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夫の浮気が発覚しました、彼は元恋人への愛が捨てられなかったようです──。
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私と夫は結婚してから随分経つが、未だに子が出来なかった。
私としては早く子が欲しいと思って居るが…最近の夫はどうも乗り気では無いようで、私を求めてくる事は無くなってしまった。
そして…何故か外出の頻度が増え、家を空ける事が多くなった。
そんなある日の事…夫が用事があると言い、家を空ける事に─。
そしてさっきまで夫が座って居たソファーを見れば…そこには、包装紙で包まれた箱が忘れられて居た。
これは…誰かへの贈り物よね?
この包みの色からするに、贈る相手は女性だわ─。
私はいけないと思いつつも…その箱を手に取り、中を確認する事に─。
するとそこには、美しい石を嵌め込んだ髪留めが入って居た。
そして、メッセージカードが添えられており…そこには夫の字で、こう書かれて居た。
『君の美しい金の髪と青い瞳に似合う物を選んだ。これを俺だと思い、毎日身に付けてくれ。』
それを見た時…私は、すぐにあの女を思い出した。
金の髪と青い瞳…この地では珍しい容姿だから、よく覚えて居る。
夫はこの髪留めを、元婚約者に贈るつもりだったんだわ─!
夫は私と結婚する前にある女と婚約して居たが…彼女が作った借金が元で、父親から別れる様に言われたのだ。
そして彼は、私を新たな婚約者に迎え…私達は結婚したのだった。
しかし結婚から一年後…彼は町で偶然その女と再会し、一度だけ過ちを犯したのだ─。
それが私に知られると、彼は何度も頭を下げて謝罪した。
そして…二度と彼女には会わない、これからは君だけを愛すると誓ってくれたのだ。
夫が余りにも必死に謝るから、その時の私は彼を許す事にしたのだが…彼はその誓いを破り、またその女に会って居た様だ。
流石に、二度目の裏切りを許す訳にはいかないわよ─?
その後、私は自身の従者に頼み、彼の身辺を調べて貰う事にした。
すると…彼はやはり元婚約者の女と密会を繰り返し、体の関係を持って居たのだった。
そして夫は、彼女に対しこう言ったそうだ─。
『君の借金も完済したという事だし、俺達の仲を裂いた父も既にこの世を去った…やり直すにはいい機会だ。妻?あいつはどうでもいい。ちっとも子供も出来ないし…もう、女としての魅力も感じない。君みたいに美しければ、まだ捨てるには惜しいが…あんな地味な女はもう要らない─。』
夫は私の事を全く愛しておらず、捨てる気満々だったという事だ。
こんな薄情な男に捨てられる前に、こっちから捨ててやるわ─!
それから数日後…私は、夫に離縁を突き付けた。
私からそんな事を言われると思って居なかった夫は、一瞬驚いたものの…すぐに私に食って掛かって来た。
そこで私はあの髪留めと…そして、夫と元婚約者が密会して居る写真を突き付けた。
「失くして居たと思って居たのに、お前が持って居たのか!しかも、こんな写真まで撮るなど…!」
「この女とは、もう二度と会わないと誓ったのに…あなたはそれを破りました。だから、もうあなたとは離縁します。そして約束通り、この家と財産は全て私が貰いますから…あなたは、ここを出て行って頂戴。」
「や、約束って─。」
夫は忘れて居た様だが…一度目の裏切りが発覚した際、もしまた不貞を犯したら、私に慰謝料としてこの家と財産を譲り渡すと約束して居たのだ。
しかもそれは、誓約書として形に残され…そこには彼の直筆のサインまであった。
夫はそれを漸く思い出した様で…途端に青い顔になり、私に許してくれと泣きついて来た。
だが私は、当然それを許す事は無く…彼と離縁すると言う意思は変わらなかった。
すると夫は、そんな私に逆切れし…家と金はくれてやる、だが独り身になったお前は孤独な人生を送るだけだと言い、家を飛び出して行った。
しかし私は、彼の言葉に全く傷付く事は無く…むしろ、辛い人生を歩む事になるのはあの男の方だと思った。
だって…あの女の借金は、本当はまだ完済などして居ないもの。
むしろ、あの時のよりもその額が増えて居る事まで、従者の調べで分かって居る。
そうとも知らず、あの女と一緒になれば…あなたはこの先、相当苦労する事になるわよ─?
そして、私の予想通り…その後あの女と再婚した彼は、その時になり漸くその借金の存在に気付いた様で…彼はあっと言う間に破産する事になり、住む場所を失った。
おまけに、妻となったあの女は借金のカタに娼館に売られてしまい…一人残された彼は、借金取りから逃げ回る日々を送る事に─。
一方、私はと言うと…自身の従者を新たな夫に迎え、幸せに暮らして居た。
彼はとても気が利くし、賢くて頼りになるし…私に仕えて居た時以上に私を大事にし…そして、一人の女として愛してくれた。
私達の夫婦仲は良好で…彼と結婚してから一年後には、子供も授かる事が出来て…親子三人、幸せな日々を送って居る。
そしてそんな私達を見た元夫が、涙を流し去って行く所を一度だけ見たが…もしかしたら、私に復縁でも迫りに来たのかも知れないけれど…今の私には、あなたなどもう要らないの。
あなたはこの先、孤独で虚しい人生を一人で生きて行くのよ─。
私としては早く子が欲しいと思って居るが…最近の夫はどうも乗り気では無いようで、私を求めてくる事は無くなってしまった。
そして…何故か外出の頻度が増え、家を空ける事が多くなった。
そんなある日の事…夫が用事があると言い、家を空ける事に─。
そしてさっきまで夫が座って居たソファーを見れば…そこには、包装紙で包まれた箱が忘れられて居た。
これは…誰かへの贈り物よね?
