『恋愛短編集①』離縁を乗り越え、私は幸せになります──。

Nao*

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父親の再婚相手に心奪われた夫に邪魔者扱いされた挙句、離縁を言い渡されました。

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 義父が急死して以降、夫は私に対し益々素っ気なくなった。

 家同士の約束で結婚した私達の仲は、決して良好だとは言えなかったが…こんなに冷たくされる事は無かった。



 そんな夫は今、ある女に夢中になって居る。

 その女とは、義父の再婚相手だ。

 夫にとっては血の繋がらない母親と言う事になるが…彼女は私達と左程歳は変わらず、大層美しかった。

 

 そのせいか、夫は義父が亡くなる前から彼女の事を気に掛けて居た。

 私や義父の目を盗んでは彼女と出かけたり、贈り物をしたり…そこには特別な感情があるように見えた。



 そしてその頃から、私は二人の仲を疑って居たが…義父が亡くなって以降、それは確信へと変わった。

 そこで私は、夫と彼女が二人きりにならないよう努めた。

 二人にこれ以上間違いを犯して貰いたくなかったからだ。



 すると夫は、そんな私を邪魔者扱いするように─。

 そして遂には、一方的に離縁を告げるのだった。



 その際、私は話し合いの場を設けて欲しいと願ったが…結局夫は聞き入れてはくれなかった。

 その為、私は離縁を受け入れ彼の家の従者を伴い実家に戻る事に─。

 

 その後、元夫となった彼は義父の再婚相手である彼女を新たな妻に迎える事を決めたらしい。

 そして元夫は、その日が来るのを心待ちにして居たが…それが実現する事は無かった。



 と言うのも…義父が残した財産の殆どは、実は私に受け継がれる事になって居たからだった。

 そしてそうなったのは、元夫が彼女に手を出したからだった。


 
 二人の仲を怪しんで居た私と義父は、以前ある約束を交わして居た。

 それは、元夫が彼女に手を出し私を捨てるならば…義父の遺産は全て私に受け継がれるようにしておくと言うものだった。



 そしてその後義父は亡くなり、遺産の一部が元夫に相続された。

 その際、これが全ての遺産だと嘘を交え─。

 そして大部分の遺産は全て私の管理下に置かれ、これまで金庫の中に大事に隠してあったのだった。



 そして家を追い出された際私と私に味方する従者とでその金庫を持ち出し、それを慰謝料替わりにさせて貰ったと言う訳だ。



 そんな事に気付かない元夫は、その後手にして居た遺産を全て彼女にあげてしまい…そして彼女はそれを元手にある投資話に手を出した。

 だがそれは全て出鱈目だったらしく、お金を増やすどころか借金を抱える事になってしまったと言う。

 
 
 そしてその返済の為、彼女は娼婦として娼館に売られる事になってしまい…それでも返しきれない分は元夫が返済する羽目に─。



 結果、元夫は家も土地も売り払い…そのせいで何もかも失い、路頭に迷う事になってしまった。

 そしてその際、彼女に心奪われた事を心底悔いて居たらしいが…もう全てが遅いのだった。



 一方、私はと言うと…受け継いだ遺産を元に、共にあの家を出た従者と事業を成功させて居た。
 
 彼は義父の事業の手伝いもして居た為、かなりの商才を秘めており…色々と私の助けとなってくれたのだ。



 そして私達は公私共に過ごす内、何時しか互いに特別な感情を抱くように─。

 その後気持ちを伝えあった私達は、近く結婚する事が決まり…その日が来るのを私は心待ちにして居るわ─。 
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