまった様だ。
また彼女も、事業を失敗させた彼を責め…二人の夫婦仲は、早くも崩壊寸前らしい。
それを聞いた私は、本当に良い時にあの男と離縁できたと思った。
不貞を働いた上に借金まで抱え込まれては、もうどうしようもないもの。
それに、今回の件で親友との縁を切る事が出来たしね─。
でも何より…しっかり者で頼りになる殿方を、新しく夫に迎える事が出来た事が嬉しいわ─。
彼は、父の紹介で出会った方だが…私をとても好いてくれ、大事にしてくれた。
しかも彼は…私の事を大切にしつつ、自分の事業もちゃんと拡大させ…今では、私に何不自由ない暮らしをさせてくれて居る。
そんなお金持ちの夫には、言い寄ってくる女も居るそうだが…彼は私一筋で、浮気など全く考えて居ない。
本当に、何から何まであの男とは違うわ…。
あなたの様な素敵な人の妻になれて、本当に幸せだ…私は愛する夫にそう伝え…それを聞いた夫は、優しい笑みを浮かべ抱き締めてくれたのだった─。
それは、妻帯者を誘惑し自分の物にする事だった。
どうしてそんな事をするのか尋ねたら…他人の物程よく見えるし…何より、夫を奪ったと言う優越感に浸れるのが快感なのだと言う。
それを聞いた私は…彼女とは学生時代からの付き合いだったが、もう縁を切った方が良いのではないかと考えた。
そして私は…彼女の考えが少しでも変わらないかと思い、こう忠告した。
あなたの好みに文句がある訳ではないが…そんな事を繰り返して居ると、いつか必ず痛い目を見る…。
もし今後もそう言う男を好きになるなら、その辺りを覚悟した方がいいと─。
それから少しして…私は、ある殿方と結婚する事に─。
彼とは家同士の約束で婚約して居たが…順調に交際を続け、こうして無事結婚するに至った。
彼は大人しい性格だが…優しくて子煩悩な、そんな良き夫になると信じて居た。
しかし…それは大きく裏切られる事に─。
今の夫は…きっと、他所に女が居るはずだ─。
と言うのも…毎日帰りが遅くなり、頻繁に家を空ける様になったからだ。
彼は帰りが遅いのは、事業が忙しいからだと言うが…あなたの事業が少し前から上手く行ってない事は、分かって居るのよ?
あなたのお父様が仰って居たもの…今の息子は、事業に身が入って居ない…何時も上の空で、別の事を考えて居る…そしてそれが、事業を悪化させる原因になって居るって─。
大方、不倫して居る相手の事で頭が一杯なのでしょう?
そしてその女の元へ行って居るから、こんなにも帰りが遅いんじゃないの─?
そんなある日の事だ─。
夫の上着を片づけて居ると…その内側に、口紅がベッタリと付いていた。
それを見た時…夫の浮気相手は、私の親友だという事にすぐに気付いた。
と言うのも…昔、彼女が言って居たのだ。
相手の奥さんに牽制する意味を込め、男の上着にわざとキスマークを残すんだと─。
あの子…一体、どういうつもりで私の夫を誘惑したの?
そして、どうして夫はそんな女にあっさり引っ掛かってしまったのよ─!
そこで私は、二人を呼び出し問い詰めた。
すると夫は…これは浮気ではなく純愛なのだと言い出し、親友を庇い立てた。
そのせいか、親友も開き直った態度でこう言った。
「フフ…そう言う事だから許してよ。あなたにあんな事を言われ、腹が立ったから彼を誘惑したの。でも、きっかけはそうでも…今はちゃんと彼の事を愛して居るわ。それに、彼は言ってくれたの。あなたと離縁し、私を新たな妻に迎えたいって。私も他人の男を漁るのはもう辞めにして、まともな結婚をしようかなと思ってたから嬉しいわ。」
「そんな…。あなた、本気なの?」
「あぁ…。俺は家同士の約束で、何となくお前と結婚したが…どうにも刺激が足りなかった。そんな時、彼女に情熱的な目で迫られ…その瞬間、俺はすぐに恋に落ちた。それからは、もう彼女と結ばれる事しか考えられない…!」
そう言って、夫は親友の手を取り…彼女は、そんな夫にニコリと微笑んだ。
それを見た夫は鼻の下を伸ばし…すっかり彼女に骨抜きにされて居た。
私はそんな夫に、最早怒りよりも呆れてしまい…だったらもう私と離縁し、彼女と再婚すればいいと言った。
それを聞いた親友は、私を見て勝ち誇った様な笑みを浮かべ…夫は自分の恋が成就した事を単純に喜んで居た。
フン…そうやって、何も知らず笑って居ればいいわ。
どうせ、あなた達は幸せになどなれやしないのだから─。
その後…元夫は親友を新たな妻に迎え、人生を再スタートさせようとした。
しかし、それは地獄の始まりだった。
と言うのも…結婚早々に彼の事業が立ち行かなくなり、彼は多額の借金を抱え破産する事に─。
そのせいで、彼と妻である親友は住む家を失い、彼の実家に頼ろうとしたが…私と離縁した時点ですでに縁を切られて居た為、助けてくれる事は無かった。
そして元夫は…その時になり、漸く私の有難味を知る事になったのだ─。
『お前の元妻は…お前があの女に現を抜かしている間、お前が傾けた事業を何とかしようと頑張って居てくれたんだ。そんな良妻を捨て、あんな節操なしの女を妻に迎えるなど本当に愚かだ。その借金は、お前達で何とかしろ!』
そう父親に怒鳴られ、元夫はその場に崩れ落ちたらしい。
そして節操なしと言われた親友だが…ここに来て、今までのツケが回って来る事に─。
彼女はこれまでに、いくつかの家庭を壊して居たが…その妻達から、連名で訴えられ慰謝料を請求される事に─。
勿論、私もそこに名を連ねておいたわ。
借金に加え、そんな慰謝料まで払う事になり…彼女に対する夫の恋心は、すっかり冷めてしまった様だ。
また彼女も、事業を失敗させた彼を責め…二人の夫婦仲は、早くも崩壊寸前らしい。
それを聞いた私は、本当に良い時にあの男と離縁できたと思った。
不貞を働いた上に借金まで抱え込まれては、もうどうしようもないもの。
それに、今回の件で親友との縁を切る事が出来たしね─。
でも何より…しっかり者で頼りになる殿方を、新しく夫に迎える事が出来た事が嬉しいわ─。
彼は、父の紹介で出会った方だが…私をとても好いてくれ、大事にしてくれた。
しかも彼は…私の事を大切にしつつ、自分の事業もちゃんと拡大させ…今では、私に何不自由ない暮らしをさせてくれて居る。
そんなお金持ちの夫には、言い寄ってくる女も居るそうだが…彼は私一筋で、浮気など全く考えて居ない。
本当に、何から何まであの男とは違うわ…。
あなたの様な素敵な人の妻になれて、本当に幸せだ…私は愛する夫にそう伝え…それを聞いた夫は、優しい笑みを浮かべ抱き締めてくれたのだった─。
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