この包みの色からするに、贈る相手は女性だわ─。
私はいけないと思いつつも…その箱を手に取り、中を確認する事に─。
するとそこには、美しい石を嵌め込んだ髪留めが入って居た。
そして、メッセージカードが添えられており…そこには夫の字で、こう書かれて居た。
『君の美しい金の髪と青い瞳に似合う物を選んだ。これを俺だと思い、毎日身に付けてくれ。』
それを見た時…私は、すぐにあの女を思い出した。
金の髪と青い瞳…この地では珍しい容姿だから、よく覚えて居る。
夫はこの髪留めを、元婚約者に贈るつもりだったんだわ─!
夫は私と結婚する前にある女と婚約して居たが…彼女が作った借金が元で、父親から別れる様に言われたのだ。
そして彼は、私を新たな婚約者に迎え…私達は結婚したのだった。
しかし結婚から一年後…彼は町で偶然その女と再会し、一度だけ過ちを犯したのだ─。
それが私に知られると、彼は何度も頭を下げて謝罪した。
そして…二度と彼女には会わない、これからは君だけを愛すると誓ってくれたのだ。
夫が余りにも必死に謝るから、その時の私は彼を許す事にしたのだが…彼はその誓いを破り、またその女に会って居た様だ。
流石に、二度目の裏切りを許す訳にはいかないわよ─?
その後、私は自身の従者に頼み、彼の身辺を調べて貰う事にした。
すると…彼はやはり元婚約者の女と密会を繰り返し、体の関係を持って居たのだった。
そして夫は、彼女に対しこう言ったそうだ─。
『君の借金も完済したという事だし、俺達の仲を裂いた父も既にこの世を去った…やり直すにはいい機会だ。妻?あいつはどうでもいい。ちっとも子供も出来ないし…もう、女としての魅力も感じない。君みたいに美しければ、まだ捨てるには惜しいが…あんな地味な女はもう要らない─。』
夫は私の事を全く愛しておらず、捨てる気満々だったという事だ。
こんな薄情な男に捨てられる前に、こっちから捨ててやるわ─!
それから数日後…私は、夫に離縁を突き付けた。
私からそんな事を言われると思って居なかった夫は、一瞬驚いたものの…すぐに私に食って掛かって来た。
そこで私はあの髪留めと…そして、夫と元婚約者が密会して居る写真を突き付けた。
「失くして居たと思って居たのに、お前が持って居たのか!しかも、こんな写真まで撮るなど…!」
「この女とは、もう二度と会わないと誓ったのに…あなたはそれを破りました。だから、もうあなたとは離縁します。そして約束通り、この家と財産は全て私が貰いますから…あなたは、ここを出て行って頂戴。」
「や、約束って─。」
夫は忘れて居た様だが…一度目の裏切りが発覚した際、もしまた不貞を犯したら、私に慰謝料としてこの家と財産を譲り渡すと約束して居たのだ。
しかもそれは、誓約書として形に残され…そこには彼の直筆のサインまであった。
夫はそれを漸く思い出した様で…途端に青い顔になり、私に許してくれと泣きついて来た。
だが私は、当然それを許す事は無く…彼と離縁すると言う意思は変わらなかった。
すると夫は、そんな私に逆切れし…家と金はくれてやる、だが独り身になったお前は孤独な人生を送るだけだと言い、家を飛び出して行った。
しかし私は、彼の言葉に全く傷付く事は無く…むしろ、辛い人生を歩む事になるのはあの男の方だと思った。
だって…あの女の借金は、本当はまだ完済などして居ないもの。
むしろ、あの時のよりもその額が増えて居る事まで、従者の調べで分かって居る。
そうとも知らず、あの女と一緒になれば…あなたはこの先、相当苦労する事になるわよ─?
そして、私の予想通り…その後あの女と再婚した彼は、その時になり漸くその借金の存在に気付いた様で…彼はあっと言う間に破産する事になり、住む場所を失った。
おまけに、妻となったあの女は借金のカタに娼館に売られてしまい…一人残された彼は、借金取りから逃げ回る日々を送る事に─。
一方、私はと言うと…自身の従者を新たな夫に迎え、幸せに暮らして居た。
彼はとても気が利くし、賢くて頼りになるし…私に仕えて居た時以上に私を大事にし…そして、一人の女として愛してくれた。
私達の夫婦仲は良好で…彼と結婚してから一年後には、子供も授かる事が出来て…親子三人、幸せな日々を送って居る。
そしてそんな私達を見た元夫が、涙を流し去って行く所を一度だけ見たが…もしかしたら、私に復縁でも迫りに来たのかも知れないけれど…今の私には、あなたなどもう要らないの。
あなたはこの先、孤独で虚しい人生を一人で生きて行くのよ─。
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